つらねのため息

写真や少し長い文章を掲載していく予定。

ロンドンは燃えているか

2005-07-07 23:55:41 | 海外のこと
やりましたねえ。大英帝国のど真ん中で、サミットの期間に合わせて実行するなんて、アルカイダにまだこんな底力が残っていたとは。
ただ今回はタイミングがよかったかどうかは微妙なところ。イギリスは総選挙も終わった直後だし、ブレア政権に直接の影響はあまりないかもしれない。

しかし、いずれにせよ今回ロンドンで起きたことは、会社を民営化するとかしないとか、四年に一度世界中のスポーツ選手をどこで見世物にするかとか、そういったことを数票差で決める「民主主義」というものがいかに茶番に過ぎないかということを、ちょうどいいタイミングで教えてくれたといえる。
その裏にあるものが現状以上の抑圧であったにしても、今回の事件は八人のおっさんがスコットランドの田舎でくっちゃべっている間にイラクとアフガニスタンで何が起きているか、を告発しているのだ。
さらに言えば「対テロ戦争」なるものが理念的に誤っているだけでなく、なんら実効的なものでないということをも如実にあらわしている。

「要するにこの新たな局面を規定するのは、それらの闘争が水平的に連結するのではなく、それらの各々が<帝国>の潜在的中心めがけて垂直かつ直接に跳躍するという事実なのである」(ネグリ/ハート)。

都議選の結果をどう見るか

2005-07-05 22:03:16 | 自治のこと
今回の都議選、低投票率にみられるように争点のない選挙だといわれた。
しかし、今国会で問題になっている郵政の問題や、浜渦副知事の問題など争点化しようとすればできた問題は色々あったはず。それができなかったのは有効なキャンペーンを打てなかった野党の責任であろう。

政党ごとに見ていくと自民は3議席減らして48。これは前回選挙が小泉ブームのもとで行われたことを考えれば、むしろ善戦といえるだろう。

公明は23人全員が当選、さすがの組織力である。

民主は16人増やして35議席。ただこれは絶対に勝利と呼べる数字ではない。自公を足せば民主の倍以上の議席を獲得しているのだ。第一党になれたわけでもないし。1と2分の1政党制時代からの日本の野党の悪いくせだが、自分の議席が増えた減ったで勝敗を云々するのではだめだろう。最終的に政権交代が起きなければ民主主義でないとはかのハンチントン大先生も仰っていることである。

共産は2議席減らして13。二大政党化への流れが(報道などによって作られている部分も含め)顕著な中で、むしろよく頑張ったと言えるだろう。

社民は議席を獲得できなかった。社民は今回世田谷でしか公認候補を立ててない。いくら弱小政党とはいえ都内全体で考えれば一議席を獲得するくらいの支持者はいるだろう。中選挙区制の不可避的な結果である。

生活者ネットは3議席減って3議席にとどまった。個人的には政策では賛成しかねるところも多いけど地域政党には頑張ってもらいたかった。

こういう地域政党や、政党の地方組織を活性化させるためにも地方選挙での比例代表制の導入を検討するべきであろう。地方レベルで政党本位の選挙が行なわれない限り、日本に政党政治が根付くことはないだろうから。

個人的には世田谷から社民公認で立候補していた大久保青志氏、杉並で某過激派の市民団体組織から出馬していた長谷川英憲氏あたりに注目していたのですが左派系の候補は大概落選されたようです。残念。

その杉並では「緑」系の福士敬子氏が当選した。左派の一部からは彼女に対する批判もあるようだが、注目すべき政治勢力である。

シュレーダー氏の信任案否決

2005-07-02 00:47:08 | 海外のこと
シュレーダー氏の信任投票が否決された。この投票自体が憲法違反の疑いもあるらしいけど、とりあえず9月に総選挙という日程が大分現実味を帯びてきた。
それにしても今回の決断はシュレーダーさんが早まった気がする。州選挙で敗北した直後に選挙をやったら普通は勝てるはずがない。本来の任期切れまで、もう一年待てば支持率が回復する可能性だってあったわけだし。
どうも今回の決断はシュレーダーさんの個人的な思惑が反映しているような気もする。つまり一年待てば社民党全体として支持率が回復するかもしれないが、それまでシュレーダーさんの指導力は下がる。一方、今選挙をやれば社民党はシュレーダーさんの個人的な人気に頼らざるを得ないし、何より現状では結束しなければ選挙での敗北は目に見えているので、シュレーダーさんの指導力は回復する。もしぎりぎりでも選挙に勝てばドイツの安定性のやたら高い議会制度では任期切れまで務めることが可能になる。という計算があるのではないだろうか。
しかし実際のところこれはかなり危険な大博打である。ZDFSPIEGELの世論調査によるとSPD支持が27%に対してCDU/CSU支持が44%もある。連立を組んでいる緑の党が8~9%、CDU/CSUと連立を組むことが予想されるFDPは7%といった具合である。この数字を見る限りではCDU/CSUとFDPが過半数を占めるのは確実である。
今回注目すべきなのは東側の旧共産党の流れを汲むPDSが西側の左派政党である「選挙選択肢労働および社会的公正」WASGと共同して左派同盟を結成し選挙戦に臨む構えである点である。世論調査によると、この新党は8%ほどの支持を集めている。この党の筆頭候補には元社民党党首オスカー・ラフォンテーヌがつくという。(まだ不確実な点もあるが)この党が実際に選挙に参加すれば確実に社民党の票を食うことになるだろう。さて、どうなるか。