中学時代の仲の良い友人で、長く会っていない友人がいた。父親の葬式のときも連絡しなかったし、下手したら、このまま、一生、会わずじまいになるかもと思っていた。ひょんなことで、弟と連絡が取れる機会があって、消息を聞いたら、2年前に肺がんになったのだという。
そう聞くと、いてもたってもいられなくなって、東京から電話した。わずか先週の話である。「なんとかやってるわ。」。少し安心したが、今週休みで帰省した際に、果物を持って家に行ってみた。彼は独身で、中学時代と同様、自宅にいた。
自宅に行くのも、たぶん、30年以上前で、区画整理などで、場所がわかるかどうか心配であったが、行ってみるとすぐわかった。記憶力というのはすごいものである。家には、お母さんもいて、中学時代そのままである。タイムスリップしたようだ。
持って行った梨を剥いてあげて、ふたりで食いながら、無駄話をした。これも中学時代そのままである。思えば、自分の人生で、彼と彼の自宅でお菓子など食いながら雑談したころが今までの人生で一番楽しかったのかもしれない。1時間ほど、おじゃまして、再会を誓って、辞去した。
翌日、ふらっと彼がワシの実家に寄って、亡父の仏壇に線香をお香典を添えてくれた。長いこと会っていなくても、昔の友人との関係は、少しも、何も変わっていない。ありがたいことである。