つらねのため息

写真や少し長い文章を掲載していく予定。

『東京の制度地層』

2015-04-27 23:22:00 | 研究・大学のこと
参加させていただいた研究会でつくった本がこのほど公人社から出版されました。アマゾンではいまだに注文不可のようなのですが、本屋さんで確認もできたので、もう店頭には並んでいるようです。

タイトルは『東京の制度地層:人びとの営みがつくりだしてきたもの』といいます。「制度地層」というのは編者の饗庭さんの造語で、都市計画や自治体政治、財政といったものはもちろん、様々な市民運動体なども含め幅広く人間が作り出した「制度」として捉え、それが東京において地層のように積み重なってきたことを跡付け、それが一方では我々の暮らしに役立つストックとなり、他方では様々な活動の足かせとなっている状況を表現しています。

私も「生協で私たちができること:東京の生協運動史から読み解く」という題で一章を書かせて貰いました。タイトルの通り東京の生協運動の歴史を書いたものです。一応、学術書の体裁ではありますが、とっつきやすいテーマだと思いますので、ぜひお手に取っていただき、よろしければご購入いただければ幸いです。

装丁も良い意味で「らしく」ない、とても素敵なものに仕上がっています。

というか、完成後、私の著者紹介文に誤植が発見されまして、ぜひ2刷りを出したいのでご協力ください(笑)。よろしくお願いします。



<主な目次>

第1章
東京の都市計画の制度地層を読む ―どうやって都市計画をかえていけばよいか
饗庭 伸(首都大学東京都市環境学部准教授)

第2章
Not In My Backyardという政治 ―小金井市「ごみ非常事態」をめぐる自治と政府間関係
堀内 匠(公益財団法人 地方自治総合研究所研究員)

第3章 
制度地層を耕して次なる地域社会を育てていくために ―世田谷区における制度地層と住民自治のまちづくり
市川 徹(㈱世田谷社代表取締役)

第4章 
生協で私たちができること ―東京の生協運動史から読み解く
三浦 一浩(一般財団法人 地域生活研究所研究員)

第5章 
なぜ東京で子育てをするのは大変なのか? ―地方財政における制度地層の分析を通じて
佐藤 一光(慶應義塾大学経済学部助教)

第6章 
「市民」をめぐる制度地層 ―革新都政形成期の日野市多摩平団地に即して
中村 元(新潟大学人文社会・教育科学系准教授)

第7章 
戦後東京の断面
佐藤 草平(公益社団法人 東京自治研究センター研究員)


編 集:饗庭伸・東京自治研究センター
発 行:公人社
発行日:2015年3月31日
定 価:本体2200円+税

丸善&ジュンク堂ネットストア
こちらでは在庫有りなので購入できそうです。

公益社団法人 東京自治研究センター
編集・事務局を担当された東京自治研究センターのサイトでも紹介されています。

『分権と自治体再構築』

2010-01-19 21:57:00 | 研究・大学のこと
ぼくが翻訳を手伝った本が法律文化社から出ているので、遅まきながらこちらでも紹介いたします。

坪郷實, ゲジーネ フォリャンティ=ヨースト,縣公一郎(編)『分権と自治体再構築―行政効率化と市民参加』法律文化社(2009)

副題にあるとおり、行政効率化や市民参加の流れに着目してドイツと日本の比較を行った論文集です。多様な視点から現在の「分権」や「自治」の問題を切り取った論文がそろっているので、なかなか読みごたえがあると思います。これからの分権改革(鳩山政権の言葉を借りれば「地域主権」)を考えたときにも色々と示唆を含んでいるかと思います。興味をお持ちの方は下のリンクからどうぞ。

分権と自治体再構築―行政効率化と市民参加


緑の政治思想

2006-12-09 23:21:01 | 研究・大学のこと
言い換えれば、ラディカルな緑の視座からすれば、地球自体によって生産過程に課されてくる外部的な限界が、消費の過程から多かれ少なかれ取り残されていく階級を作りはじめている、と論じることができるのである。この観点からすれば、消費過程からの距離とこうした孤絶の継続化こそが、社会のなかにすでに存在する集団の、ラディカルな緑の社会変革を求める能力を現在では規定するのである。
 現代社会において一つの(しかし、唯一ではあるが)、我々にとって目に見える集団が、こうした規定に適合しており、(とくに、アンドレ・ゴルツによって)変革のための担い手として提唱されている。それは失業者である。この階級の要求は、潜在的にラディカルである。職についてはいないのだから、賃上げを求めることもないであろう。そもそも労働条件をもたないのだから、労働条件の向上も求めないであろう。いつでも休日の状態(少なくとも、地下経済で働いていない間は)なのだから、休暇日数の拡大を求めるものもいないだろう。提供するのをやめる労働自体が存在していないのだから、ストライキもしないであろう。最後に、彼らの問題は、現在の永続不可能な経済システムによって引き起こされるとともに、その内部では解決不可能である以上、彼らは生産手段の所有における変革を迫ることはなく、永続可能なシステムに向けた、生産手段そのものの変革を迫ることが、自分たちの利益であるとみなすであろう。
A.ドブソン著(栗栖、池田、丸山訳)『緑の政治思想』ミネルヴァ書房,2001年:230-231ページ

村井元総長死去!

2006-04-03 09:59:44 | 研究・大学のこと
村井資長元総長が死去したらしい。
自分の大学とはいえ元総長なんて普段は気にも留めないんだが何となく引っかかったんで調べてみた。

そうすっと記憶どおりの記事を発見。村井元総長は71年9月以降のいわゆる第三次早大闘争のときの総長であった。

手元の資料によると(「どんな資料だよ」って突っ込みはなし)このころは71年11月30日に全学バリケードストライキに突入、翌年の二月初めに「全学総長団交」があったらしい。そのまま引用すると「何と一万人にも及ぶ学生が大隈講堂の内外を埋め、村井総長に(学費値上げの)「白紙撤回」を詰め寄った」とか。

まだ早稲田の杜が熱かったころの総長さんでした。

なるほど!

2006-03-20 01:46:36 | 研究・大学のこと
---以下引用---

現在でも東京は学生のたまり場である。セックス産業は、男子学生を客に、女子学生を働き手にと、どちらをも撒きこんで成立する部分が多い。とすれば、男女学生たちさえその気になれば、彼等独自でセックス産業をシンジケート化する目だって出ないわけではない。
(荒俣宏著『異都発掘【新東京物語】』124頁)

---引用終り---

約二十年前にスーフリ事件の一面を予言的に活写した荒俣先生の鬼才には尊崇の念を禁じえない。