てんちゃんのビックリ箱

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映画 「働く細胞」  感想

2025-02-04 00:18:12 | 映画
観賞場所:イオン大高シネマ




観賞日:2025年1月27日 
監督 武内英樹
脚本 徳永友一
原作 清水茜 原田重光 初嘉屋一生
キャスト 
 赤血球AE3803(演:永野芽郁)、白血球U-1146(好中球)(演:佐藤健)
 キラーT細胞(演:山本耕史)、 NK細胞(演:仲里依紗)、マクロファージ(演:松本若菜) など



 写真は公式HPから

 この映画は、原作も読んでいるしアニメのほうも時々見ていた。映画のポスターの白血球の白塗りの顔を見てゲテモノっぽく感じたが、評判がいいので行ってみた。

 その結果は、映画をそれほど見ない人はとてもわかりやすくていい映画と評価するだろうし、映画漬けで拘ってガリガリと見ている人にはテンポも悪いし子供だまし、下らんという評価になるだろうなとおもった。私は前者側でとても面白かった。

 概要は以下のとおり (https://eiga.com/movie/99128/からの引用)
「人間の体内の細胞たちを擬人化した斬新な設定で話題を集め、テレビアニメ化もされた同名漫画を実写映画化。原作漫画「はたらく細胞」とスピンオフ漫画「はたらく細胞 BLACK」の2作品をもとに、ある人間親子の体内世界ではたらく細胞たちの活躍と、その親子を中心とする人間世界のドラマを並行して描く。」

 人間の親子パートは、阿部貞夫/芦田愛奈の豪華コンビが、社会における人間の単純なドラマを演じて、その外界からの刺激が体内細胞へ与える影響、逆に細胞と外界からの細菌等の侵入者との戦いが人間本体へ与える影響などを表現している。

 擬人化された体内の状況は、大規模の赤血球のマスの移動、その中で侵入者と戦う白血球やNK細胞、キラーT細胞とともに、肝細胞や血小板などをうまく擬人化して、それぞれの機能をあらわしている。テレビの「大奥」で共演した仲里依紗と山本耕史が、NK細胞とキラーT細胞として共演しているのはガラッと役柄が違って笑える。

 体内の赤血球の循環機能や体調を維持する機構、そして細菌が入って来た時の歳起因防御機構、白血球の異常で癌化した場合の状況と治療で生じることなど 非常に勉強になる。

 そういったことを擬人化して繋いで行くのだが、悪役の細菌などになるベテランで人気の俳優それぞれに時間を与えて存分の遊びの面白い演技(見栄を切る)をさせている。また白血球などと細菌の戦いをワイヤアクションで奇抜かつ派手に撮っている。それらがある意味歌舞伎のようにのんびり繋ぎ合わされている。特にばい菌の片岡愛之助が面白い。
 こののんびりした繋ぎ方が、多くの一般の観客には理解しやすくコミカルで心地よいのだろう。それに対して映画漬けの人にとっては、どんどん迫ってこい、次のびっくりすることはなんだ・・と思ってみているから、スピード感や緊張感がなく、空振りばっかりでがっかりするのだろう。

 私は面白いと思ったが、気にかかることが2つあった。それは下記である。
(1)実写でバッサバッサと問答無用で外敵を殺すこと
(2)敵を倒した時の敬礼

(1)実写でバッサバッサと問答無用で外敵を殺すこと
 漫画やアニメの時は、異分子のせん滅というのは当然の生体反応として特に違和感を持たなかった。しかし実写の場合はリアル過ぎていいのかなと思った。白血球などはちょっとした刺激で、たくさんの赤血球に囲まれた中でもナイフを振り回す。
 例えば異邦人を異分子と見なして排除に動くこと、また自分を世間の中で隠れた白血球と見なして、秘めてナイフを持ち歩くことなど、勘違いして考えうる人のイメージが浮かぶ。
(2)敵を倒した時の敬礼
 今回、ばい菌がくしゃみのカプセルに封じ込められて、体外へ放逐されるさいに全細胞が敬礼で見送った。以前ゴジラの映画で、ゴジラが致命傷を受けて沈んでいく場面で、敬礼で送ったことへの違和感を書いたが、今回はもっと違和感を感じた。
 一般に敬礼の対象は、以下となっている。
「一般的には下位者が上位者に対して行う動作です。また、同位の者同士でも敬礼を交換します。敬礼の対象となる相手には、次のようなものがあります。目上の人、重役や重要な顧客、尊敬する人、高貴な方、 皇族など。」

 今回の場合は、相手は間抜けで全然たいしたことなかったし、敬礼する対象ではない。それを敬礼で送るのは、「ざまあみろ」というニュアンスがあると思う。原作では白血球一人がやっているのでそれでいいが、全細胞がすべて敬礼でおくるというのは、軍隊的で不気味だ。この映画は子供もたくさん見るように想定されているので、誤解されないようにしたほうがいい。逆に敬礼そのものをギャグに貶めようとしているのなら、それは面白い。

 なお赤血球と白血球を同じ役者がずっと演じていたが、人間の細胞がどんどん変わっていくという動的平衡からみれば、赤血球の寿命は120日、白血球は長くて1週間の寿命らしいから、どんどんお互いが知らない細胞に置き換わっていることになる。

 改めて昨日原作漫画の1巻を読み返してみたら、スピード感、造形とも圧倒的に原作のほうが面白い。映画を面白いと上で書いたのは、採点基準を甘くしすぎたかも。

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