カヤが来た日、続けざまにシャンプーや病院通いと慣れないことをされたせいか、カヤは、いずれ使う日があるかもしれないと思って処分せずに持っていた8面サークルの中で静かに眠った。
下前歯も欠損しているカヤの寝顔
朝方、クウーンと訴えるように鼻を鳴らしていたので行ってみると、サークル内のペットシーツと床が糞尿にまみれてエライことになっていた。今までずっとケージ内で排泄していたのだから、それは仕方のないことだ。
耳も多少聞こえ、鼻の効くのだから、根気強くトイレ・トレーニングをするつもりだった。リードウォークにも慣れさせていけば、朝起きたときや食後などにうまく誘導することで、たとえ半年かかろうとも1年かかろうともトイレの場所も覚えていくだろうと思っていた。
ところが、カヤはまっすぐ歩けないのだった。たえず旋回している。しかも決まって左旋回である。常にくるくる廻っているので誘導のしようがない。私が声掛けをして近くにいたり、触れてやっていると落ち着いて横になるのだけど、起きているときはほとんと回っている。私が手を叩く音で誘導すると数歩はまっすぐ歩いて来るものの、すぐに廻り始める。
やみくもに左旋回を続けるカヤさん
室内にペットシーツや新聞紙を敷いていても「どこでもトイレ」なので当然決まった場所にすることはなく、したあとにすぐ廻り続けるので踏み散らかされ、我が家は再び「糞尿の館」になってしまったのだった。
シェルターにいたときからカヤは軟便だったが、来た日に血が混じった軟便をし、駆虫後も血便が続いた。それを踏み散らかすので室内は悲惨な状態になってしまう。
おまけにサークルに入れたまま買い物に出て戻ってくると、カヤの鳴き声が聞こえるではありませんか。激しくではないけれど「キャン、キャン、クウーン」と哀しげな声をあげていた。まいったなあ~、集合住宅では鳴き声は一番のクレームになる。新しい場所に来てまだ2日目、不安なのだろうから仕方ないか。
室内に放していても、私が別の部屋で仕事をしていると、廻りながらふとひとりぼっちでいることに気づくようで、ときどき細い遠吠えをする。いちいちそれに応えていては、吠えればかまってもらえると思うだろうから、しばらく放っておき、鳴き止んだタイミングでかまってやることにしている。
カヤの旋回はブナの徘徊とは違うけれど、動き回っている点では変わりなく、糞尿を踏み散らかす点においてもブナと変わらない。ブナが戻って来たみたいで、ちょっと涙が出た。
カヤは手足の毛も長く、踏み散らかすたびにお風呂場に抱いて行き、汚れた毛を洗わなくてはならないし、床掃除にも追われるので、排泄のリズムをつかむまでカヤにはおむつを利用することにした。
そして、全体的に毛を短く切り、足裏や手足の毛にバリカンをかけた。トリマーさんのようにうまくはできなかったが、カヤの被毛はかなりすっきりし、手足を拭くのも楽になった。
犬用のおむつはLサイズ。カヤのしっぽは2センチくらいに切られているため、犬用おむつのしっぽ用の穴からは出てこない。しっぽ用の穴からウンチがこぼれ落ちてしまうので、おむつの穴は塞いで使うことにした。犬用のおむつは割高なので、今、使っているものが無くなったら、今度から人間の赤ちゃんのおむつを代用しよう。
しっぽの穴を塞いだおむつ姿 エサで耳が汚れるのを防ぐ対応策
それにしても、カヤの左旋回は何なのか。ネット検索してみると「犬が左旋回する場合、右脳に腫瘍ができている可能性が高い」と書いてあった。脳腫瘍かぁ、厳しいなぁ。カヤの目もその影響だろうか。次回、通院したときに酒井先生に相談してみよう。