つらねのため息

写真や少し長い文章を掲載していく予定。

【メモ】シュレスヴィッヒ=ホルシュタイン州の総選挙

2012-05-07 23:56:00 | 海外のこと
ギリシアの総選挙とフランス大統領選挙の陰に隠れて全く目だっていないがドイツのシュレスヴィッヒ=ホルシュタイン州の総選挙結果が面白い。

選挙結果はこちらの通り。

大連立を組んでいたキリスト教民主同盟(CDU)と社会民主党(SPD)が22議席ずつ。緑の党が第3党で10議席。自由民主党(FDP)が6議席。海賊党が議席を獲得して同じく6議席。デンマーク人の地域政党、南スレースヴィ選挙人同盟(SSW;少数民族政党のため5%条項の適用を受けない)が3議席。

総議席数が69なので、過半数は35となる。
連立の組み合わせとしてあり得るのはCDUとSPDの間の大連立か、SPDと緑の党の赤‐緑にSSWを加えた3党の連立。後者は3党を足してちょうど35議席というぎりぎりの議席数ではあるがその可能性が高まっているという。

もしこの連立が成立すれば少数民族政党が政権に参加する初めてのケース。しかし、実はこの記事も指摘する通り、この3党は2005年にも協力して、赤と緑の少数連立政権(SSWが閣外協力)を成立させようとしたが、SPDから造反が出たため成立しなかったという過去がある。今回はどうなるか注目だ。SSWという5%条項が適用されない小さな政党が存在するというシュレスヴィッヒ=ホルシュタイン州の事情が事態をより興味深いものにさせているように思われる。

それにしてもこの記事、「Dänen-Ampel(デンマーク信号)」って何のことかと思ったのだが、赤(SPD)‐緑(緑の党)‐黄色(FDP)の3党の連立を俗に信号機連立というのをもじって、SPD-緑の党‐SSWの3党の連立をこう呼んだものらしい。SSWのイメージカラーは青のような気がするのだが。

「真のフォンランド人」とは何か?

2011-04-20 16:14:00 | 海外のこと
こう書くとフィンランド人の定義についてのナショナルな論争のようだが(苦笑)、ここで取り上げたいのは「真のフィンランド人」という政党のことである。

17日のフィンランド総選挙で反EUのこの政党が躍進し、一挙に議会第三党になったのだ(例えばアサヒの記事はこちら)。このことについてY武さんがブログでふれられていたのでコメント欄にちょくちょく書いていたのだが、コメント欄を荒すのも何なので自分のブログにその辺の書き込みをまとめてみようと思った次第である。

なお、この党については公式ウェブサイトがあるのだが残念ながら全てフィンランド語でさっぱりわからない。というわけでひとまずウィキペディアの記事はこちら、より詳しい英語版の記事はこちら

この辺を見てわかるのは、反EU、反移民で自分たち(この場合フィンランド人)のつくってきた近代福祉国家を守ろうとする、まあ欧州ではよくある(ってのも変だが)極右政党だということ。例えばデンマーク国民党などが近い存在で、経済的には左翼だけど、社会的価値観でいうと右翼という政党で「福祉ショービニズム」とか言う。むしろ他の極右政党よりも「福祉国家を守る」的な主張が強く(この辺は北欧的特徴)、キワモノ度は低い印象を受ける。

ただ、1995年結党で結構歴史があるので「なぜ今?」という疑問は残る。選挙結果(これもとりあえず英語版ウィキペディアの記事を参照)を見てみると各党数パーセントずつ得票を減らしているのだが、特に首相を出していた中央党の落ち込みが激しいので、現政権批判の票が集まったような印象を受ける。本来、野党が集めるべき政権批判票も、ちょっと過激な党がポルトガル救済問題で目立ったのでそちらに流れたのかも知れない。

あと、全くの想像だが、左の側で同じような主張の受け皿になりそうな共産党(正確には人民民主同盟ですが)が、フィンランドの場合冷戦時代に政権参画したりしてたので、「体制派」的なイメージがついちゃってるのかも知れない。

ところで、この党を(恐らくはその経済政策から)「中道左派」と見る分析もあるようである。北欧諸国は社民党、共産党などの社会主義ブロックと保守政党や自由主義政党などのブルジョワブロックというような色分けがされるが、フィンランドではこの区別をあまり聞かない。その辺が社会主義的な思想を出自としていないこの党が「左派」に含まれる素地となっているのかもしれない。

いずれにせよ、EUの拡大と統合の深化につれて、こういった反EUを掲げる極右政党が進出する国が多くなっている。フィンランドも例外ではないということだ。

選択肢はあるのか

2011-03-30 12:50:00 | 海外のこと
ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州で緑の党が第二党に躍進し、緑の党からドイツの歴史上初めて緑の党から州首相が選ばれるシュピーゲルは「緑の革命」と呼んでいる。日本の報道では「Fukushima」の影響がやたらと強調されているけれども、それとともにドイツで脱原発の運動が連綿と続いてきたことをちゃんと理解する必要があると思う。

ドイツでは1998年に社民党と緑の党のシュレーダー連立政権ができた。この政権下で脱原発の方向性が決まっていた。その後2009年になって中道右派の連立政権が原発の運転停止年限を延長させ脱原発からの方針転換がはかられた(共同通信の記事がこちら)。それに反発した、緑の党などは大規模なデモなどを何度も呼びかけ脱原発の運動を展開してきた。

そうした運動がベースにあって、彼ら/彼女らが描く脱原発の社会像を有権者が選択したという風に理解しないといけないと思う。

原発に事故が起きて「怖いねぇ」と思うだけでは何も変わらない。ドイツには原発がない世界を望み、それに向けて行動する人たちがいて、それを人々は選択した。この国にそれはできるのだろうか。

ウェスターウェレ?

2009-10-05 23:07:00 | 海外のこと
先日のドイツの総選挙で大躍進を遂げ、中道右派政権成立の原動力となったドイツ自由民主党(FDP)。
もともとはブラント政権の東方外交(Ostpolitik)の推進に寄与するなど「リベラル」な政党だったはず。現にギド・ヴェスターヴェレ党首はゲイであることをカミングアウトしているようですし。

ところが、最近ではネオリベラル路線に走り、2003年には党内で反ユダヤ発言があったりとか、単なる右翼政党になってしまったようで残念です。

ところでこのギド・ヴェスターヴェレ党首。最近の報道だと「ウェスターウェレ」となっているんですが(たとえばここ)、なぜなんですかね?

ノルウェーの選挙

2009-09-15 22:05:00 | 海外のこと
そういえばノルウェーの選挙は左派政権が継続という結果になったなあと思っていたのだが、この記事を見てびっくり。なんと進歩党が中道左派扱いになっている。まあ経済政策ではほぼ左翼の進歩党ですが…(苦笑)。

んで一応、選挙結果を見てみようとアフテンポステンのホームページなど見に行ってみたわけで。

選挙結果はこちら

Venstreってノルウェーでは右翼だったか左翼だったかと一瞬悩んだりもしましたが(笑)。

どうやら与党では急進左派、社会主義左翼党が負けた(残念)分を中道左派労働党がとり、全体ではあまり変わらず。

与党では、右翼党と進歩党が勝った分、左翼党が大負けして、結果ほぼイーブンという感じでしょうか。

まあこんな小国の選挙、日本ではほとんど関心を持たれていないのでしょうが…