今は亡き山友と老生が、それぞれの事情で共に山に登ることを諦めた時、ふたりで「近江の歴史探索」をしてみようと思いついた。
愛知県に住む山友と静岡県に住む老生とが、JR東海道線を使って、毎月1回、滋賀県内の史跡を探訪するというものだった。現地での行動は8時間、往復に8時間を要するが、話す材料が山とある我々には、その時間は全然苦にならなかった。
ある時は「深坂古道」を歩いてみたり、またある時は中仙道「番場宿」から「針摺峠」を越え北国街道「鳥居本宿」に降ってみたりした。分断している旧中仙道を縫い繕うように歩いて、往古の名残りを街並みから沿道の風物から探り当てる。
そのように、滋賀県内各地に存在する古代や中世の遺跡・遺構を訪ねているうちに、現地の伝統食フナ寿司の味を覚え、家に持ち帰るようになった。近江にはフナ寿司ばかりか、ウグイやハスを熟れ寿司にする食文化がある。
有史以前から、淡水魚の保存法のひとつとして、連綿と続いてきたものらしい。寿司をつくるというより、春の産卵期に大量に獲れる淡水魚の漁獲を保存する目的で、弥生時代の人々は乳酸発酵を活用したものらしい。各地にある伝統の熟鮓も、ルーツは保存の目的だったものが多いかもしれない。
現代でも、滋賀県内ではフナ寿司を作る家庭も多いと聞く。名店ばかりでなく、地元のスーパーでも、惣菜として販売されている。
我が家に持ち帰ったフナ寿司を、初めて開封した時の妻の驚愕ぶりは、記憶に遺るものだった。
異様なまでに嗅覚の鋭敏な彼女は、フナ寿司の匂いが耐えられないと、食卓から遁走した。その妻が、今日では、私の目の前でフナ寿司のお茶漬けをサラサラと食べている!?変れば変わるものである。
今年の春先に、当人が気温の変化について行けず体調を崩し、何となくおなかの調子が良くないと言っていた。その対策として、なんとフナ寿司を密かに彦根の店から取り寄せていたのだった。
なんでも近江の人々の間では、古くからおなかの調子が悪い時にフナ寿司を食べると治るという言い伝えがあることを、テレビで観て知っていたらしい。
いつもは、小田原の外郎本舗の「ういろう」を常備薬にしている彼女だが、コロナ禍で鉄道を使って買いに行くことができず、備蓄を切らしていた。
テレビで鮒寿司の効能を聞いて、試してみる気になったに違いない。
フナ寿司の乳酸菌が腸内の細菌叢のバランスを調整する効果は、自家製のザワークラウトを毎朝食べている私には、納得できる効能である。効能はてきめんだったと見え、あれほど毛嫌いしていたフナ寿司を、日常的に食べるまでに成長した。
この流れで、妻が忌避するもう一つの食品、「くさやの干物」を食べるようになって欲しいが、こちらは効能がある訳でなく、全然見込みが薄い。「焼きくさや」の瓶の蓋を開けただけで、絶叫が始まる。好物が食べれないほど辛いことはない。
本場新島に泊まって、心ゆくまで誰にも煩わされず、くさやの焼き立てを賞味してみたいのが、最近の老生の切実な願いである。
今お店で売ってる鮒ずしは食べやすくなってます
琵琶湖周辺の昔から自家製で作ってる鮒ずしはかなり強烈かも、、、、でも私は食べますが、
鮒ずしチーズ感も有りますよね!
コメント有難うございます。
私はフナ寿司で飲む日本
酒が大好きでした。
今はお酒を已めたので、満足感が半減しています。風土が生んだ食品は、どれも感服しています。
いつもありがとうございます~、
フナ寿司ですか、他県の方に興味を頂いて有難うございます、私の子供の頃は家で漬けていましたが
いつの間にかしなくなりました、
琵琶湖の水の汚染や外来種のブルギルは
凄く強いですね、鮒が食べられても仕方ないと言うか、あんな怖い顔した魚、私も見ただけぞ~とします、
確かに乳酸菌発酵ですが、病気が治ると言うのは初めて聞きました(笑)、
私は、昔から鮒より、発酵したご飯を食べるのが好きでご飯だけをよく食べていました
魚は噛みきれなくて😓
滋賀県民でありながら、フナ寿司の事に感心がなくて、そう言えばスーパーに置いている所があります、滋賀県は海が無いから昔
琵琶湖の魚を保存食にしたり、小魚を佃煮に、していたのだと思います、
売っている、佃煮あゆ、うろり、ワカサギ等今は値段が高いだけで昔の様な美味しいと
思いません、買うだけお金勿体ないと思います、これは琵琶湖だけの問題ではないですね
有難うございました🌠
あのフナを漬けて発酵したご飯が
お腹に好いようです。
今はすっかり回復しています。
私は普通のご飯にフナ寿司と漬けたご飯を乗せ、お茶漬けにして食べています。