そのオタマジャクシは、足が出て尻尾が短くなるにつれ、鮮やかな虹色になりました。しかし、なんともおどろおどろしい渦巻き模様。
そう、皮膚の粘液に猛毒を持つ、新しいヤドクガエルの誕生です。
(ヤドクガエル:アマゾンに住む、カラフルなカエル。
皮膚の毒の粘液がヤジリに塗られて、狩猟に使われることで有名。
写真は 普通のヤドクガエル )
カエルの天敵の鳥やヘビは、その鮮やかな模様を見るだけで、避けていきます。
だけど他の動物も近寄ってきません。
彼は、実はとっても寂しがり屋なのに、友達ができません。
ヤドクガエルは、その身に毒があることを悲しみました。しかし、それでこれまで生きることができたのですから、しょうがありません。
あるとき隣のジャングルから、事情を知らない旅のツノガエルがやってきました。
ヤドクガエルを見かけて、道を聞こうと近づいてきました。ヤドクガエルは喜んで説明しました。
「ありがとう」
ツノガエルは、握手をしようと手に触れました。
すると一瞬にして、白目をむき、そして泡を吹いて倒れてしまいました。
近くにいたコモリガエルのおじいさんの薬がなかったら、そのまま死んでしまったことでしょう。
「わかったよ、触ってはいけないのだね。」
ツノガエルは、そこに咲いていた花びらを利用した、きれいな服と手袋を作りました。とてもお洒落でしたが、保護色が失われました。
ヤドクガエルは嬉しくって、2人で一緒に歩き回りました。
目立つヤドクガエルの横を、おいしそうなものが動いている。
鳥が見つけました。そしてスーと降りてきて、服を鍵爪で引っ掛けました。
ツメガエルがばたばたしたのと、何かが一瞬ピカッと光ったため、鳥の目がくらみカエルを5mの高さから、落っことしてしまいました。
彼は片足骨折程度で、なんとか地上に生きて戻ってくることが出来ました。
ツノガエルは、治るまで大きな葉の陰にじっとしていることにしました。
ヤドクガエルは、いろいろと食べ物や日用品を準備し、ツノガエルのところへ持ってゆきました。
「ありがとう。だけど悪いけど、もうこないでね。君は目立つから、ヘビが僕に気付くかもしれない。」
「いいよ。」
帰る途中、ヤドクガエルは大きな声で泣きました。
だけど、こんなに目立った色でも、こんなに大声でないても、誰も近寄ったり、襲ってきたりしないのです。
僕はずっと一人なのだろうか…… ヤドクガエルは、いっそう悲しくなりました。
空の上では、若い神様が頭を抱えていました。
お父さんの神様から教えてもらった方法(遺伝子操作)で、新しいマスコットのカエルを作り、女神にプレゼントしようとしていたのに、うまくいかなかったのです。
だけど先ほどの光をみて、もう少し様子を見ることにしました。
ツノガエルが、びっこを引き引き歩き出すようになってからも、ヤドクガエルは近づかず、遠くから見守っていました。
いきなり彼が立ち止まり、横を見ました。
「あ、ヘビ」 スルスルと近寄ってきます。
金縛りにあったように、ツノガエルは動くことが出来ません。
動くことが出来たとしても あの足では……。
ヤドクガエルは、ホップステップジャンプと、これまでで最も早く、遠くまでとび、ヘビとツノガエルの間に立ちました。そして、ヘビと向かい合いました。
食べられないけど、うろこで覆われた尻尾でピンッとはねられたら、大けがどころか・・・・・・。
うしろのカエルの恐怖を感じ、自分が犠牲になっても守らなければとおもうと、身体が熱くなりました。
すると、ヤドクガエルの毒と皮膚が反応を始め、金色になりピカーッと光を放ちました。
ヘビの目がくらんで動けない間に、彼らは逃げることが出来ました。
そのヤドクガエルは、そのときから金色のカエルになりました。
その身体の表面には、もう毒がありませんが、天敵が来ると、自分自身、そして周辺のカエルの恐怖を感じて、身体が熱くなりピカーッと光を放つのです。
<これは もう既に崩壊したSNSで 2006年11月に書いた童話です。 この時それなりに読者がいましたが、投稿のすぐ後トラブルに巻き込まれ、撤退に至りました。なんと もう11年前になるのですね。
その頃お付き合いしていた人たちに、私はここにいるよということで、再掲載(再々っ掲載かな)します。>
biyoriさん コメントありがとうございます。
これは その頃のSNS内の友人にある記事の「カエル」をもとに、何か書いてくださいと言われて、すごく忙しかった時期に、自分の子供をイメージして書いたものです。
後半を見たらわかるのですが、科学好きになってほしいと思って書きました。
忙しかったから、こちらも書けたのでは都思います。かなり暇な今は書けませんから。
大声で泣いたシーンが絵になって頭に浮かんで切なさMAX。
さらにツノガエルを助けるシーンで涙腺崩壊ですよ〜。
心優しいヤドクガエルの金色の光が、誰かの護りの光となって
周りがたくさんの仲間であふれますように(祈)
続きをお待ちしてます。
素敵なお話、ありがとうございます!