毎朝の散歩は、裏の公園の石段登りから始まる。園内のアキニレは裸木となり、同属のケヤキも疾うに葉を落としているが、クヌギとハゼノキは辛うじてまだ梢に葉を残している。
標高30mほどの丘の南面を梯階状に築造したこの公園は、知らない人なら城址と見紛うに違いない。本丸に該る頂部の方形広場に石段と巻き道が通じ、帯曲輪と呼ぶに相応しい小広い平担地もある。其処には遊具があって、子供達の好い遊び場となっている。
常緑と落葉の木々が入り交じる園内の林の中にはリス(タイワンリス?)が棲み、朝はその姿を見ることが多い。野鳥も種々寄り来り、今頃はムクドリとメジロが目立つ。ツグミが落ち葉の中から飛び出すこともある。
薄暗い林のところどころに、木洩れ日を受けて黄葉を燃え立たせているのは暖地性の低木イヌビワで、この葉が木枯らしに吹き払われると、遠州南部も本格的な冬になる。
丘から平地に降りて車道に出、川沿いの道を下る。2Kmほど下流で周囲6Kmの湖に注ぐこの川には水鳥が多く集まり、散歩する人達の目を楽しませている。川幅と岸の高さがちょうど好い具合で、人と鳥との距離が適当に保たれるからだろうか、水鳥は人影を怖れない。
真っ先に目に入るのは、瀬の中央で水に足を浸している白いコサギ。川岸の葦の枯れ葉の蔭に佇ずみ、水面を凝視しているのがアオサギで、こちらはほとんど動かない。カワウは存外人に敏感で、近づくとすぐ舞い上がり泳ぐ場所を頻繁に変える。
橋の下手ではオオバンの群れが散開し、盛んに水中に潜って採餌している。その少し下流をカルガモの群れが遊弋する。オオバンとカルガモの群れには、それぞれ今年生まれた幼鳥たちが混じっている。
河口に近づくと流れは淀み、岸辺にはシノダケやヨシ、ノイバラなどが密生し、土堤に沿ってハゼノキが並ぶ。
一段低い川べりにコゴメヤナギの大木が生え、幹を川面に張り出している。この樹は湿地を好む自生種だけあって、水によく調和し印象的な景観をつくりあげている。
此処から土堤は次第に高くなり、河口手前の最も高い地点に橋が架けられている。この橋はちょうど散歩コースの折り返し点にあたり、これを渡って来た道の対岸を起点に戻る。
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