友人に誘われて、彼女が半年余り通っているヨーガ教室に体験参加してみることになりました。友人はヨーガの先生の話をたびたび聞かせてくれ、とにかく素晴らしい先生だと言っていました。
教室が始まる前、60歳を過ぎたきびきびとした女性が、初めて体験参加する私に向かって「ダアマ・ヨーガは仏教です」とおっしゃる。「えっ?」と思いました。顔が引きつる私。
それから先生の説法が始まりました。友人からは確かに「ヨーガのポーズをする前に、先生は小一時間、いろいろなお話を聞かせてくれるのよ。それがすごく為になるの」とは聞かされてはいましたが、内容は想定外。説法のときもポーズを指示するときも、口調に不思議な抑揚があり、おまけに何かを皆で唱和したり、棒状の石のようなものが打ち鳴らされたりしました。
心の中でずうっと「えぇぇぇ~っ、何だろう、これ?」と思っていたし、言い知れぬ不安にかられたのでした。誘ってくれた友人には悪いのですが、ふっと「オウム真理教」の道場の様子が頭をよぎったのだもの。何か肌が合わない息苦しさを感じ、結局、説法に始まりポーズを学んだ2時間余り、開放感やリラックスする瞬間を一度も感じることなく終わったのです。
ヨーガとひと口に言っても、いろいろあるらしいことは知っていたけど、ここまで極端に宗教色を打ち出されるとは思ってもみませんでした。もともとヨーガは古代インド発祥の修行法であるから、宗教各派の修行として取り入れられてもおかしくはないし、ヨーガそのものが心身の健康によいことは分かります。
ただ、友人が先生を慕う言動を見聞きするにつけ、「これをすれば幸せになる」「こうすれば健康になる」という教えが「これをしなければ不幸になる」「こうしなければ健康になれない」といった、他に選択肢を持たない縛られ方に変わっていくさまに、私は違和感を覚えたのでした。
先生がいいと勧めたものは「絶対いいもの」になる。そのためにはお金も時間も惜しまない。けれど、そういった強い思いはプラシーボ効果も生むし、彼女にとってはいい結果となり、彼女を充分納得させるのでしょう。
彼女が心身ともに健やかなら、私はそれでいいのですが、やはり私は、特定の宗教の修行のようなヨーガ教室に通う気持ちにはなれませんでした。
その日はヨーガ教室の前にも、知人から信じられないような話を聞かされ、私にとって「びっくりウェンズデイ」でした。ホント、びっくりしちゃったよ。
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