かつて当ブログに「偏好食品」を投稿した。その中のひとつ焼きくさやの瓶詰をたまたま通販サイトで目に留め、矢も盾もたまらず発注してしまった。本当は焼き立てを食べたいのだが、そんなことをしたら、家族から絶縁される。
かつて油粕を原料に有機肥料をつくろうとして発酵に失敗、発生した悪臭が1週間も消えず、同居家族から総スカンを喰ったことがある。凡ゆる消臭手段が役に立たず、家父長としての信頼を失った。特に孫たちからの非難の嵐は痛切に堪えた。事故だと説明したが、誰も許してくれない。以来、有機肥料の試作は絶った。
妻はくさやの匂いを嗅ぐとヒステリーが起り体調が悪くなる。
やむなくサクラの咲き揃ったある日のお昼時、風通しの良い物干し場に出て慌ただしく瓶の中身を取り出し、お茶漬けにして焼きくさやの干物を満喫した。本当は、これを肴に日本酒をちびちび飲むのが、最も嬉しいのだが・・・
折悪しく物干し場と接するお隣の駐車場に、その家の奥さんが現れた。コチラは狼狽したが、アチラも愕いたことだろう。慌ただしく車に乗り込んだ。
妻には常々、くさやの臭いは町内の1ブロック約50m四方を汚染すると脅かされている。
居室に戻ると、途端に妻が反応した。衣服に臭いがついていると云う。
妻は嗅覚が鋭敏で0.1ppm=10,000,000分の1を嗅ぎ分ける鼻をもっている。仕方がないので、脱臭のため1時間ほど太陽光線に全身を曝露しながら散歩した。サクラやタンポポは嗅覚がないから安心だ。
かつて当ブログ「乳酸発酵食品」でエントリーしたことがあるが、発酵臭と腐敗臭とは歴然と違う。腐敗臭は避けなければいけないが、発酵臭に惹かれるのは異常嗜癖でも特異体質でもない。発酵菌と腐敗菌の違いは、高校の生物の授業でしっかり体感させておくべきだ。発酵臭と腐敗臭を弁別できない人の数が圧倒的に多いから、誤って迫害が起こる。
発酵臭にも、アルコール発酵のようにスイートなものから悪臭まで、いろいろ段階がある。一般的に嫌気環境で繁殖する菌に悪臭を発するものが多く、より好気環境で繁殖するものに悪臭は発生し難い。乳酸菌より嫌気環境を好む酪酸菌などは悪臭が甚だしい。酢酸菌や産膜酵母菌なとは好気性の菌なので、悪臭を出さない。酸素と紫外線は、この世を明るくしてくれている。
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