つらねのため息

写真や少し長い文章を掲載していく予定。

『社会』

2008-08-26 11:31:49 | 日本のこと
市野川容孝『社会』岩波書店(2006年)を読んでいたら面白い記述を見かけたので、以下に引用する。

----以下、同書63-64頁より引用----

陸上競技のトラックを3人の選手が走っているとしよう。AはBのやや後ろを走り、この2人のちょうど反対側をCが走っている。Aはこう思う。「Bにはもう少しで追いつける。Cは僕らより 半周遅れだ」。だが、そうではないのだ。BとCはn+1周目で、Aはまだn周目。AはBより1周以上、Cと比べても半周、遅れているのである。社会民主主義という言葉を小馬鹿にしてきた日本の「進歩的」知識人は、全くの勘違いをしているこのAに似ている。…(中略)…
加えて、アジア近隣諸国に目を向けてみよう。中華人民共和国。朝鮮民主主義人民共和国。自らをともに「民主共和国」と規定する大韓民国(同1987年憲法、第1条)と中華民国(同1997年憲法、第1条)。自分で共和国を名乗れぬ人びとが、これらの国々の政治的「後進性」を云々しても、さして説得力はない。「共和国」という漢字にしてわずか3文字の、また「民主」というわずか2文字の言葉の意味を、私たちはもう一度考え直すべきである。

----引用終わり----

日本における「社会的なもの」の再興を論じながら、社会「民主」主義の「民主主義」を重要視し、社会主義(日本社会党)の非民主性を論難する同書第一部「社会的なものの現在」の論旨には、いまいち肯んじえないものがあるのだが(もちろん「民主主義」を論じることは大切だが、今現在のこの国に欠如しているのは「民主主義」よりも「社会的なもの」そのものであるはずである。もちろん「民主主義」が十分であるとは口が裂けても言えないが)、しかしこのご時勢にはなかなか聞かれない率直な共和主義の主張には考えさせられるものがある。引用文中、最後の件における筆者の問題提起をしっかり受け止めねばなるまい。

玉音放送

2008-08-21 23:27:21 | 日本のこと
「玉音放送」を聞いてみませんか ~長野でも「聞く会」-JanJanニュース

たまたま、上記の記事を見て、気が向いたので「玉音放送」(上の記事にリンクがある)というやつを聞いてみた。

独特の節回しや難解な漢語が多かったために、「聞き取れなかった」「徹底抗戦せよという檄だと解釈した」という反応をよく聞くが、「さもありなん」という感じである。正直、テキストを見ながら聴いていても何を言っているのかよくわからなかった。

しかし、前後のナレーション(NHKアナウンサーの「声の質」のようなものは、今とあまり変わらないのに、内容が時代を反映しているのは聞いていてかなり笑える)をあわせて聴けば、それなりに内容は理解できる気もする。

それにしても、節回しはともかく、天皇の朗読はもっと朗々としたものかと思っていたのだが、意外と人間の「肉声らしさ」のするものであったのが印象的であった。


オランダ領アンティル

2008-08-18 22:59:50 | 海外のこと
オリンピックを何気なく見ていて気になったこと。

野球なんかのオランダチームのユニフォームには

Nederland

とオランダ語で書いてあるのだが、
オランダ領アンティルの選手のユニフォームには

Netherlands Antilles

と英語で書いてある。

何故だ?と調べてみたところ、オランダ領アンティルではどうやら2007年度から英語も公用語になったようだ(Wikipediaしか情報源がないのがやや不安だが)。うーむ、なるほど。

ところで、外務省によるとこのオランダ領アンティル、2008年12月15日をもって解体されるようである。今大会が、オランダ領アンティルとして最後のオリンピックになるのではないだろうか。ぜひ、選手には頑張ってもらいたいものである。