気づき~元々はコンサルティング用語である。最近大はやり。何でも、「気づき」である。うさんくさくて、しかたがない。こういう、精神論的なコンサルティングが大はやりで、宗教的でさえある。こんなものにくれぐれも入れ込みすぎないほうがよい。わかりやすくて、よさげだが、思ったほど効果はない。
日本のサービス業の生産性の低さはいうまでもない。やってもやっても、もうからない。偏執狂的な業務の精緻化やそれに伴う長時間労働。その結果として生まれる人件費の増大。あるいは人件費を計上しないサービス残業の長時間化。一方で、画一的なサービスゆえに他企業と差がつかないため、売り上げは下方硬直的だ。つまるところ利益は薄くなるばかりで、いよいよ八方塞で逃げ場がない。
逃げ場がないから生まれたのが、精神論的ビジネスコンサルティングだといえないこともない。リストラ、ダウンサイジング、業務再構築、成果主義。どれもこれも効果がなくて、最後に出てきたのが「気づき」であるような気がして仕方がない。洗脳といいかえてもよい。
もう、こんな企業本位、従業員不在の方策ばかりやっていてもダメで、安かろう悪かろう、悪かろう安かろうもあり、という割り切りが供給する側にも需要する側にも必要であること、従業員の安寧や幸福を踏み台にしてまで企業が生き残ることがおかしいことに、日本の経営者や購買者に、それこそ「気づいて」ほしいと思うのだが。