高齢になると筋肉が衰える理由は、テストステロンというホルモンの分泌が年齢に応じて減少することに起因するという。
筋肉の衰えを筋トレによって改善できることは立証されていて、老人でも、筋肉に負荷をかけ運動することで、筋肉量を増やしたり筋力を上げることはある程度可能らしい。
筋トレは、筋力強化や筋肥大への直接的効果もさることながら、間接的に血行促進の効果もある。血行が順調なら、全身の細胞に酸素と栄養がゆき渡り、老化のスピードを遅らせることができるらしい。
若いうちは何もしないでも血行がよく、血液がサラサラ?と全身の筋肉や臓器を潅流していた。誰もが血行を意識することなど無かった筈だ。
しかし中年になり、動脈の硬化が徐々に進行し始めると、少しずつ血流が滞り血行が悪くなる。
人体は脳をはじめとする主要臓器への血流量は減らせないから、老人は安静時の筋肉への血流量が減少する傾向にある。ホルモンの減少と相まって、筋肉の更新が衰える所以である。
運動不足の人とか肉体労働をしない人の筋肉減少は、この二つの要因の相乗によって加速すると考えられている。
筋肉は、運動時の収縮でパワーを生むと同時に、血液循環のメイン・ポンプ心臓を補助する、サブ・ポンプとしても働いている。
筋肉を動かすことは、全身の血行を促進すると共に、筋肉自体の細胞の更新を促す効果が大きい。
老人にとって、若者に劣らず運動が必要とされるのは、この理由による。
そうかといって、疲労の回復が遅い老人がムキになって筋トレに挑むのは考えものだ。
筋肉の疲労は、筋肉の合成よりも分解を促すという。過度なトレーニングは害がある。
過度の運動で増えた活性酸素が体の細胞を傷つける問題もある。傷んだ筋肉組織の修復のために、免疫力の低下がもたらされることが避けられない。
回復力が衰退している老人には、激しい筋肉運動が却って健康を損なう原因になることもある。
自分の身体と相談しながら、無理のない筋トレを適度なインターバルで励行することが、加齢に伴う身体の不調(疾病以前の不具合)を和らげ改善するに適当な、ひとつの手立てではないかと考えている。