うろこ玉絵日記

日々のなにげない一こまを絵日記にしてみました。大阪に近い奈良県在住です。
マウスでかいてまーす。

夏をとってくる話

2008-06-27 | Weblog
昨日の夜、寝る前に子どもたちに読んだ話。

「子どもに聞かせる世界の民話」(実業之日本社)より。



アメリカ・インディアンの伝承民話だそうです。


昔まだ世界が冬でおおわれていた頃、
オー・ジーグという名の男がいました。

自分をテン(動物)に姿を変えることができる魔法をもっていたので、
「マニト」と呼ばれていました。

オー・ジーグの一人息子は、13歳になったとき、
狩りで出会った赤リスに、夏の国が天上の世界にあることを教えられます。

息子の願いをきいて、オー・ジーグは危険な旅だと知っていましたが、旅立ちました。


動物たちをつれて山に登り、空に穴を開け、
天の上の夏をみつけました。

あたたかく、緑はあふれ、花が咲き乱れ、
木々に実は実り、小川は湖にそそいでいました。



地上の世界では見たこともない、色とりどりの鳥たちに心を奪われ、
つぎつぎと鳥かごから鳥たちを放つオー・ジーグ。


鳥たちと共に、温かい風が地上の世界へと流れ込んでいきました。




息子に送ってやりたい一心で、追っ手がきても夢中だったため、
オー・ジーグがテンに姿を変えて逃げたときにはもう遅く、
矢にうたれてしまいました。


「わたしの命は、おしまいだ。むすこは、夏を喜んでいることだろう。
地上の人に、美しい世界をやれただけで、わたしは、しあわせだ。」
と、つぶやいて
息をひきとったそうです。



晴れた夜、北の空に浮かぶテンの形をした星座は、
天の牧場に横たわったオー・ジーグだといわれているそうです。