道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

赤ワインの効能

2018年02月05日 | 随想
酒の種類によって、気分や感情の刺激に違いがあることを、イギリスの研究者が世界21ヶ国約3万人(1834歳)のアンケートに基づく調査によって証明した。
米国在住の内科医大西睦子氏が、雑誌「選択」20181月号の連載「不養生のすすめ」の中で、「酒の種類で変わる酔い方」として紹介している。

長い飲酒の習慣で、なんとなく気づ
いていたことが、単なる気のせいではなく客観的な事実だったとわかって嬉しい。

調査では、赤ワイン、白ワイン、ビール、蒸留酒を比較しているが、赤ワインのリラックス効果が他の酒より高いとわかった結果には、関心が集まるだろう。

酒を飲んで現れるポジティブな感覚のひとつに、リラックス感という項目があり、赤ワインはアンケート参加者の53%、半分以上もの人がそれを感じていたという。赤ワインは他の酒に比べ癒しの効果が高いという説が、統計的に確認された。ビールがこれに次ぐそうだ。

自身の体験でも、赤ワインを飲んだときは、心身のリラックス感が違うと感じていた。白ワインはアンケート参加者の25%しかそれを感じていない。赤ワインの半分だ。蒸留酒はさらに低い。

ネガティブな項目では、赤ワインは白ワインや蒸留酒より3倍も多くの人たちが、身体に疲労感を感じている。体が重くなる感覚だろう。

私はアンケートの回答者の言う疲労感を、筋肉の弛緩感覚を意味すると推測している。肉体労働をして疲労物質が溜まり硬直した筋肉を、弛める働きが赤ワインにはあると、自分の体験から確信している。

かつて幕営登山を共にした山友は大のワイン好き、必ずビールとワインをザックに容れてきた。昼間の登行でカチカチに硬くなった四肢の筋肉が、ワインを飲むと怠さと共にじんわり弛むのを幾たびも体験した。他の酒よりも顕著な効能だった。

赤ワインは、心身のリラクゼーション効果が高い反面、日本酒同様抜けがよくないということはあるようだ。原料に由来するかまたは醸造の過程で発生する微量化学物質の働きで、醸造酒の抜けが悪くなるのを、私たちは経験的に知っている。中高年になって、焼酎など蒸留酒を嗜好するようになる理由のひとつだろう。

赤ワインに由来する成分が、アルコールの働きとは別の刺激を脳に与える可能性もあるらしい。ミラノ大学の研究者が、赤ワインにはメラトニンという睡眠に関わるホルモンが含まれていることを指摘したという。メラトニンはブドウの皮に含まれていて、発酵後の赤ワインに残留するらしい。ワインを飲むとよく眠れるのはその効果だろうか?

かつて赤ワインは心臓病の予防に効果があるとする「フレンチパラドックス」なるものが、大真面目に喧伝されたことがあった。現在では、その因果関係は、赤白ワインの別なく適切な飲酒量、ということに落ち着いたようだ。

メラトニンは体内でも生成されている。沢山あるのが良いわけでもない。赤ワインだけ飲んでいれば健康になれるというものでもない。健康に関わるのは、酒の種類でなく量であることだけはハッキリしている。


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