<http://blog.goo.ne.jp/fuwa_toshiharu/e/42bbd80248de444a057848d88aed178f>
gooブログ「ネットde新党」の記事「半藤一利<昭和史>を読んでみよう 5」に、片山さつき議員のラジオでのインタビューが埋め込まれれているが、彼女の発言は、問題の核心をついており、ネットには他に例がない。それについて書く前に、前回私が書いたことに、認識不足な点があったので、それから始めます。
私だけでなく、防空識別問題については正確に理解されていないように思います。ネットとyoutubeで、あれこれ読んだり聞いたりして、おおよそ理解できたような気がした時に、田母神元航空幕僚長の文章を読んで、面食らいました。なにか話が違うという感じです。
その原因は、防空識別圏を領空の延長のように考えるからです。両者は本質的に違います。領空侵犯というということはありますが、防空識別圏侵犯ということはあり得ません。防空識別圏内は飛行自由です。基本的に公けの空です。したがって他国の航空機に対する規制は一切ありません。警察の職務尋問と同じで、間接的にさらりと質問する以上のことはできません。
他国の航空機全般に対しては一切強制力がない。そういう条件下で、防衛する側は、攻撃の意図をもって領空に侵入してくる敵機を、的確に識別しなければなりません。
だから、防空識別圏とは、有っても無いようなもので、防衛する側が工夫して敵性機を識別しなければなりません。自国の国土交通省から民間旅客機の飛行計画を手に入れて、とりあえず、無害な航空機を把握しておくというのも、その一つです。
防空識別圏は、領空と違って、軽い意味しかありません。だから、一方的に設定できるのです。
また、防空識別圏を公表していない国もあるということです。その場合、どの範囲が防空識別圏なのかわかりません。したがて、飛行する航空機には、自分が防空識別圏に侵入したかどうかもわかりません。防衛する側が勝手に設定して、偵察・監視活動活動をおこなっているだけです。
田母神氏以外には、ヘーゲル米国防長官が同じこと言っています。「民間航空機が、海岸から遠く離れた外洋を飛ぶ場合、まして自国に向かうのでなく、ただ通り過ぎる場合、防空識別圏内であっても、関係ない。そのような民間機に対し、飛行計画を出せというのは変な話だ。」
この点を予備知識として持っていないと、田最母神元幕僚長の文章が理解できません。
以下、田最神元幕僚長のブログ「防空識別圏の設定」から引用します。
[引用開始]--------------------------------
(前略)
外国に対しウチの防空識別圏はこうなっていますから、許可なく飛んでもらっては困るというようなものではない。防空識別圏を設定することによって、そこを通過する航空機に何か報告義務を課すことは出来ないし、行動を制約することも出来ない。
我が国では防衛省の訓令で防空識別圏を定めており、航空自衛隊は我が国の防空識別圏に飛来する全ての航空機の識別を24時間態勢で常時行っている。
識別は、航空自衛隊が国土交通省から入手した民間航空機の飛行計画との照合によって、また電波で航空機に対し応答信号の発信を求めることによって実施される。
国際線を飛ぶ民間航空機などは、国際民間航空機関(ICAO)が定めているコードによって常時応答信号を発信することが義務付けられている。不審機と認められる場合には、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進をして不審機に接近、国籍や飛行目的の確認を行っている。
防空識別圏そのものは、どこに設定しようが各国の自由であり、それを日本のように公表している国もあれば、また公表していない国もある。
各国とも勝手に防空識別圏を設定しているのであり、中国が今回のように防空識別圏を設定すること自体は、何ら問題はない。
中国に対し防空識別圏を撤回させよという意見があるようだが、それは、おかしな話である。問題は中国が、防空識別圏の設定と同時に公告した公示内容である。
今回の中国の公告によれば、「防空識別圏は中国国防省が管理する」とした上で「圏内を飛ぶ航空機は、中国国防省の指令に従わなければならない」とし、「指令を拒否したり、従わなかったりした航空機に対して中国軍は防御的緊急措置を講じる」と明記されたのである。
中国の発表は、防空識別圏に名を借りた空域の管轄権の主張であり、我が国などにとって受け入れられるものではない。
公海上空の飛行の自由は国際法上認められた各国の権利であり、これを侵されてはたまらない。
まして尖閣上空に防空識別圏が設定されて、その管轄権を主張されたのでは、尖閣諸島は中国のものであると言っていることになる。中国はそれを意図して今回の設定を行ったことは明らかであり、我が国が激しく反発したことは当然である。
貼り付け元 <http://ameblo.jp/toshio-tamogami/entry-11715953977.html
---------------------------------[引用終了]
中国が防空識別圏を新たに設定することは自由ですが、それを領空として適用していることが、前代未聞だというのです。
それだけでなく、本来の目的とは異なる目的のために防空識別圏を無理に利用したということです。その目的とは、大陸棚が中国の経済水域であると主張することと、尖閣諸島の領有です。
そのことは、防空識別圏をどのように設定したかをみれば、明らかです。
新しく設定した中国の防空識別圏が日本のそれと重なることはやむを得ないとしても、問題なのはその重なり方です
。中国沿岸と沖縄の中間を境界とせず、沖縄の近くまで張り出してきています。それは、大陸棚は中国の経済水域であるという主張にあわせる形で、防空識別圏を設定したからです。
また尖閣諸島が中国の領土あるという前提で、防空識別圏を設定しています。ヘーゲル国防長官は言っています。「中国による防空識別圏設定は、領有権の主張を目的としており、非常に特殊である。」
ヘーゲル国防長官と田母神幕僚長外に、この点をはっきりと問題にしているのは、片山さつき議員です。
防空識別圏を設定することによって、中国は「尖閣諸島は中国が領有する。大陸棚は中国の経済水域である。」と宣言したのである。したがって日本政府は猛烈に反発した。
マスコミとネットの多くは、聞きなれない防空識別圏という言葉に惑わされて、中国の露骨な策謀に気づかなかった。
海で戦われている国境紛争が、空でも始まったということです。片山議員が言う「中国という国は黙っていたら、どんどん出っ張ってきますから、おしかえさなければ、だめです。」という状況です。
<青線で囲まれた濃い青の部分が日本の防空識別圏。
赤線で囲まれた赤い部分が中国の防空識別圏>
<CNN中国の防空識別圏設定で高まる緊張>から借用
貼り付け元 <http://www.cnn.co.jp/world/35040613-2.html>
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます