道々の枝折

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NHKへの信頼

2022年05月27日 | 人文考察
「大河ドラマ」の視聴率は、視聴者=国民のNHKへの信頼度と連動しているのものだろうか?
NHKはこの10年ほど、政権忖度の報道姿勢に偏り、日本の報道分野において視聴者から得ていた絶大な信用を失ったばかりか、毎年恒例の国民的歴史劇「大河ドラマ」においてさえも、視聴率の低迷が続いている。
政治がメディアの報道に対してあからさまに注文を付けるようになった頃から、この現象は顕著になってきた。

「大河ドラマ」が、茶の間のエンターテインメントの王座を降りたことは、NHKも認めざるを得ないだろう。
「大河ドラマ」という、日本のある時代の歴史の骨子に、現代人に共感を呼ぶ色付け肉付けを施して毎週放映し、1年間で完結するドラマづくりそのものが、視聴者に飽きられつつあるのだろう。

歴史再編ドラマは漫画やアニメの方が内容豊かでインパクトがあり、若者はそれに馴染んでいる。漫画原作のドラマ化はほとんどが成功するが、脚本を漫画チックにする手法は、度々となると発想が陳腐になりがちで視聴者に飽きられてしまう。大河ドラマは、分岐点に差し掛かったのだろうか?

「紅白歌合戦」を大晦日に視聴しなければ、正月が迎えられなかった世代の私から見ると、「紅白歌合戦」を罷める罷めないの議論が局内に出ること自体、社会の変容、時代の推移を痛感せざるを得ない。

演歌が若者に受けず、後期高齢世代だけの懐かしの歌謡になり、民放局でベテラン演歌歌手たちの歌謡番組が十把一絡げで〈夢グループ〉に丸投げされるのを観ようとは、夢想もしなかった。何と昨今では、出演歌手たちに司会までさせるのが当たり前になった。
イントロに乗って大物司会者の名セリフで始まる歌謡曲黄金時代のNHKの豪華な歌謡番組を視聴したことが、夢幻のようである。

戦後のテレビ放送開始以来、信仰と言えるまでに国民各層からの信頼を得てきた日本放送協会に昔日の面影は無い。社会のNHKに対する信頼と期待が、これほど低下したことは、かつてなかった。NHK=良心的電波媒体のイメージが崩れたのは、いつ頃からだろう。明らかに、人事権と予算の承認権を握る政権が、番組や報道など放送運営に容喙し出した頃と、時期は一致している。

もしNHKの番組視聴率にテレビ離れの兆候が見られるなら、それは民放テレビ局においてもっと顕著であることは言うまでもない。タレントMCの首をすげ替えて報道ワイド番組の延命を図るような場当たり策では、根本的に視聴率の向上には繋がらない。
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