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海外のメディアから得た情報を書こうと思います。

ダマスカスでの化学兵器使用以前にあった計画―米軍の攻撃と連動した反政府軍の大攻勢

2013-11-10 13:00:31 | シリア内戦

 

国連の報告が出たことで、ダマスカス近郊での化学兵器使用は、アサド政府軍によるもの、との結論が出たように思われます。しかし、アメリカのミサイル攻撃を引き出すために、反政府側がおこなったという主張はその後も根強いものがありました。ロシア国連大使は、「国連の報告を一方的に解釈してはならない。異なった解釈ができるものを、自分に都合がよいよようにだけ解釈してはならない。」と言います。プーチン大統領は、「使われた砲弾がロシア製ということだが、あれは旧式のもので、シリア軍が現在使用しているものではない。」と言います。このプーチンの主張に対しては、「使われた二種類の砲弾のどちらも、これまで政府軍が使用してきたものと同一の種類である」という反論があります。

 

国連の報告が出る前のことですが、アメリカ国内でもアサド軍犯人説を疑問視する声が上がっています。たとえば、米情報機関が傍受した通信内容というものは、実は実際に傍受したものではなく、イスラエルの情報機関から知らされたものにすぎない、というものです。イスラエルは米国のシリア攻撃を望んでおり、同国から与えられた情報をうのみにするのは危険だ、という義論です。傍受内容とされるものは次のものです。

 

[ シリア国防省の高官があわてた様子で化学兵器を管理する部隊に問い合わせると、化学兵器を使ったという返事だったので、高官は非常に動揺し、即座に撤収するよう命じた。]

 

傍受通信に対するこの疑問については、元CIA職員が大統領に進言したもので、広く知られていますが、ネットのオイル・プライスというサイトに掲載されたヨセフ・ボダンスキーの報告はあまり知られていないと思うので紹介します。

 

[ボダンスキーの記事の内容] ------------------------------------

 

821ダマスカス近郊で化学兵器が使用された。その一週間前、トルコにある自由シリア軍の基地で、大規模な反撃の計画について、打ち合わせが行われた。そこで話されたことは、近いうちに戦況を変える出来事が起こり、それを機にアメリカ軍による攻撃が行われる。それに合わせて反政府軍は全面的な攻勢に出る、というものだ。そしてその大攻勢は、これまでにない規模のもので、ダマスカス陥落とアサド政権崩壊を目標とするものだ。

 

反政府軍の高級司令官は集まった現地司令官たちに対し、急いで攻撃の準備をするように、そしてアメリカ軍による攻撃を最大限に活用し、アサド政権を倒すのだ、と語った。

 

そして821日から23日にかけて、ハタイ州にある反政府軍のすべての基地に向けて、前例のない大量の武器の配布が開始された。レイハンリ地区だけでも400トンを超える武器を受け取り、その中には携行式対空ミサイルも含まれていた。

これらの武器はアメリカの情報員の監督のもとに、カタールとトルコの情報員が管理する武器庫に保管されていた。

 

8月24日と25日に再び数百トンの量の追加供給がおこなわれが、これには高性能の誘導式対戦車ミサイルが含まれていた。今回の武器援助は二年前に内戦が始まって以来最大のものだと、ハタイ州の反政府軍の役員が語った。

 

これらの武器は、北部全域の反政府軍に配られ、アルカイダ系を含むイスラム派部隊にも与えられるという。

 

----------------------------------[以上ボダンスキーの記事から]

 

この記事について検証はしていませんが、「中東全域から続々と情報が集まっている。」という書き出しで始まるこの文章は迫真性があり、また反政府軍に対する武器援助の実態についての情報としても貴重なので、紹介しました。

 


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