つらねのため息

写真や少し長い文章を掲載していく予定。

激闘

2010-03-30 22:58:00 | 将棋
第35期棋王戦第5局は、久保棋王の勝利となり、3勝2敗で2連覇、王将位とあわせて二冠を堅持した。

こう書くと、実にあっさりとし感じだが、この第5局は、実にすばらしい名局であった。素人目には詳しいことはわからないが、終盤の難しいところで形勢は二転三転した様子。

恐らく善い手も悪い手もあったのであろう。しかし、善悪を超えたところにある人と人との闘いとはこういうものなのだということを見せつけられた思いだ。年度最後の大一番にふさわしい激闘といえよう。

これぞまさに観戦に値する将棋、プロの将棋である。素晴らしい将棋を見せていただいた二人に感謝したい。

がっくりと肩を落とした佐藤九段の姿が本局の壮絶さを物語っている。

女流王将戦再開までの経緯

2010-03-27 23:02:00 | 将棋
日本将棋連盟のホームページに「女流王将戦再開までの経緯」なる文書が掲載された。

青野照市渉外担当理事の名で出されているせいか、これまでの連盟のこの種の文書と比較すると格段に読みやすい文章だ。もっとも、それが、この文書が実際に青野九段の筆によるものであるためなのか、あるいは単に青野九段の署名があるだけでこれまでの文書より真摯なものだと想像してしまうところによるのかはわからないが(苦笑)。

ところで、恥ずかしながら女流王将戦がどのような形で再開されたのかを詳しく知らなかったのだが、この文書が出されたのにはわけがあるようだ。

先の連盟の文書にあるように、女流王将戦は30期をもっていったん中断ということになった。そして再開にあたり、日本将棋連盟女流棋士は全員参加、LPSA(日本女子プロ将棋協会)女流棋士は人数を制限された招待枠での参加ということになった。

これを不満とした人々により、「もし本当なら霧島を飲むのをやめないか?」(霧島酒造は同棋戦のスポンサー)というような書き込みがあったようだ。

このことを危惧された方が霧島酒造に事実関係を確認するようなメールを送られたとのこと。

すると日本将棋連盟は「『脅し行為』メールが霧島酒造に送られた」と理解されるような内容の会報を棋士に送ったという。

そこで先にメールを送られた方が「脅し」のような行為ではないことを確認するようなメールを連盟にお送りになり、詳しい説明を求めた結果、事実関係を説明するような先の文書が出されるにいたったということのようだ。

実はこのメールを送られた方が、普及指導員番号の原伸一さんという方で、詳しい経緯は同氏のブログにアップされている。

女流王将戦について
女流王将戦について(2)
女流王将戦について(3)
女流王将戦について(4)

多くの将棋ファンはもううんざりという感じだろうが、この種のトラブルに慣れっこになってしまうというのも異常なことだ。まずはそのことを確認しておきたい(苦笑)。

そのうえで連盟に最低限求められること、それは「しっかりとした説明」だ。

上記の各エントリーで繰り返し原さんが述べているように、「問題点は、LPSAと合意しているかどうかということではなく、そのことをタイミングよく納得ゆくように一般の将棋ファンへ伝えるという配慮の欠如」にある。

スポンサーなど組織や団体相手ではなく、まずはファンにしっかりと説明をすること、そのことを連盟は改めて認識しなければならない。そもそもなぜスポンサーがお金を出してくれるのかと言えば、将棋ファンがいるからなのだから。

また、同じく原さんが指摘しているように「日本将棋連盟により本件の問題提起がされたのが、LPSAの中井代表が大和証券杯決勝の大事な一番を目前に控えた時期であったこと」という点も大事であろう。今回は穏便にすんだものの、事態が深刻になればファンが将棋を楽しむという機会自体が失われかねなかった。そのことの重大性を連盟は理解するべきだ。

その原さんが上記「女流王将戦について(4)」で述べられているように「対応が迅速であったこと、理解しやすい説明であること」といった点は非常に評価できる。

これまでの連盟の対応に比して、長足の進歩がみられるといっても過言ではない。

ただ、迅速な対応や理解しやすい説明というのは、ある意味普通のことだ。また、この種のことはファン(そもそも普及指導員の方ではなく単なる「一ファン」からの問い合わせにここまで対応したのかも疑問だが)からの問い合わせに「対応」するのではなく、自ら説明してしかるべきことだろう。

その意味でいえば、日本将棋連盟の運営はまだ一人前とはいえない。今回のような、多くのファンに納得のできる運営が普通に行われるような組織になることを期待したい。

高校無償化と朝鮮学校

2010-03-13 22:56:00 | 日本のこと
高校無償化の対象に朝鮮学校を含めるかどうかという議論は先送りになったそうで。

高校無償化:朝鮮学校、先送り 第三者組織で再判断(毎日新聞 2010年3月13日 東京朝刊)

確かに、かの国のやっていることはめちゃくちゃだと思うし(何よりも数千万の自国民を飢えさせて、平気でいる国なのだから)、その国を支援するようなことはいかがなものかという議論はわからなくもない。

それでも、というよりだからこそ、ぼくは高校無償化の対象に朝鮮学校を含めるべきだと思う。

というのも、北朝鮮にはもっとかかわった方がいいと思うからだ。

一度お金を出してしまえば、それを盾に朝鮮学校へのさまざまな関与をすることができるだろう。それは何も政府の権限による強圧的なものでなくても、日本の高校や地域の人たちと交流が深まればそれでいいと思う。人的、物的な交流が深まれば相互理解は進んでいくはず。お互いを理解し合ったとき、北朝鮮と日本とどちらがいいかと問えば、100人中100人が日本と答えるだろう。

あの、ちんけな独裁国家を何とかしたいなら、そういう方法が一番手っ取り早いと思う。万景峰号も入港拒否なんてけちなこと言わないでがんがん行き来させればいい。援助だって北朝鮮が処分に困るほどガンガン送ればいい。そうやって、人的、物的な交流をつくり、あの国が統制しきれないほどの情報を送り込めばいいのだ。すこしずつでも北朝鮮の「人民」に、外の世界がいかに自由で、モノにあふれているかを知らしめることが何よりの近道だ。

制裁を続けたところで、あの独裁体制を長続きさせることにしかならないだろう。

そのための第一歩をなにも自ら閉ざしてしまう必要はない。

『まちと暮らし研究』 No.8

2010-03-05 11:13:00 | お仕事関連
ぼくが編集にかかわっている勤務先の季刊誌、『まちと暮らし研究』の第8号が発行されました。今回は基礎自治体よりもさらに小さな単位で試みられているさまざまな自治の取り組みに注目し、内外の事例を紹介しています。また、自治基本条例などの基礎自治体において「自治をつくる」試みも紹介しています。
以下、目次です。



『まちと暮らし研究』 No.8
2010年3月1日発行
自治を育てる 自治体をつくる 
<目次>
・発刊にあたって
・自治論とまちづくり論の融合 青山やすし
・地域自治区をつくる
 ─新潟県上越市の試み NPOの視点から 秋山三枝子
・町会によるコミュニティづくり
 ─再開発で生まれたニュータウン・荒川区南千住汐入の取り組み─ 谷井千絵
・市民参加の新しいかたち─広がる市民討議会 吉田純夫
・アメリカの自治体のつくり方─市民団体的な自治体─ 岡部一明
・パリッシュ─イングランドの近隣政府 武岡明子
・ドイツ・ベルリンにおける市民参加のまちづくり
           フンク・カロリン/川田 力/由井 義通
・「分権型社会」の基盤としての地域自治
 ─住民自治に根ざした団体自治強化の可能性─ 羽貝正美
・自治基本条例とは何か ─辻山幸宣さんに聞く
・多治見市市政基本条例について
 ─市政運営の水準の確保と継続的な改善を目指して 伊藤徳朗
・市民との協治(ガバナンス)を条例で推進する 岩瀬 均
・自治体と市民の協働契約
 ─横浜市の地域子育て支援拠点の運営をめぐって 原 美紀
・指定管理者制度の明暗 伊藤久雄

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