つらねのため息

写真や少し長い文章を掲載していく予定。

The Attractionsのベーシスト

2019-06-23 22:08:00 | Musik
そういえば、入院中、じっくりと音楽を聴きたくなるだろうなあと思ったので、あらかじめジャズ系の音楽をいろいろiPhoneに詰め込んで持って行ったのだが、実際入院してみると意外とロック調の音楽が聴きたくなるもので、一番再生したのはボブ・ディランの30周年コンサートのマイ・バック・ページズとエルヴィス・コステロの「Accidents Will Happen」だった。「Accidents Will Happen」は考えてみると、あまり病床で聴くには縁起が良くない曲だったような気もするけれども。
病院のような騒音の少ないところで聴くといろいろと発見があるものだが、特にこの曲はベースがかっこいい(同じアルバムに入っている「Oliver's Army」はミックスの関係かそこまでベースがそこまで出しゃばっていないのも面白い。そういえば、この曲のOliverがオリバー・クロムウェルのことで占領軍というか、植民地主義のことを歌った曲だということも今回初めて知った)。
この曲の入った『Armed Forces』というアルバムはElvis Costello & The Attractions名義で発売されていたのは知っていたのだが、The Attractionsのベーシストがどういう人物かというのは全然気にしたこともなかった。調べてみると、The AttractionsのベースはBruce Thomasという人。1948年生まれということなので、1954年生まれのコステロより6つ年上。すでにいくつかのバンドなどでキャリアを築いていて、コステロのデビュー後から10年ほどThe Attractionsで活動したらしい。1986年ころ、コステロとの関係が悪化しその後はセッションミュージシャンとしても活動していたとか。コステロの他のアルバムをはじめ、関わった曲を聴いてみたくなった。




Smile Sessions

2011-12-04 12:10:00 | Musik


ビーチボーイズの『スマイル』、「ロック史上、もっとも有名な未完成アルバム」がついに登場した。2004年にブライアン・ウィルソンがソロ・アルバムとしてレコーディングしたものを発表しているが、こちらは67年当時の音源を再構成したもの。

本編とも言える部分は2004年のブライアン版をもとに曲順などが構成されているし、多くの人が指摘している通り、恐らく67年当時の構想がもとになっているわけではないのだろう(というか、当時はそこまでしっかりとまとまってはいなかったのだろう)。

そして、原題の通り、これはセッションの記録としてとらえるべきものであり、『スマイル』は永遠に未完成だというのが適切なのかなとは思う。

それでもやはり、この音源が世に出たということは、ファンとしてはうれしいこと。逆に言えば『スマイル』は存在することに意味があると言えるのかもしれない。

ブライアン版を実家においてきてしまったので聴き比べができないのだけれども、このセッションはやはり「英雄と悪漢」、「サーフス・アップ」、「グッド・ヴァイブレーション」の3曲が核を構成していて、残りの曲を「コンセプト・アルバム」風につないでいってひとつのアルバムを構成するというのがひとつの方向性なのだろう。「ペニー・レイン」、「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」の3曲を核にしていたビートルズの『サージェント・ペパーズ』との相似形になっている気がするのは偶然だろうか。

67年という時間において、ブライアンとヴァン・ダイク・パークスのチームをレノン=マッカートニーと比較することは適切ではないだろうけれども、前者の才能のひらめきの多くが未完のままに終ってしまったことは、後者の成功を見るにつけロック史上最大の損失のひとつであったと言えると思う。

【レビュー】アンソロジー1/ビートルズ

2011-06-06 23:14:00 | Musik


アンソロジー1/ビートルズ

1995年にリリースされたビートルズの未発表音源集。その第一弾である本作にはデビュー前の貴重な録音から、1964年12月発売の第4作『Beatles for Sale』までの時期の音源が収録されている。

Disc1の1曲目はジョンが生前にレコーディングした曲に3人の演奏をオーバーダビングした「新曲」、「Free as a Bird」だが、それ以外は全て当時の録音。そのDisc1の3曲目、バディー・ホリーの「That'll Be the Day」がビートルズの一番古い音源だというのが、このグループの音楽的で来歴を示しているようで興味深い。4曲目、「In Spite of All the Danger」の「マッカートニー=ハリソン」や12曲目「Cry for a Shadow」の「ハリソン=レノン」という「レノン=マッカートニー」以外の作曲クレジットが見られるのも興味深い。

セッションでいうと10曲目から12曲目までのハンブルクでのレコーディング、15曲目から19曲目までのデッカでのオーディション(ビートルズが落ちたオーディションとして有名)などが興味深いところ。個人的には30曲目からの63年のストックホルムライブの模様を収めた個所がお気に入り。女性ファンの歓声もまだなく、「ビートルズのライブ」が楽しめる。

Disc2に行くと、1曲目から3曲目からは63年の王室主催の演奏会での演奏。3曲目の「Twist and Shout」の前のMCでジョンが「安い席の方は拍手をお願いします。その他の方は宝石をじゃらじゃら鳴らしてください」と皮肉たっぷりの発言をしたことで有名。

そして個人的にこの『アンソロジー1』の白眉にあげたいのが、8曲目の「Can't Buy Me Love」。ビートルズの6枚目のシングルとして有名なこの曲だが、パリのEMIパテ・マルコニ・スタジオで録音されたこちらのバージョンはコーラスワークが素晴らしい。惜しいかな、恐らくはポールが歌詞をとちったために(歌詞が飛んだのか一部スキャットになってしまっている)このバージョンはお蔵入りになり、アビーロードで再録されたようだ。

9曲目は64年2月、アメリカ進出を果たしエド・サリバン・ショー(多くの若者が見たため、ビートルズ出演の時間、アメリカの犯罪発生件数が落ち込んだという伝説の番組)に出演した時の「All My Loving」の演奏。エド・サリバンがビートルズを紹介した直後に沸き起こるすさまじい歓声が印象的だ。11曲目のエレクトリック・バージョンの「And I Love Her」、17曲目の3拍子の「I'll Be Back」もファンとしては興味深い。

19曲目のジョージの未発表曲「You Know What to Do」なんかはアルバムに入っていてもおかしくない出来。そして、25曲目「Eight Days a Week」も個人的にはアルバムに収録されているバージョンよりもお気に入りだ。

ちょっとマニア向けだが、そんな感じで楽しめる全60トラックである。

ザ・ビートルズ・アンド・アップル・レコーズ・ナイト ~赤盤 青盤 前夜祭~

2010-10-14 23:08:00 | Musik
友人、鳩斗くんに誘われて「ザ・ビートルズ・アンド・アップル・レコーズ・ナイト ~赤盤 青盤 前夜祭~」に行ってきた。

鳩斗くんに誘われた時点では「何をやるかぼくもよくわかっていないのだですが」というような状況で、どうやらビートルズやアップルのアーティストの映像を流すらしいというようなことしかわからなかった。

ところが、これが期待した以上に面白かった。最初に流れたアップルのアーティストの映像では、なんとピーター・アッシャーが登場!メリー・ホプキンをツイッギーが推薦してきたことなど、当時のアップルのA&Rの様子を語っていた。個人的にはピーター・アッシャーとジェームズ・テイラーをつないだのがダニー・コーチマーだということを初めて知った。

そして、ゲストもすごかった。AppleのJeff Jones社長が登場。鳩斗くんは「シークレットゲストは小倉智昭ですよ」などと言っていたがとんでもなかった。ところで、このJeff Jones社長、8歳のときにマサチューセッツのおばあさんの家でビートルズが出演するエド・サリヴァン・ショーを見ていたそうで、アップルの社長になったのを「夢が実現した」と表現。もちろん「マサチューセッツ」と言う単語が出てきたところで、会場が一斉に「アメリカ人なのかよ」と突っ込んだことは言うまでもない。

その他は、ライブ映像やPVが流された。思わず笑ってしまったのは武道館での「ひとりぼっちのあいつNowhere Man」の映像。メインボーカルのジョンが歌詞を間違えまくり、コーラスのポールとジョージが無理やり本来の歌詞を押し通していた。その他にも「A Day in the Life」(このサイケデリックな映像はなかなかよかった)や「All You Need Is Love」ではミック・ジャガーが映っていたり、あちらこちらで楽しめる映像であった。

そして、通しで見ていて思ったのは、「意外とリンゴってかっこいいんだな」ということ。そして後期になるに従ってだんだん、雰囲気は悪くなっているんだなということ。
その中でも、明るい雰囲気をつくっていたビリー・プレストンはとてもいい人なんだなといったようなことだった。

いやー、実に楽しめました。思わず帰りに、赤盤と青盤を予約してしまったほど(笑)。やはり、ビートルズはいいですねえ。