8月になると、メディアでは太平洋戦争当時の話題が多くなる。
自分はもちろん戦後生まれの戦争を知らない世代だ。
時が経てば経つほど、真実を伝えることは難しい。
忘れ去られ風化する前に、伝えようとする人がいる。
ただ伝えるとは、伝えられる側の意識の問題も重要である。
聞こうとしなければ、いくら語られたとしてもそれは馬の耳に念仏。
今に生きる自分は、本当に理解できているのだろうか。
ヒトは身に沁みて初めて気付く生き物だ。
ふと、そんなことを考える。
佐々部清監督の「夕凪の街 桜の国」を観た。
特に戦争や原爆についてのテーマの作品を探したのではなく、ただ「夕凪」という言葉と「田中麗奈」という名前に惹かれただけのことだ。
我ながら低レベルな思考の人間である。
これまで、そういった被災者の悲劇を描いた戦争映画は数多くあった。
もはや現代人にとってはある意味慣れてしまっていて、商業的には流行らないものだろうと感じたりする。
それでも伝えるべき人間の熱意によって、それらは作り続けられる。
それは意味のあることだと思う。
こんな軽薄な動機で観た私のような人間にも、改めて戦争を考えさせるには十分であった。
先程、NHKの戦争を伝えようとする方々のドキュメンタリー番組を見ていたのだが、そこで若い世代の方からの感想の言葉があまりにも美辞麗句で浮いているように聞こえてしまった。
でもそれ以外、答えようがないのだから仕方ない。
少し、悲しくなった。
もちろん、自分自身に・・・。
今や貴重な語り部の方々も、同じように焦燥感を感じておられるのだろうか。
明日になればまた、みんな自分のことに精一杯の世の中だ。
いつかどこかで、その言葉達が心の中で生きることを願う。