翻訳者の散歩道

  ☆ 法律翻訳者の思考のあれこれ ☆
(「翻訳者になりたい人のためのブログ」を統合し「第ⅡBlog〇〇編」と表記)

苦労は一時、知識は永遠

2006年03月31日 | 雑記

日経新聞朝刊の堺屋太一さんの連載小説「世界を創った男 チンギス・ ハン」の中でのテムジン(チンギス・ハン)の言葉です。

ともすれば、困難な仕事からは逃げ出したい、放り出したい、と思いがち

このくだりを読んで、妙に身にしみました。。。

そうなんです、苦しい仕事も一時、それを完遂すれば、普段の生活では縁のない世界の知識が自分のものになるのですね。

  苦労は一時のこと、知識は永遠のもの

そう考えれば、何とか乗り切れる…

ここはテムジンに変身して、乗り切りましょう

 (こういうことを書くと、必ず「先生でもそんなことがあるのですか?」という質問が来るのですが、一応!? フツーの人間ですから

 

 

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業務上過失致死

2006年03月30日 | 法律

● 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者→5年以下の懲役 OR (1)禁固 OR(2) 50万円以下の罰金。(刑§211)

OR(1)・・・若しくは

OR(2)・・・又は

です。「若しくは」と「又は」の使い方大丈夫ですか?

懲役と禁固で1つのグループ(身体の拘束)、さらに罰金(お金)とあわせて刑罰という広いグループができています。

訳し分けに悩む人には、分かりやすい例だと思います。

● 医師の過失行為と患者の死亡との間に因果関係が認められない=過失行為がなくても死んでいた(から無罪)、という論法は、法律論ではなく感情論、特に家族の立場に立つと到底納得できないものでしょう。

たとえ「○月○日○時、死亡」という結果が変わらなくても、

手を尽くしてその結果になるのと、

途中に過失行為が介在するのとでは、

その事実を受け入れなければならない家族にとっては大きく違います。
(注:この場合、「行為」には、すべきことをしない場合(=不作為)も含みます)

この他、法律上、業務の意味、なぜ普通の過失より重く罰せられるのか等、論点はあるのですが、今回は省略です(^_^) 

 

 

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鋳型がお好き?

2006年03月28日 | 英語・翻訳

確かに、契約書には定型があります。

条項には共通するものもあります。

しかし

ある程度、踏み込んでみると、奥が深い世界。

ルールがあって、ないような世界(笑)

時代と共に、条項も変化し、どんどん新しい形が登場してきます。

したがって

鋳型にはめる思考では、落とし穴に落ちる危険がいっぱい!

(表面的には)契約書翻訳は易しいと言えるかもしれません。

でも、この世界に奥深く入れば、多分、真の闇を経験することに・・・(おぉ、ゲームの世界か

そこで、(契約書に限らず、他のどの分野でも)

何ごとも無理に鋳型にはめず、

調べ物の努力を惜しまず、

丁寧に論理思考を重ね、

出口を探すことができれば、探検家、おっと違った、翻訳者です

 

 

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生徒と私-その5

2006年03月27日 | 教室

生徒さんと駅で待ち合わせ♪

早く着いたので、ちょっと外れたところにある券売機でスイカをチャージ。

終わって後ろを振り向くと、生徒さんがニコニコ 

R「あれっ?わかってた?」

S「はい、チャージが終わるのをお待ちしていました」

R「えっ?後ろ向いていたのにわかったの?」

S「わかりますよ~、すぐ先生だ!って」

うーむ、駅に人はあふれていたし、私は特に目立つ服装をしていないし、最近は1年に1回くらいしか会わないのに。。。

後姿でわかるとは・・・ 

こりゃ、気をつけねば…(爆)

びっくりしている私に、

すかさず、生徒さんが「オーラが出ていますから」と。

う~む、何と機知に富んだ一言!(単純か^_^;)

     

公開レッスン終了後、甘味処の老舗に立ち寄り頭脳に栄養を補給してから別れました(^_^) お手伝いありがとう~ 

 

 

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不正競争防止法

2006年03月24日 | 法律

日本では、営業秘密(trade secret)は不正競争防止法という法律で守られています。(国、州によっては、トレードシークレット保護法等別個の法律で保護するところもあります)

実は、この営業秘密(=企業秘密)、保護対策が外国に比べて日本は遅れており、昨年05年11月に保護を強化するために同法が改正、施行されました。

● 営業秘密って何? 3つの要件を簡単に見てみましょう。

  1. 秘密管理性…客観的に秘密として管理されていること。例えば、単に、「これは秘密」と机の引出しに入れておくだけではダメで、鍵をかけて保管することが必要です。
     
  2. 有用性…(これも客観的に)事業活動に有用な技術上OR営業上の情報であること。例えば、ノウハウや顧客リストなど。また、「こうやったら脱税できる」といった反社会的なものは対象外です^_^;
     
  3. 非公知性…公然と知られていないこと。刊行物などに掲載されていて、誰でも入手できるものはダメです。

● この営業秘密の保護を強化するための改正のポイントは、

  1. 営業秘密を国外で使用OR開示した場合の刑事罰の導入
  2. 退職者に対する刑事罰の導入(在職中に約束し、退職後に提供する場合など)
  3. 秘密の二次取得者に対する刑事罰の導入(部下に他社の秘密を取得させたり、転職者に秘密を持ち込ませたり…)
  4. 法人に対する刑事罰の導入

 

例えば、大手メーカーや軍事産業に携わっていた技術者などの中途採用の面接で、秘密を聞きだし、入社後にその知識やノウハウを利用して製品開発をすると刑事罰の対象となります。

詳しくは、経済産業省のHPをご覧下さい。

    

このあたりは、日本より外国の方が危機感が強く、以前から契約書には相当細かく盛り込んでいます。(SOLICITATION)

  

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チェックの注意点-その2

2006年03月21日 | 英語・翻訳

チェックの注意点」の続編ですが、推敲にも使えます(^_^)
  注:この場合、チェック→他人の訳文を対象、推敲→自分の訳文を対象としています。

前回は主に数字に焦点を当てましたが、今回はもっと広い視点で考えます。

 チェックには大別すると、

(A) 訳文だけ読む方法

(B) 原文と対照して訳文を読む方法

とがあります。

 実は、(A)の方法には盲点があるのです。

それは、訳抜け がチェックできないこと!

どんな人でも、人間である以上、訳抜けはあり得ます。

そして、1語または1文が抜けていても、文章が流れていればパスしてしまう可能性があるのです。
(例えば、"agree": 1文が長い場合に、文の頭の方についているagreeは訳しているうちに忘れてしまいがちですね

 そこで、(B)の方法が望ましいのですが、この方法でも、焦点をしぼれば、たいして時間はとりません。

  1. 訳抜け
  2. 数字
  3. 論理矛盾

最低限、この3点に焦点をあてて読みます。

 その他、場合によって、訳語の信頼性、コロケーション、調べ物の確認、句読点など、チェックポイントを増やしていけばいいわけです。

 従って、「丁寧」という観点から、どんな文章も、時間的余裕がある限り、さっとでもいいから第三者の目を通すことが望ましいと思っています。

 

      

  祝WBC 優勝 !! (^_^)

 

 

 

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春の嵐

2006年03月20日 | 英語・翻訳

多分、昨年も同じようなことを書きましたが、春の嵐=懐かしい青春のヘッセ(爆)

このところ、外に出ると目もあいていられません。風もそうですが、ちょっとお疲れモードで目が限界にきています(笑)

今、翻訳者は超多忙期、お疲れさまです!

そこで、疲れているときに起きやすい?危ないミスをあげてみましょう。

例えば、

"product xxxity" を "product liability"と読み違える例
"product  ・・・ity"とあれば即PLを連想→頭が疲れている証拠)

"effect" と"affect"の使用を混同する例

通常は「思い込みは禁物」→丁寧に読んでいく人も
灰色の脳細胞がストライキを始めると目だけが字を追っているって感じになりがちですから、お互いに注意しましょうね

今週は、公開レッスンも控えているので、ちょっとセーブします。目の下にクマをつくってお会いするのは避けたいですから

 (おまけ)

生徒さんからの報告:「法律翻訳者」でグーグルで検索すると、この「翻訳者の散歩道」が1でヒットします(もっともすぐ消えるかも…)

 

  

 

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データ上書(1段落消失の謎)

2006年03月17日 | 英語・翻訳

データ上書きで作業しているとき、

原文を消す際に改行マークも消すと、

(まだ訳していない原文の)次の段落が引きずられてスッポリ消えてしまうことがあります(@_@)

それに気づかず、そのまま作業していくと危険

1段落の訳漏れのまま仕上がってしまう可能性が・・・。(体裁は美しく整っているのでわからない)

データ作業でも、やはり打ち出して参照しながら作業しないと

思わぬ落とし穴が・・・!?

日々新たな?発見です 

 

 <追記>

翻訳者になりたい人のためのブログ」に「私が英語の世界にはいったきっかけ」をアップしました。興味のある方はどうぞ。(誰も興味ないって!)でも、これって、よく質問されるんですよ。

 

 

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易しい仕事には気をつけろ

2006年03月16日 | 英語・翻訳

今回、重要なことを学びました。

一見、易しそうな仕事も、実際に作業してみなければ、内面に潜んでいる難しさはわからない、ということ! 

ちょっと見ただけでもわからない、ちょっと読んでもわからない、本気?で作業にかかって初めてわかるんですね。(もちろん、予想より難しかった、という例は何度も経験していますけど)

今頃?と思われるでしょうが、そうなんです、この手の難しさ(変化球)は多分初めての経験です。翻訳の世界って奥が深いですねー。

一瞬、(易しそうに見えたので)生徒にOJTとして出そうかと電話しかかったのですが、(注:翻訳者育成の趣旨を理解して頂いているお客さまです。感謝。)

変化球であることに気づき、これを出すのは生徒に酷であり、かつ、直すのも自分で訳す作業量の2倍?はかかるだろうと合理的に推測されたので今回は見送りました<(_ _)>

実際の作業時間は見積もりを上回るのですが、決めた納期を変更してくれとは言えません。

「一旦請けたら納期は厳守しなさい」といつも生徒に言っているので、これを自分で反故にするわけにもいかず・・・(汗)

この点、生徒は「死んでも納期を守る」と言っていますが(笑)、やむを得ないときは先方と相談してね

言葉のあやだとは思いますが、生真面目な人が多いのでときどき体をこわすのではないかと心配になったりします

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易しい文章の悩み

2006年03月15日 | 英語・翻訳

易しい文章=文法が複雑でない、例えば、関係詞節が入れ子になっていない、とか、1文が何十行にわたっていない、などの場合、

すぐ訳せるかと思いきや、そうではないこともありますね。

具体的に書けないのがつらいところですが、

単純な文章のつくりなのですが、ちょっと変わっているのです。

“何でこの文脈にこの単語が出てくるの?”って感じ(@_@)

こういう言い回しって流行?って、検索かけてもヒットしない!

全般にわたってこのトーンで貫かれています

どうにも訳し難い=日本語にならんのです。

でも、これも考えようによって楽しくなるわけで、「ここが腕の見せ所」ってか あぁ・・・

    

今、沈丁花がいい香りですね。さっそく、切って花瓶に挿しました。部屋中に春がやってきたようです(^^)

 

 

 

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