尾根乗っ越しの駐車地点から東へ3分ほど歩くと、左側にワイヤで車両の進入を閉ざした林道入口がある。ワイヤをくぐってその林道に入る。しばらく歩くと広場に出た。直進と左折に道が分れている。そのまま直進する。
道は〈マンボウ山〉の頂稜部の西側を巻いて緩やかに下っている。左手の谷側に下り道が現れた。この道を下りきると、マンボウ山から派生している尾根の平坦部に出た。
ここから下は道が途絶える。そのまま傾斜のきつい尾根を下る。尾根の北側の谷に入ってはいけない。急崖で沢に降りられなくなる。進路の途中にたった1本、ブナの木があるので、それを目印に、より南側の斜面を降るのが好い。降りきったところが〈シイガ沢〉だ。
左手上流側(西方向)を見ると、進行方向は二俣に分岐している。左の枝沢は4年前に遡行済み。今回は右の枝沢に入った。
写真中央部に天然アマゴの姿
沢の入口から、極く浅い小渕が連続している。水深は30センチぐらいだろうか。天然アマゴの姿を認め映像を記録する。
更に進むと右手から枝沢が現れた。その枝沢は見送り、そのまま先へ進む。また二俣に出たので、左の枝沢に入る。
普通はこの辺りまで入ると、もとに戻る順路はまったく分からなくなる。沢の上りと下りでは、景観が一変して、記憶は頼りにならない。 尾根上なら、遠近の指標物でチェックできるのだが、沢ではそれは不可能だ。
この沢を下へ降って帰ろうとしてはいけない。ただ上へ上へと登るのが安全だ。〈シイガ沢〉は上流部の勾配は緩くても、下流はある地点から天竜川に向かって滝のような急勾配で落ち込んでいて、其処から先は、ロープなしでの下降はできない。
50mほど進むと左手の岸は小高い平地となり、その先で左手から下る小沢に進路を阻まれた。流木が厚く堆積し、沢の出合い部が確認できない。傾斜が急な、水のほとんど無い小沢を遡る。
30mほど小沢の中を歩き、終端部で左手の小尾根に取り付く。小尾根を登り切るとそこは主尾根の途中で、なんと10mほど下に林道が通っていた。林道に降りて右に進むと、10分足らずでスタート地点近くの広場に出た。沢に精通した地元の人だからこそ辿れる順路だ。
たった小半日のミニ沢歩きだが、林業が廃れたために林道が荒廃し、人の入らない渓になってしまったシイガ沢。このまま静かに、遠い昔の自然に還ってもらいたい。この沢の紅葉はとても美しい。
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