tamagoのドイツ滞在記

ドイツ、キールに住んで、体験したことや思ったことを書きとめていくブログです。

ザラートキルメスへの歩き方

2013年06月06日 | ドイツの街並み





ザラートキルメスまでの道のり編です

公共交通機関を使ってザラートキルメスが開催されるツィーゲンハインの村へ行くのは、
実は少し厄介なので、まとめておきます。


シュヴァルムシュタットは、鉄道駅のあるトライザ(Treysa)と、
ザラートキルメスの開催されるツィーゲンハインという二つの集落を中心に形成されています。

カッセル、あるいはフランクフルト・アム・マインからの鉄道を利用して向かう人たちは
まずトライザの駅に降り立つことになります。








トライザの駅舎。
駅前にはちょっとした喫茶店やレストランがあります。


さて、祭会場であるツィーゲンハインに向かいます。

しかし、ここでひとつ問題が。。

通常であればここからバスに乗るところ、
日曜日は唯一の公共交通機関であるバスが運行していないとのこと

しばらく駅前でタクシーを待ってもつかまらず、
徒歩で会場まで向かうことにしました。


けっこう距離がありますが、頑張ります




まずは駅を出て、右手に進み、線路沿いのゆるやかな坂を上がります。

すぐに鉄道線路を越える橋が右手に見えます。





それを渡ると・・・





黄色い看板に「ツィーゲンハイン 5km」(Ziegenhain 5km)の文字。

この表示を信じて橋を渡ったところの交差点で左折し、
坂を下ります(通りの名前はAscheröder Straßeです)。


ここからが長い…。

ひたすら前進します。




途中にビールの醸造所兼酒場が

立ち寄りたい気持ちを抑えてひたすら直進です。



さて、さしたる目印もないなか、「Restaurant Milano」を右手に見過ごしながら、
アシェレーダー通りに沿ってここまで歩を進めると、

「アム・オスターベルク」という小道が左手に現れます。





ここを左折して…、





すぐにここを右折。






脇道へはいると、一気に雰囲気が変わりますね。

木々に囲まれた道を進みます。





親切なご婦人が教えてくれました、
“Hochwasser”(高潮ならぬ高水)なので今日はこれ以上川に近づけない、と。。


このときちょうど、記録的な大雨で中欧はどこも水が溢れていたのです。

とくにドイツでは南のほうで被害が大きかったと聞きますが、
ちょうど国のまんなかあたりのここでも水が出ているとは、驚きました。

麦畑が浸水してしまっているのが分かるでしょうか。






木々に囲まれた道を抜け、開けた土手に出るとこんな光景に出くわしました。

道が水没して途切れています。
しかし幸いなことに、ツィーゲンハインへの道は小高い土手になっていて、
こんな状況でもなんとか会場までたどり着くことができました。






もはや川とは思えないような大量の水に沿ってひたすら道なりに歩いていくと、
街へとつながる橋を発見!






約一時間超の徒歩行程。

ようやくツィーゲンハインに到着しました





銅像の足元、台座とタイルを御覧ください。

この像を囲む溝と同じ形で、町のまわりには堀が作られています。






木組みの家や、うろこ壁があり、いかにもドイツの田舎といった風情です。




この塔のある建物は、どうやら刑務所のようです。。
現在も使われているのかは不明。。






さあ、お祭りのパレードの始まりです!


パレードの様子は、後の記事に続きます

ザラートキルメスについて 

2013年06月06日 | 小話





シュバルムシュタット、ツィーゲンハインで開催された
ザラートキルメス(サラダキルメス)の様子。


シュバルムシュタット(Schwalmstadt)は12の村の総称で、
この一帯をシュバルム地方といいます。

キルメスが開催されるツィーゲンハイン(Ziegenhain)には村々から伝統衣装を身に着けた人たちが集まり、パレードを行います。



    


このお祭り、「赤ずきんちゃんのお祭り」というキャッチコピーで紹介されることもあるのですが、
赤ずきんちゃんそのものや狼がでてくるものではありません。

以前の記事、「キルメス 移動遊園地?」で紹介したように、
キルメスは教会(キルヒェ)の建立を記念して、市(メッセ)で催されていた祝祭に由来するものです。

ザラートキルメスのザラート(Salate)は、
ドイツ語でサラダ菜、レタスを意味しており(英語のサラダに該当)、
この言葉が示すように、このお祭りは初夏の収穫祭の性格が強いものです。

サラダ菜と並んで、この時期に収穫されるじゃがいもも、
このお祭りの大事な主役のひとつです。



ではなぜ、赤ずきんちゃん??

上の写真の女の子をご覧ください。
シュバルム地方の民族衣装では、女性は頭にコップ状の飾りをつけます。

女の子、未婚の女性は赤、結婚したら緑、中年になると紫、
夫を亡くした女性は黒、と色が決まっています。

シュバルム地方はグリム兄弟が活動した地域だったので、
女の子がつける赤い頭飾りと赤ずきんちゃんが結びつけられたようです。


赤ずきんちゃんの話の出所には諸説あるのですが、
グリム童話よりも120年ほど古いシャルル・ペローの童話集に同じ話が収録されており、
どうもフランスにルーツがあるという説が有力なようです。


ただ、若い女性の教訓譚である赤ずきんのお話は各地に散見されるので、
シュバルム地方が発祥という可能性も捨て去れるものではありません。



今年はグリム・イヤーということもあり、観光PRとして
このキャッチコピーがかなり宣伝されているようです。

ただ、シュバルムシュタットのザラートキルメスは女の子が主役という訳ではなく、老若男女がそれぞれの美しい民族衣装を見せてくれますし、
何より大地に根ざした本来の祭りの姿が隠れてしまうのは残念な気がします。


    



説明はこのくらいにして、ツィーゲンハインに向かいましょう

後の記事に続きます。