小さな栗の木の下で

保護犬のミニチュア・ダックスを引き取り、
小型犬との暮らしは初めて!という生活の中で、感じたことを徒然に…。

クリの見てくれ-その2

2013-02-07 | 犬&猫との暮らし

 昨年5月に右ほほのメラノーマ切除手術を受けたあと、7月くらいからクリの右目の上がへこんできた。酒井先生も「ん? 何かへこんでいるような……」と言う。

 そのうちにどんどんへこんできて、今では右目が落ち窪み、眼球があさっての方向に引っ張られてしまっている。普通にしていると白目しか見えなくない時がある。

 人が見たら、かなり怖いかもしれない。毛が生えない温泉まんじゅうをくっつけ、片目がへこんで白目だなんて、なんという見てくれになってしまったのだろう!

          

 メラノーマの手術の際に三叉神経のうち、どれかが傷ついたのではあるまいか。この辺りの筋肉を司る神経が切れれば、筋肉が動かず退化(?)していくことになる。だから、へっこんできたのでしょう。

 へこむだけで他に支障がないのならいいのだけど、目が窪んで眼球があっちを向いてしまい、溜まった涙が眼やにとなり、視野が狭くなっているというのでは、クリがあんまり可哀想じゃないですか。

 クリは眼やにがうっとうしいらしく、よく前肢で右目を拭うようなかっこうをするけれど、それ以外は憂鬱そうにするわけでもなく健気に暮らしている。

 今までは私の左側を脚側歩行させていた。つまり私がクリの右側を歩くわけです。でもクリは右目の視野が狭くなってしまい、私が見えにくくなったようなので、公園で自由に歩かせるときも、なるべくクリの視野に入るようにしてあげている。クリちゃん、頑張れ!

            

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クリの見てくれ-その1

2013-02-07 | 犬&猫との暮らし

                      

 昨年初頭にクリの右首根っこに見つけたパチンコ玉大のしこりは、11月半ばに約3センチほどになり、あれよあれよという間に大きくなってしまった。温泉まんじゅうのような大きさだった。


 酒井先生も私も多分よろしくないものだろうと思い、どう向き合っていくかを考えていたのだけど、悪性腫瘍にしても抗癌剤治療はしないのであれば、リスクを冒して細胞を採取して、この腫瘍が何かを検査する必要はないのではないかというのが先生の意見だった。

 リスクというのは局所麻酔をすること、そして太い針が付いた器具で肉片を採取するため出血する可能性があるということだ。一度、細い針で注射器で細胞を採取したのだけど、そんな少量では正確な診断が付かなかったのだ。右ほほにできたメラノーマかもしれないし、別の組織も見られる程度では経過観察しかしようがない。

 局所麻酔をして細胞を採取するかについて、先生は「飼い主さん次第」だと言った。ううむと悩む私。
 もし早期に成長したクリのこの腫瘍が何か分かれば、先生の臨床例として残り、今後の診療の役に立たないとも限らない。クリがこんな不愉快な思いだけして、何だか分からないものに傷めつけられて終わるより、先生の臨床例として記録に残り、役に立つほうがよいと、私は思った。結局
、細胞組織を採取することにした。

 「先生の都合のよい日でけっこうです」と言ったのが12月18日。すぐにはしないだろうと思っていたのに、先生は「19日か25日か。明日なら年内中に検査結果が出るかもしれないので、明日19日がいいでしょう」と言う。

 私が「えっ!」と叫んでしまったのは、手持ちがなかったからである。その頃ブナだけでなく、クリも下痢や嘔吐が続いていたので諸々の治療費やケア用品、介護用品になけなしのお金をつぎ込んでいたため、ギリギリの生活だったのだ。原稿料が入る20日を前にしみじみと暮らしていたのに、最もお金がない日に局所麻酔をかける診療をするなんて!

 局所麻酔がいくらかかるか分からなかったので私は思わず「先生、20日にならないと、お金が払えないかもしれません」などと口走ってしまった。先生は「いいですよ」と言ってくれたけど、終わってみれば私がそんな恥ずかしい申告をしなくても済む金額(決して安くはないけれど)だった。赤っ恥であった。

 ともあれ私も立ち会って無事に細胞を採取し、剃毛された温泉まんじゅうが痛々しいクリを連れて帰ったのだった。クリは人が見たら「ぎょっ」とするような見てくれになってしまった。              

 しばらくして先生から「意外だったのですが、肉芽腫性炎という良性のものでした。僕もこんなに大きくなったものは初めて見たし、深部に何かあるにしても、これそのものは悪性ではありません」という電話があった。

 ひとまずやれやれだけど、放っておくわけにもいかない。ステロイド軟膏を塗布して様子を見ることになったのである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

仕事の山を越えて

2013-02-07 | 犬&猫との暮らし

 ブナが角膜を患い、認知症が加速しはじめた頃から、同時進行で4本くらい仕事を抱えていて、毎日その日のスケジュールをこなしていくことにいっぱいいっぱいで、「いついつまでにこれを終える」と決めても、明日のことは考えられなかった。

 へこたれそうになったことはないけれど、多分それは気が張っていたからだと思う。「いま、ここ」という言葉を呪文のように唱えながら、あの仕事を納め、この仕事を終え、転んで左腕を粉砕骨折した父の入退院に付き合い、遠方の取材も日帰りして、犬たちに何かなかったか心配しながら帰宅して、またパソコンに向かい、犬たちを代わる代わる病院に連れて行き……。

 そして、ブナを看取り、泣いている暇もなく課したノルマを果たすべく、時間を惜しんでパソコンに向かい、具合が悪くなったクリの世話をしながら、

 そうして、やっと昨日、大きな仕事の原稿を納めた。

 まだ多少のリライトやテープ起こしは残っているけれど、それはもう大したことはない。自分が決めた締め切りを1週間過ぎてしまったけれど、やっと脱稿した。

 「終わったよ、ブナ」とつぶやいたら、張り詰めていたものが緩んで、ぶわーっと涙が出てきた。気が抜けて、おいおい泣くほど余力がなかった。はらはらと、ただはらはらと涙がこぼれた。

 何とか乗り切れた。今度はクリの「いま、ここ」と向き合っていこう。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする