つらねのため息

写真や少し長い文章を掲載していく予定。

欧州憲法にノン!

2005-05-30 21:26:09 | 海外のこと
やはりというかなんというか、フランスがやってくれましたね。これまでのデンマークやアイルランドなんかとは違って、欧州の盟主を自任する国が否決したのだからその重みは違ってくるはず。欧州統合にも支障が出ないはずがない。
しかし明らかにエリートレベルと市民レベルで「ヨーロッパ」に対する認識が違ってきている。各国の一般市民にとってまだまだヨーロッパは一つではないってところだろうか。ヨーロッパっていうファクターが新しいクリーヴィッジをつくり出しているともいえるだろう。はてさて、これからどうなるのか。

渋川市長選

2005-05-23 23:05:04 | 自治のこと
群馬県渋川市でも市長選挙があったらしい。現職の木暮治一氏(73)が当選。投票率は60.61%。来年の二月に合併を控えているのであんまり争点のない地味な選挙だったようだ。
産経新聞のネット版によると当選した木暮氏は前回の選挙を今回の選挙で敗北した登坂和洋氏の父、秀氏の後継として戦ったらしい。なんとも日本的で面白い。

ノルトライン・ヴェストファーレン

2005-05-23 22:34:42 | 海外のこと
ドイツの州議会選挙でSPDが歴史的大敗を喫した。ZDFのサイトなんかを斜め読みした感じでは、やはり経済が主要な争点であったようだ。そして経済政策においてSPDが有権者の信頼を得られなかったというのがその背景にあるようである。ZDFの分析ではノルトライン・ヴェストファーレンで重要な問題は何ですか?という問いに85%の人が失業と答え、職の問題を解決できるのはどの党かとの問いにSPDと答えた人が18%なのに対し、CDUと答えた人が39%にもなる。やはりシュレーダー政権の経済政策はかなり不評のようである。
今回面白かったのは小党の得票。FDPと緑の党がともに6.2%の得票を得ているのだが、FDPは3.6%も票を減らしている。聞きかじったところではFDPは経済的な新自由主義一辺倒で、これまでのリベラリズムの伝統を上手く生かせていないとか。CDU/CSU単独での過半数獲得というのは無理だろうから、次の総選挙でFDPがどのくらい票を取るかによって政権のあり方は変わってくることになる。実際、大連立への支持も結構あるようだ。
一方、緑の党は人気の高かったフィッシャー外相が東欧諸国からの移民に対するビザの発給をめぐるスキャンダルでやや人気を落としていたのでどのくらいの得票になるか注目していたのだが結果は0.9%のマイナスだったので大事には至らなかったというところか。ただこれまではSPDの減少分をある程度緑の党が回復することで政権が維持されていたので緑の党が得票できなければ政権維持はかなり難しいということになる。
これはしばらくドイツ政治が面白そうだ。

マイノリティの中のマイノリティ

2005-05-17 23:09:08 | 自治のこと
5月15日はわが大さいたま市の市長選挙。投票率35.51%で現職が当選を確実にしたようです。ぼくの票は例のごとく死票になったので、さながらマイノリティの中のマイノリティといったところ。なお詳しいデータはこちらを参照。
結果を分析してみると中々面白い。まず当選した相川宗一氏はかつての浦和市長なので旧浦和市で広く票を集めている。またかつての大宮市長が応援したせいか対立候補の中森氏は旧大宮では相川氏に勝利しており区によってはダブルスコアをつけている。結果として旧大宮と旧浦和という亀裂構造がいまだに解消されていないということが判明した。
興味深いのは選挙直前に編入された岩槻区(旧岩槻市)の動向である。まず市全体では前述したとおり35.51%と低い投票率であるが、岩槻では 52.17%と高い。これは合併直後と言う一種のユーフォリアが作用したものと見られる。また岩槻区では相川氏が手堅く票をまとめているようである。岩槻は前回の衆議院選挙から埼玉一区に編入されたがその選挙でも民主の現職が手堅く票をまとめている。選挙区の拡張はやはり現職に有利なのかもしれない。
さてこのような結果は(やや飛躍かもしれないが)、EUとのアナロジーで考察すると面白いかもしれない。まず投票率の大幅な低下は合併、政令指定都市化、拡大という一連の流れの中で選挙民と市政との距離がますます広がったことを意味している。これはまさしく深化と東方拡大を続けるEUにおける問題と同じである。第二に合併直後の岩槻区が相対的に高い投票率を維持したというのは民主化後のユーフォリアの中でEUへの加盟を目指した東欧諸国とのアナロジーで考えられるかもしれない。ただしこれら諸国はEU加盟後までその熱狂を維持できなかったが。第三に相対的に豊かな大宮の財源を相川市政の下で浦和に還流させているとすれば、現状に対する大宮側の不満は中心‐周辺の構造で理解できるかもしれない。EUに対する懐疑主義も豊かな中心諸国において強い。

それにしても投票率35.57%とは…。ちなみに2004年のヨーロッパ議会選挙の投票率がトータルで45.7%…(こちらを参照)。ヨーロッパと張り合っても仕方ないけど。当選者は全有権者の14.7%の支持で当選した計算になる。これはいくらなんでも正統性の危機だろう。