住宅地の花壇で見つけたシコンノボタン、今年は2週間も早く咲いている。深い瑠璃色で静かに咲いていた。
何という物静かなたたずまい、この花を見ると優しかった彼女を思い出す。
歌友であり少女のような無垢な人だった。何事にも控えめでよくお話し相手になってくれた人。彼女の好きな花がこのシコンノボタンだった。
悲運にも病魔には勝てず浄土へと旅立った朝、彼女のお宅の庭に
このノボタンが静かに咲いていたのだった。
数えればもう14年も前のことになる。
今、手元に「念ずれば花ひらく」の彼女の遺歌集がある。
その時に寄せた私の挽歌が蘇る。
★ ひたむきに生きたあなたの命です
ノボタン咲いたよ 雨も降ります 夕庵
今夜は彼女を思い出しながら静かに過ごそう。