ヤンバダムの工事中止の話。テレビのニュースや新聞ではよくわからない。わからないというよりも合点がいかない、といったほうがよい。いろいろあるが一番は反対派(工事中止に対する)の言い分である。その言い分は大きく分類すると次の二つだ。
①いままでの公共支出がムダになる。
②いままでの立ち退きを前提とした長年の苦労がムダになる。
合点がいかないのは、ダムなのに、ダムの治水効果がなくなる、洪水が怖い、ということを誰も言わないことだ。このことが図らずもダム建設の目的を雄弁に物語っている。つまりダム建設の目的は治水効果ではなく、おカネをばらまくこと、それ自体にあったということである。
ということであれば、この際、おカネを問題にする必要はない。
工事を続けても2500億円(だっけ)、工事を中止したら4000億円(だっけ)。地元の人たちへの補償問題でもう少しかかるだろうが、いずれにしてもそれらの支出は土木建設業者の皆さんに渡り、一定のケインズ的景気浮揚効果をもたらすであろう。また金額的にも50年以上の期間で1年あたりの支出ということで考えれば知れている。誰も使わない静岡や福島の空港建設に比べれば「損失」は微々たるものである。
いちど足を運んでほしいが、渋川から長野原、草津に続く吾妻渓谷は見事なものである。コスモスが咲き乱れ、ロマンチック街道と呼ばれるその渓谷美のみならず、日本有数の温泉源の集中する場所でもある。いちどダムが建設されて完成されてしまえば、もう未来永劫その自然を取り戻すことはできない。何兆円かけても。
カネで解決できることはカネで解決すればよい。地元への補償問題も含めて。もっとムダな公共支出は他にいくらでもあるのだから。
(「サッカー終わったら川原湯温泉にみんなで行こうツアー」計画中)