えびす顔の造花卸売問屋元社長からの手紙

かすかな希望を抱いて幸せを自慢する尊大な手紙。重複掲載御免。造花仏花の造花輸入卸売問屋ニューホンコン造花提供

一斗缶

2006年08月14日 23時09分59秒 | ドンキホーテ
 お墓参りをする度に亡くなった本家の伯父のことを思い出します。

 線香をつけるろうそくの風除けに、墓には一斗缶(いっとかん)が置いてある。そのいっと缶、少し工夫がしてあって、てっぺんに煙突のようにパイプが差し込んである。いっと缶そのままだと空気の抜け道がなく、缶の中のろうそくが酸素不足で消えてしまう。空気抜きの煙突をつけたことで、新鮮な空気がいっと缶の中にほどよく入り込んでろうそくが消えない。
 
 風の強い日に線香をつけるのに、ろうそくの火が消えてお墓参りする人が困っていた。いっと缶だけでも用を足さない。ほんの少し手を加えて、ろうそくの消えないいっと缶をうまく作ったのが伯父だ。ぜひとも他人のためにと大げさに作ったものでもない。自分も含め皆が便利だろうなと少しの知恵と手間で作った。

 お陰で、私も含めお墓参りする人が助かっている。些細なことだけど、たいそう役立っている。

 その伯父がなくなって二十数年。伯父の作った初代のいっと缶は風雨にさらされ錆びてしまい、今ある写真のはもう何代目かになっている。形は変わらない。

 このいっと缶を見るたびに、伯父を思い出す。そして、大志を抱いて世のため人のためと偉業と言われるようなことをやり遂げるのと、この伯父のいっと缶、どちらの方が価値があるのか、そんなことまで思いを馳せてしまう。

 こんなことを考えることさえ、つまりは価値がどうのこうのと言うことさえ、まだまだ煩悩です。
 
元新聞記者が明かす 小さな会社 マスコミデビューの法則」(竹林館、岡田 光司著、1500円 ISBN4-86000-104-4 C2034 ¥1429E)、近鉄今里駅前・天狗書房、勝山通り・大山書店で絶賛発売中。 
 
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