つらねのため息

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緑の政治思想

2006-12-09 23:21:01 | 研究・大学のこと
言い換えれば、ラディカルな緑の視座からすれば、地球自体によって生産過程に課されてくる外部的な限界が、消費の過程から多かれ少なかれ取り残されていく階級を作りはじめている、と論じることができるのである。この観点からすれば、消費過程からの距離とこうした孤絶の継続化こそが、社会のなかにすでに存在する集団の、ラディカルな緑の社会変革を求める能力を現在では規定するのである。
 現代社会において一つの(しかし、唯一ではあるが)、我々にとって目に見える集団が、こうした規定に適合しており、(とくに、アンドレ・ゴルツによって)変革のための担い手として提唱されている。それは失業者である。この階級の要求は、潜在的にラディカルである。職についてはいないのだから、賃上げを求めることもないであろう。そもそも労働条件をもたないのだから、労働条件の向上も求めないであろう。いつでも休日の状態(少なくとも、地下経済で働いていない間は)なのだから、休暇日数の拡大を求めるものもいないだろう。提供するのをやめる労働自体が存在していないのだから、ストライキもしないであろう。最後に、彼らの問題は、現在の永続不可能な経済システムによって引き起こされるとともに、その内部では解決不可能である以上、彼らは生産手段の所有における変革を迫ることはなく、永続可能なシステムに向けた、生産手段そのものの変革を迫ることが、自分たちの利益であるとみなすであろう。
A.ドブソン著(栗栖、池田、丸山訳)『緑の政治思想』ミネルヴァ書房,2001年:230-231ページ