今日はある広報誌の取材で伊豆・修禅寺の修復に携わっている宮大工・田子空道さんを訪ねました。修禅寺は807年、弘法大師が開基したという伊豆の名刹です。
田子さんは江戸時代から6代続く宮大工の家系に生まれ、現在、修禅寺創建1200年大改修工事の設計、監理、棟梁を務めている方です。お坊さんのような風貌と気さくな対応にすっかりなごみながら伺ったお話は、そのなごやかさとは裏腹に、日本人としての誇りを感じさせてくれる熱を帯びたものでした。
修復を終えた修禅寺本堂
9年前、原因不明の病の療養のために訪れた伊豆で、修禅寺の座禅体験の看板に誘われて、くぐった山門。それから田子さんはこのお寺で、4年にわたって座禅と掃除の日々を送ります。宮大工もやめるつもりで無心で座禅を組みながら、ある日、夢に出てきた龍の絵を描いたそうです。ご住職はその絵を見て、おそらく田子さんの中に何かを見い出されたのでしょう。田子さんが宮大工であることなど一言も言ったこともないのに「大改修を任せる」とおっしゃったのですから。
伝統的な日本の寺社仏閣は300年はもつといわれています。だから、田子さんたち宮大工は300年くらいを一周期として考える。それだけの年月を刻んだ堅牢で立派な木材を使わせてもらう以上、それに見合った匠の技がなければ自然に対しても申し訳ない。一生修業ですとおっしゃる。「木から教わる」という奥の深いお話には、思わず聞き入ってしまいました。
私は田子さんの宇宙観というか、自然観が好きだなぁと思いました。説教がましくは言わないけれど、サムシンググレートをしっかり感じている謙虚な心の持ち方、ものの見方には学ぶべきところが多かった。そのお名前の通り、「空(くう)」の思想を体で理解しているといいましょうか、まさに「空」の道を歩いている人。
本堂の修復は終わり、現在は奥の院の修復に向けて準備中。ある年、台風で桂川が氾濫し、上流部から大きな岩が流されてきたそうです。この岩もそのひとつですが、流されてきたどの岩も一面は平らになっていて、奥の院の礎石にもってこい。その数25個。数もぴったり必要な数だったそうです。修禅寺の壇信徒さんたちは弘法大師が起こしてくれた奇跡だと、この岩の写真を撮ってお守りにしているそうです。
田子さんは宮大工の実践学校を作りたいとか。すでに一歩を踏み出しています。「歩み始めたら毎日一生懸命進むだけ。歩き出さなければ達成もできない。始めたということは、すでに達成できたも同然。真摯に向き合えば必ず開ける」のだそうです。な・る・ほ・ど! よ~し、私も頑張るぞ!
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2008年6月23日の記事
宮大工・田子空道さんを訪ねての記事の件でご相談があります。
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nomashin69@gmail.com
「空洞」はひどいですよね。
ご指摘、ありがとうございました。