トーネードの無職生活

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豊田穣の本を読む

2015-10-24 07:07:58 | 日記
 今、豊田穣の空母「瑞鶴」の生涯という本を読んでいます。豊田氏は海軍兵学校の出身で艦上爆撃機のパイロットとなり、ソロモン方面で撃ち落とされていかだで海上を一週間ただよった末に、連合軍の捕虜になったという方です。その後新聞社に勤められたりして作家になった方です。

 海軍の出身の方ですので、海軍関係を中心にした著作が多いですが、その他にも自伝的なものから陸軍関係、人物伝なども書かれ多くの著作があります。史実を基本にして綿密に取材されて、読んだ感じとしてはノンフイクションと信じてしまいそうです。といってもかなりの部分が実際あったことだろうと思います。

 元軍人の書かれた本は、文章がこなれていないとか、昔の文体のなごりがあって読みづらいものが多いのですが、豊田氏の文章は新聞社に勤務されていたこともあるでしょうが、非常に読みやすくてどんどんと小説に引き込まれて時間を忘れて読んでしまうという本ばかりです。文庫本にしても結構厚い本だったりしても、あっという間に読んでしまうという感じです。

 それと、自伝的な小説というのがひとつの特色です。生まれが満州で内地に戻ってきて兵学校に入学し、パイロットとなり捕虜となるという経験をされているので、捕虜となって生き残ったといううしろめたさとまでは言えませんが、なんとなくそれを引きずっている印象を受ける文章が非常に心に残ります。

 元軍人、特に将校、それも高位の将校になるほど自己弁護というか一面的な見方からの著作になりがちなのですが、豊田氏の作品にはそういったことが全くなく、軍の作戦に対する批判も断固として書かれながら、しかしそれとなく感じさせるように書かれていて、変にひっかかることもなく、作品で言いたかったことを感じさせるものになっています。

 私も、豊田氏の作品を結構読みましたが、大変多くの著作があって、小説というかたちではありますが、太平洋戦争ではこのようなことがあったのだということを記録として残さなければなせないという使命感をもって書かれているような気がします。

 私の好きな作家のひとりです。