道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

美人スパイ

2010年07月17日 | 随想

先日テレビのある番組で「男性の美人への反応」と「女性のイケメンへの反応」について、興味深い比較調査が放映された。

調査の方法は、コンビニの店内に美人と普通の店員とを別々のレジに配し、男性の来店客がどちらのレジで支払いをするかを、隠しカメラで撮影する。そして支払いの直後に、店外で客にインタビューし、レジを選んだ理由を確かめる。同様に、女性客に対しても、イケメンと非イケメンの店員を別々のレジに配し、撮影とインタビューをおこなう。これで男性、女性のそれぞれが、面識もなく何の関心も抱いていない初見の異性の外見に、どの程度左右されるものかを判定するというものだった。

予想どおり、男性客の場合は年齢に関係なく、ほとんどが美人店員のレレジで代金を支払っていた。その客達に店外でインタビューしてなぜそちらのレジを選んだかを訊ねると、皆が「綺麗だったから」と答えた。男性の客たちは、さりげなく美人の店員に反応していたのだった。

一方女性客となると、意外にも男性客とは対照的な行動を見せた。彼女等の進むレジは、イケメンと非イケメンそれぞれのレジに均等に分散され、差はほとんど表れなかった。店外でのインタビューでも「イケメン」を意識して行動したという回答はごく僅かだった。

調査の結果は、男性は100%近くが美人、すなわち女性の容姿を強く意識するのに対して、女性は男性の顔や体型の好し悪しより、もっと全体的な印象や当人がもっている雰囲気の方により注意を払うことを示していた。男の容姿は、女性にとって重要な選択要素にはならないということである。

それほどに、世の男性は美人を認識する能力が高く、美人が好きである。23歳の幼児から90100歳の老人にいたるまで、これだけは年齢に関わらず共通しているようだ。どんなにさりげなくふるまっていても、男性は即座に美人を見分け、見つけ出すことができる。男性の脳には生まれつき美人を識別する機能が具わっているとしか思えない。

更に、識別能力が高いだけでなく、男性は総じて美人に弱い。これは猛烈な執着心があるからだろう。男性週刊誌から美女のグラビアを省いたら、売り上げは激減してしまうに違いない。実物であれ映像・画像であれ、男性というものは年がら年中美人に接していたい願望の持ち主と言っても過言でない。男性向け商品のテレビコマーシャルを見ればわかる。全ての男性が美人の意を迎えたいと願っているから、幸運な彼女等は男性に対して圧倒的なアドバンテージをもつことになる。それは一種の権力と言ってもよいだろう。

一般に彼女等美人が時に高慢に見えるのは、男性達の中に居るときが多く、同性に混じっているときはそのような素振りは微塵も見せない。女性同士の間では、美貌はパワーとならないことをよく承知しているからだろう。女性は美人に憧れや羨望は抱くことはあっても、その美人そのものを欲しはしないから、相手に対して全く弱みがない。彼女らが欲するのはただひとつ、自分だけが衆に傑れた美人になることだけである。

「人は見た目が9割」という本が売れているようだが、まさに美人は見た目で判断される最たるものだ。学校でも職場でも、やることなすこと美人というだけで好意的な評価を得ることが多い。美人には、潜在的に男性の味方が多い。反面、同性に潜在的な敵も多く、案外公平は保たれているのだが・・・

新聞、週刊誌が記事中の女性を説明するのに「美人〇〇」とするのは、記事への関心を高める常套手段である。美人を冠することで、見出しは男性読者の注目を惹く。昨今は女性の男性化傾向もあって、女性週刊誌などでも「イケメン〇〇」の見出しが躍ることも多くなっているが・・・

アメリカでFBIに摘発されたロシアのスパイ団は、その中の主犯格の女性がとびっきりの美人であったから、国中、いや世界中で大騒ぎになった。

スパイ事件としては、重大な秘密の漏洩など国家的な損害はほとんどなかったようだ。それでもこの美人スパイの報道にとりわけ関心が集まったのは、彼女の美貌と具体的な工作の実態や手法に、多くの男性が興味をもったからだろう。真物のスパイ、しかも美人とあっては、メディアは放っておかない。

取材する記者達やカメラマン達は男性が大半だから、対象が美人となると我知らず取材に力が入るのかもしれない。その意気込みが記事や画像に表れ、ますます読者の関心を盛り上げる。騒ぎの輪がみるみる広まることになる。

美人をスパイに仕立てる意義は、ハニートラップと謂われる色仕掛けが、情報源の男性に対して極めて有効に作用するだからだ。それは大昔から諜報活動になくてはならない手段のひとつだった。

いつの時代でも、国家の重大な機密情報を握っているのはほとんどが男性だから、女性スパイは美人であるほど諜報活動がしやすい。才色兼備は女性諜報員の必須条件であるといってもよいだろう。並はずれて志操堅固で聡明な男でも、下半身の脆弱性は普通の人間と変わらない。むしろ、志操が堅固なだけにより脆弱かもしれない。

捕まったスパイ団は、ロシア側との政治的取引の結果、先方で収監されていたアメリカ側のスパイ達と交換され事件は落着した。美人スパイは、今回の事件で市民権を剥奪されたイギリスへの移住を希望しているという。そうなればイギリスでまたひと騒ぎあるだろう。

彼女の生まれ故郷では、国家の英雄として名誉市民に推す運動がはじまっているという。これにも、美人ならではの有利性が作用していると見て良さそうだ。


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