過日投稿のブログで、往年の女優さんのことを何人か思い出したので、老生が少年の頃に憧れていた女優さんについて書かせていただく。
中学生の頃、東映時代劇のお姫様女優、桜町弘子さんの清楚で愛らしい魅力に傾倒し、熱烈なファンになった。
知り合いの伝手を頼りに、東映京都太秦撮影所をニ度も訪れた。
ニ度目の見学の際、スタジオでの撮影現場を見終え、白昼の屋外に出た。
所在なく、オープンセットの街並みを俳優会館に向かってぶらぶら歩いていた時、ふと目をあげると、会館の外階段をスラックスとセーター姿の桜町弘子さんが降りて来た。その日は撮影が無かったらしい。ポニーテールの髪に富士額が映えていた。
年頃は21・2才ではなかったか?
ご本人の素顔を間近に見て、あまりの美しさに呆然、中学生の私は意識を失いそうになった。
人は本当に憧れている美しい人に会うと、倒れる虞れがある。思春期の男子に多い一種のヒステリーだったのかもしれない。気丈にも倒れなかったが、サインをしてもらうことを失念するほどの衝撃だった。
以来、そのようになったことは一度も無い。純真な時期でなければ、人はそのようにはならないものである。
桜町弘子さんは、東映が時代劇路線から任侠路線に舵を切ってからの出演映画に評論家の評価が高い。演技者としては、晩成型の女優さんだったということだろう。今も健在であることは嬉しい。
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