キジバトは、別名のヤマバトが示すように、もとは山で暮らしていた鳥だそうだ。人をあまり怖れないから、都市化が進んでも山奥へ退避せず、好んで住宅地や市街地にまで姿を見せるようになったらしい。
雨が揚がった昼下がり、ちょっと一服してコーヒーを飲んでいたら、どこからともなく「デーデー・ポォポー」と、くぐもった鳴き声が聞こえてきた。朝の目覚めの時にこれを聞くと、再び快い眠りに落ちてしまう。
山歩きでよく鳴き声を耳にする
ツツドリとなると、人里には棲息していず、かなりの山奥へ入らないと鳴き声を聞くことができない。
もっぱら静寂の中でこの鳥の声を聴いているからだろうか、遠くから、その名どおりの筒を叩くような鳴き声が聞こえてくると、たとえ往来の多い林道や人で溢れる登山口の駐車場に居ても、森閑とした深山に居るような気分になる。
音があることによって逆に静けさを感じるのは、人間の官能と心象の結びつきの実に不思議なはたらきのひとつで、芭蕉の「古池や 蛙とびこむ 水の音」の感覚や、庭園の「鹿威し」、軒先の「風鈴」などの効果も、この作用に関わっているものだろう。先人達は、このはたらきを芸術に生活に活かすことに長けていた。
このツツドリ、登山のたびに鳴き声を聴いていながら、未だ姿を一度も観ていない。図鑑によると、カッコウの仲間で、キジバトと同じぐらいの大きさらしい。
山頂で昼食を摂った後、「ポ・ポ ポ・ポ」と2連で続く発声に耳を澄ましていたら、そのまま眠ってしまったことがあった。
この二種の鳥の鳴き声には、人の眠気を誘う音響要素が含まれているいるのかもしれない。寝付きの悪い人は、これらの鳥の鳴き声のファイルをネットからダウンロードして、就眠のときに聴いてみてはいかがだろう。
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