いつかまとまった形にしようと長年考えていた楽譜が「全員でできる / スクールバンドのためのウォームアップ&デイリートレーニング」としてミュージックベルズ様より出版となりました。ちょうど出版がコロナ禍に重なってしまい「全員で」というのは難しいタイミングになってしまいましたが、落ち着いたころにお試しいただければ幸いです。
20年近く前、転勤した学校の吹奏楽部は20人足らずで半分以上が初心者。個人・パート練習をするにも楽器の扱いや練習方法もわからない子ばかりで、それまでの勤務校のようにはいきません。しかも練習時間も場所も少ない。。。いっそのこと基礎練習だけでも全員で同時にやれないか?楽器を組み立てたところからスタートして木管も金管も弦も一緒に、そして打楽器も汗をかくくらいに。。。ということで多くのメソードなどを参考に作り始めた楽譜がこのテキストのもとになっています。
この練習を毎朝2~30分続けていくうちに徐々に変化が表れてきました。いちばんは一人一人の技術的な差が少なくなったこと、つまり「底上げ」です。一人だとつい途中で休んだりしてしまう基礎練習もみんなでやれば最後まで頑張れます。子どもたちには「一日一回給食を食べるようにみんなで練習しよう!」と話していました。
また意識も変わってきました。個人やパートで曲練習をするときも以前のような「ただ通して吹くだけ」の練習ではなく、曲の前に自分たちでロングトーンやスケールをやったり、うまく吹けないところをバズィングしたり、あるいはリップスラーを黙々とやる子も出てきました。私自身も毎日全員の顔を見ながら音を聴けるので、一人一人のちょっとした表情や音の変化に気づくことができました。
そして1年後には夏のコンクールで初の県大会へ、2年後にはアンサンブルコンテストで県代表に選ばれるなど好成績を上げることができ、演奏の依頼も増えてきたのです。もちろんこの練習だけでそうなったのではありませんが、きっかけにはなったと思っています。
その後もいろいろな学校や団体で使っているうちに他校の先生方や講師の方から利用の希望があり、そのつど修正や追加などを繰り返してきましたが、このへんでひと区切りとしてまとめておくことにしました。
毎日の練習のひとつの選択肢として、あるいは次のステップへの足掛かりとしてお試しいただけたれば幸いです。
テキストは①~⑥に分かれており、それぞれ以下のような内容になっています。
①「練習の前に / 音出しとバズィング」(音源にリンクしています)
②「ウォームアップ」※金管楽器は指番号もつけました(②③)
③「レガートとリップスラー」※打楽器にも課題がいろいろがあります
④「半音階」※まずガイドの音を聴いて始めるようになっています(省略可)
⑤「スケールとアルペジオ」※アルペジオはオプションです
⑥「チューニングとバランス、ユニゾンとハーモニー」※必要なところを選んで組み合わせられます
次回から各テキストのもう少し詳しい内容や使い方などについて記していきたいと思います。
(2020.06.08)