10年前くらいから、業績の悪化で名門スポーツ部を廃部にするところがぽつぽつ出ていたが、ここに来てまとまって出てきたという感じがする。西武のアイスホッケーや日産自動車の野球部などが目新しいが、かつての朝日生命の体操や銀行の野球部など、なんとなくひとつの時代が切り替わっているような気がしている。
元来企業がスポーツ活動するのは、企業自体の広告宣伝と、社員の連帯感の高揚と社員の運動不足解消の目的であろう。このうち、企業の業績が悪化して広告宣伝費を縮小するに当たってスポーツ部を廃止したり休部したりするのはしかたがないし、あたりまえのことである。
それ以外に社員の連帯感を求める意味自体が消失してしまったということもあるのであろう。赤字が連続すれば即、希望退職を募るような企業が増えれば、それに比例して自分の人生を企業の看板に託して生きる従業員も次第に減少するはずである。リストラが日常茶飯事の時代に東京ドームに自社の野球部の応援に行こうという気にはならないだろう。
いいかえると、終身雇用が意味を持たなくなり、心のよりどころが勤め先から、それ以外のところ、スポーツでいえばJリーグのような地域に根ざしたコミュニティに対象が移っているということである。雇用される側の意識が企業を離れ、自立してゆくという意味ではネガティブなイメージとはうらはらに成熟の過程を象徴しているともいえる。