キウイフルーツ(マタタビ科マタタビ属)を見て、サルナシ→マタタビと連想が働く人はかなりの自然愛好派。これらの果樹は皆同属にあたる。
キウイフルーツの原産地は中国とされるが、そこでは品種改良はほとんど行われず、20世紀初頭になって、ニュージーランドに持ち込まれて以降現地で改良が進み、現在のものになったようだ。
サルナシは、中国、アムール、そして日本全国に自生する。中国にあったキウイフルーツの原種がサルナシだったのかどうかは知らない。
サルナシで思い出すのは、かつて南アルプス聖岳登山のため、遠山川(天竜川支流)上流の便ヶ島から登り口の西沢渡まで森林軌道跡を歩いた時のこと。道脇の木に絡みついたサルナシの蔓に、実がいっぱい付いていた。採ればきっとジャムがたくさん出来る程の量があっただろう。同行者のある登山の途中のことで、採取は諦めて数個を賞味するだけだったが、今思い出しても残念でならない。
野生の木の実やキノコ、山菜を見つけると堪らず採りたくなるのは、人間として自然の欲求だろう。植物に疎い親がやみくもに有毒植物を虞れ、幼児期のわが子にこの自然な採取行動を厳しく禁じると、人の本性が封じられてしまう。大人になっても、野生の草や実はいっさい口にしない躾を牢固として守る都会育ちは多い。不自然というほかはない。
あるとき、幾人かの人たちと山に行って、道脇の倒木に生えたヒラタケを見つけた。皆に詳しく説明したら、全員が採取をしたものの、持ち帰って食べてみようという人は皆無だった。どうも愚生の説明では、毒キノコへの恐怖心は払拭できなかったらしい。 おかげで私は、皆の採った分の好物ヒラタケを、汁の実や炊込みご飯、パスタと炒め、2、3日食べた。
その後幾度かサルナシを見かけたが、果実の適期でなかったり、動物に食べられた後だったりで、その時ほど沢山のサルナシの実には出会っていない。植物との出会いも、一期一会である。
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