海からの風が吹きさらしの段々畑です。
「こうやってどんどん開拓されてきてるんだよ」と案内してくださいます。
今豚さんたちが歩き回っている、平らな(それでも石ころや木の根っこなんかはごろごろしていますが)場所も、
以前は遠くに見えるような、人も歩けない様なやぶだったそうです。
それを根を掘り起こし、食べ、土を踏みならし、平らにするのだそうです。
餌は、氏本さんが島の人たちから集めた残飯や、野菜くずなどです。
わたしたちが泊った「みさき旅館」のおばさんも、朝
「豚さんによろしく!」と送り出してくれました。ここからもきっと、ご飯が提供されているでしょう。
氏本さんは集まった野菜の皮や煮干し、スパゲッティの残りなどを丁寧に
コンテナに移し、間違ってプラスチックなどが混ざっていないか点検します。
まきちゃんも
「ふむふむ」とずっと一緒にのぞいています。
その脇を、スクーターに乗ったおばさんが
さっそうと手を振りながら通り過ぎていきました。
嵐の時や、真冬の寒い時期は、どこか小屋に入れるのかな?
「あの、小屋などは?」
「ないですよ!」
「ここにずっと住んでます。嵐でもシケでも大丈夫。
勝手に寝床を作って休んでますよ」
寝床を探してみました。土が大きくくぼんで、ベッドのようになっていました。
しかもこの寝床は、海からすこし登ったやぶの中にあり、
風がさえぎられているのでした。夏は夏で、涼しい、居心地のよい場所を探すそう。
「豚は知能が高いんです。よかれと思って人間があれこれやらないほうがいいんですよ」
氏本さんはそういいながら、一頭一頭、なでたり、話しかけたりしていました。
氏本さんの育てる豚は、一般の養豚が半年くらいで出荷するのに比べ
じっくり時間をかけ、1年育ててから送り出すそうです。
よく運動しているので、病気にもならず、かかる薬代といえば
雄が生まれた時に去勢する際の消毒代程度だそうです。
スーパーなどで市販されているものは、大量に詰め込まれ、ストレスだらけの生活を送ってきた豚なので
胃や内臓に、なんらかの異状があり、廃棄されることが多いそうです。
「豚は頭がいいし、繊細で、よくわかっています。だからこそ、詰め込んで育てちゃいけないんです」
柵といえば、ソーラーで出来た電気柵のみ。
あるとき、嵐で柵が倒れ、放電し、豚たちが外に出ていってしまったことがあったそうです。
いつも餌をあげているおばさんの家の玄関が、なにか物音がすると思ったら
なんと、豚さんたち、たずねてきていたそうです。
「豚さん達、ちゃんとくれる人の家はわかるんだね~」とみんなで大笑いしたとか。
のどかです。
この畑を氏本さんに貸してくれたのは、原発の推進派の人だそうです。
自らの手で石を積んで作った畑が、荒れて見る影もなく朽ちていくのが悲しいのは
賛成反対関係ないでしょう?と氏本さんは言います。
推進派の自分がこの畑を貸すことで
もしかしたら原発反対派の力が強くなっていく。
それでも、それならそれで仕方ない。
見て見ぬふりをしていよう。
自分はしがらみに縛られて、賛成に投票せざるをえないのだから。
氏本さんのお話しから、そんな人の姿が浮かび上がってきました。
島で生きるということ。しかもこんなに二分された小さな町で。
その厳しさとともに、しなやかさも感じるお話しでした。
氏本農園・祝島だより
「こうやってどんどん開拓されてきてるんだよ」と案内してくださいます。
今豚さんたちが歩き回っている、平らな(それでも石ころや木の根っこなんかはごろごろしていますが)場所も、
以前は遠くに見えるような、人も歩けない様なやぶだったそうです。
それを根を掘り起こし、食べ、土を踏みならし、平らにするのだそうです。
餌は、氏本さんが島の人たちから集めた残飯や、野菜くずなどです。
わたしたちが泊った「みさき旅館」のおばさんも、朝
「豚さんによろしく!」と送り出してくれました。ここからもきっと、ご飯が提供されているでしょう。
氏本さんは集まった野菜の皮や煮干し、スパゲッティの残りなどを丁寧に
コンテナに移し、間違ってプラスチックなどが混ざっていないか点検します。
まきちゃんも
「ふむふむ」とずっと一緒にのぞいています。
その脇を、スクーターに乗ったおばさんが
さっそうと手を振りながら通り過ぎていきました。
嵐の時や、真冬の寒い時期は、どこか小屋に入れるのかな?
「あの、小屋などは?」
「ないですよ!」
「ここにずっと住んでます。嵐でもシケでも大丈夫。
勝手に寝床を作って休んでますよ」
寝床を探してみました。土が大きくくぼんで、ベッドのようになっていました。
しかもこの寝床は、海からすこし登ったやぶの中にあり、
風がさえぎられているのでした。夏は夏で、涼しい、居心地のよい場所を探すそう。
「豚は知能が高いんです。よかれと思って人間があれこれやらないほうがいいんですよ」
氏本さんはそういいながら、一頭一頭、なでたり、話しかけたりしていました。
氏本さんの育てる豚は、一般の養豚が半年くらいで出荷するのに比べ
じっくり時間をかけ、1年育ててから送り出すそうです。
よく運動しているので、病気にもならず、かかる薬代といえば
雄が生まれた時に去勢する際の消毒代程度だそうです。
スーパーなどで市販されているものは、大量に詰め込まれ、ストレスだらけの生活を送ってきた豚なので
胃や内臓に、なんらかの異状があり、廃棄されることが多いそうです。
「豚は頭がいいし、繊細で、よくわかっています。だからこそ、詰め込んで育てちゃいけないんです」
柵といえば、ソーラーで出来た電気柵のみ。
あるとき、嵐で柵が倒れ、放電し、豚たちが外に出ていってしまったことがあったそうです。
いつも餌をあげているおばさんの家の玄関が、なにか物音がすると思ったら
なんと、豚さんたち、たずねてきていたそうです。
「豚さん達、ちゃんとくれる人の家はわかるんだね~」とみんなで大笑いしたとか。
のどかです。
この畑を氏本さんに貸してくれたのは、原発の推進派の人だそうです。
自らの手で石を積んで作った畑が、荒れて見る影もなく朽ちていくのが悲しいのは
賛成反対関係ないでしょう?と氏本さんは言います。
推進派の自分がこの畑を貸すことで
もしかしたら原発反対派の力が強くなっていく。
それでも、それならそれで仕方ない。
見て見ぬふりをしていよう。
自分はしがらみに縛られて、賛成に投票せざるをえないのだから。
氏本さんのお話しから、そんな人の姿が浮かび上がってきました。
島で生きるということ。しかもこんなに二分された小さな町で。
その厳しさとともに、しなやかさも感じるお話しでした。
氏本農園・祝島だより