翻訳者の散歩道

  ☆ 法律翻訳者の思考のあれこれ ☆
(「翻訳者になりたい人のためのブログ」を統合し「第ⅡBlog〇〇編」と表記)

太宰治・森鴎外

2005年11月10日 | 歴史

先日、所用のついでに、太宰治のお墓で有名な禅林寺(東京都三鷹市)に立ち寄りました。

何回かお寺の前を通過することはあったのですが、実際に行ったのは初めてです。

太宰治、森林太郎(森鴎外)のお墓、三鷹事件の遭難者慰霊塔などがあります。

太宰治のお墓には、花がいっぱい供えられていました。桜桃忌(6月19日)のみならず、常にファンが花を供えるのですね。

その斜向かいにある森鴎外のお墓には、「森林太郎墓」 とだけ刻まれています。遺言書には、死後の栄誉を辞退し、墓石には称号はつけず(鴎外の名ではなく)本名のみ石に刻むことを指示。驚いたことに、その遺言書(のコピー)も売っていました(@_@)

ところで、三鷹事件は知らない人が多い?と思いますので概略を。

1949年(昭和24)国鉄中央線三鷹駅構内(東京都)で無人電車が暴走し、駅前の商店街、民家に突入して死傷者が出た事件。

しかし、これは単に鉄道事故では終わらず、当時の吉田茂首相が無人電車の暴走は一部の労組=共産党員らの行為とする声明を発表し、労組を中心に逮捕者が出ました。本件、共同謀議など論点はいろいろありますが、下山事件(昭和23年、当時の国鉄総裁下山さんが轢死体で発見された事件)とともに、敗戦後のGHQ(General Headquarters)管理下にある日本のレッドパージ(red purge)もからみ、未だに謎だらけの事件です。(GHQ=連合軍総司令部、レッドパージ=共産党員とその支持援助者を解雇する)

三鷹事件→下山事件とすぐ連想(^_^)// 判例で学んだ記憶がまだ残っているので自分でもびっくり

    

さて、その禅林寺、イチョウが美しく紅葉していました。参考:JR三鷹駅から歩いて15~20分くらい(バスもあります)。

 

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火牛の計

2005年10月17日 | 歴史

かぎゅうのけい。ハンニバルのとった戦法です。

ご存知、ハンニバルは、有名なポエニ戦争(ローマとカルタゴ間)のカルタゴの名将軍。(参考:ポエニPoeniはラテン語でフェニキア人を意味します)

ハンニバルは、幼少時からローマに対する仇敵意識を植え付けられ、さらに第一次ポエニ戦争に負けたことによる復讐心に燃え、ローマ軍の恐れるケルト人と手を組み5万の傭兵を率いてスペインから出発。ピレネー山脈、フランス南岸を通過し、真冬のアルプス越えをしてローマ共和国のイタリア本土に攻め込みます。

イタリアに侵攻してからはハンニバルは連戦連勝!ローマの元老院は「ローマ軍はハンニバルと正面から戦ってはならない」と命令を出したほど。

そのイタリア戦線で、カンナエ付近のカラクリ峠でローマ軍8万を対峙した際、ハンニバルは火牛の計(=牛の角に火をつけ放ちます)を用い、突破しました。

驚くことに、日本でも同じ戦法を使った武将がいるのです!

これもご存知木曾義仲!(大河ドラマ義経でも義仲は登場していましたね)

この木曾義仲が牛の角に松明をつけ、倶利伽羅峠(今の石川県か富山県あたり?)で平維盛率いる平家の大軍を破っています。

ハンニバルがこの戦法を使ったのがカラクリ、木曾義仲が使ったのがクリカラ。時空を超えた何かがあるのでしょうか(@_@)

 

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ユートピア

2005年05月16日 | 歴史
ユートピアというと何を連想しますか?
理想郷って何となくホワホワしたイメージありませんか?

でも貴族であるサー・トマス・モアの描くユートピアは、意外にも私有財産を認めない共産主義的な理想社会です。

ユートピア(Utopia)。
U はギリシャ語の否定の接頭語ou (=not)、
topia は同じくギリシャ語の場所を意味するtopos (=place)で、
つまり"nowhere"どこにもない所という造語です。

ユートピアは2巻からなり、当時のイギリス(16世紀)の封建社会から資本主義社会への移行期にあって諸問題を批判し、政治的・経済的な理想社会を描いたものです。

第1巻は、「羊が人間を食い殺す」が有名。
羊毛の値上がりを見こした地主たちが先を争って畑をつぶして牧場に変えていく(→農民の失業をまねく)ことの比喩です。

第2巻は、理想郷ユートピアの物語。
ユートピアは共和国で、私有財産を認めず金持ちも貧乏もありません。また、聖職者、貴族、地主など非生産的職種の人の存在も認めません。しかし、宗教に関しては寛容で異なる信仰の共存を認めています。
物語のはじめには目に浮かぶような地理的描写があって、まるで実在するかのような錯覚を覚えます。

皆さんの描くユートピアはどんなところでしょうか?

(おまけ)
トマス・モアは、法曹界の父のすすめで法律を学び、順調な官僚生活のなかでヘンリー8世の知遇を得て、大法官に抜擢されます。
ヘンリーは王妃と離婚&愛人アン・ブーリンとの結婚をめぐり、ローマ教皇の許しが得られず、英国国教会を設立。ところが、大法官トマス・モアは離婚に賛成せず、ロンドン塔に幽閉され処刑、生涯を終えます。

ヘンリー8世はその後アン・ブーリンも処刑してしまいますが、臨終のときにはアン・ブーリンの名をうわ言で繰り返したとか。。。
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星の神秘-その2

2005年02月25日 | 歴史
前回の星の神秘(2/10)では、西洋の星占いについて書いたので、今回は東洋です。

東洋独自のものとしては、古代中国から伝わった陰陽五行の思想があります。
万物は陽気と陰気からなるとする陰陽説、木火土金水からなるとする五行説が合体したのが陰陽五行説。
これも、天体の太陽と月、木星、火星、土星、金星、水星の5惑星と不可分で、その相関ルールを発見してそれを基本とするものです。
陰陽五行の思想は日本に伝わって陰陽道が成立し、鎌倉から徳川あたりでは幕府から庶民まで広まっていきますが、明治維新を機に迷信として退けられてしまいました。明治政府はグレゴリオ暦(あっ、授業でやりましたね?)に改暦し、陰陽道を追放。

しかし、最近は陰陽道や風水(同じく陰陽五行が元)がメディアに度々登場しています。
また、この思想から分化した十二支は、現代も日本人の精神的慣習として生き続けています。
例えば、自分の干支が何か知らない人は多分いないでしょうし、年賀状に干支を書くのも違和感がなく、結婚式は大安にする人が多いですよね。

やはり、こちらも科学的に未解明のまま、私たちの生活にとけこんでいるようです。
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星の神秘

2005年02月10日 | 歴史
太古の昔から、星占いで政を決めたり、危険を予知していたことはご存知のところだと思います。
昨年亡くなったアメリカのレーガン元大統領はナンシー夫人の星占いによって行動していた?ことでも有名でした。これは当時、ワシントンのスターウォーズと呼ばれたそうです。

危険を予知する占いとしては古代ローマのシーザー暗殺が有名ですね。
シェークスピアのジュリアス・シーザー(第1幕)によれば、
街頭に立つシーザーに対して群集の中から一人の男(占い師)がこう叫びます。
"Beware the ides of March!"=「3月15日にご用心あれ!」
これを聞いたシーザーは、予定していた元老院への出席を一時はやめようとしますが、思い直して出向き暗殺されてしまいます。
これは、シェークスピアだけでなく、プルタークの英雄伝にも記述され史実とされています。

占星術は、神秘的な宇宙の法則に基づくもので、天体の動きから人間に与えられた運命との相関関係を発見し、それによって未来を予測する体験的科学と言えるのではないでしょうか。
地球から天体の運行をみて毎日変化する星と月の相関の位置を特定して、その日の出来事を記録し、集積していく統計的思考なのです。
この数千年にわたる経験則は、現代の科学でも解明できないまま、私たちの生活にとけこんで生き続けているのです。まさに星の神秘ですね!

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トロイの木馬

2005年02月09日 | 歴史
昨年、ブラピの映画「トロイ」を(DVDで)見ました。
トロイの木馬(今はウィルスの方が有名かも)が忠実に再現されているというので。
トロイ戦争は、ホメロスの「イーリアス」と「オデュッセイ」とう長編抒情詩の題材としても有名です。

そこにはパリスというトロイの王子が出てくるのですが、
これは「パリスの審判(The Judgment of Paris)」で有名ですね!
ゼウスから最も美しい女神の審判を命じられ、「世界一の美女を与えよう」と約束したアフロディテを選びます。そして当時の世界一の美女であるスパルタの王妃ヘレネを連れ去ったことから戦争が始まるのです。

ルーベンスをはじめ、たくさんの画家が「パリスの審判」をモチーフに絵を描いていますが、コーニンクスローの絵も好きです。美術館に行ったら是非探してみて下さい。
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円卓の騎士

2005年02月07日 | 歴史
先月の授業で裁判制度の説明をした際に、今は円卓形式もあると話しました。
そこで質問は「円卓の騎士って何?」

「アーサー王・・・」。正解!
私の授業では突然関係のない質問が飛ぶこともあります(^^)

アーサー王は、中学の頃(英語で)読みました。
魔法使いマーリン、宝剣エクスカリバー、ランスロット・・・
英語が好きになったきっかけかもしれません。

アーサー王物語は「トリスタンとイゾルデ」にも結びつくところがまたスゴイ。
      (ワーグナーのオペラで有名!)

そう言えば、最近、新聞でKing ArthurのDVDの宣伝していますね。
映画が封切られたときに見に行こうかなと思っても、
現実は甘くなく時間が出来た頃にはもう映画は終わっていて
結局レンタルに落ち着くことが多いのです。
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