切られお富!

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DVD 『トリスタンとイゾルデ』  ワーグナー 

2004-10-04 03:42:59 | カメレオンのための音楽
たまたま近所の図書館の視聴覚コーナーにあったので借りてみた。
初めて見るワーグナーの楽劇。究極の不倫モノですからね。

演出はジャン・ピエール・ポネル、指揮はバレンボイム。

正直な感想は、「面白かったけど、とにかく長い!」。
4時間である。今日日長い映画でも3時間半ぐらいのものだし、おまけにストーリーは割りとシンプルだから、壮大な規模の音楽の、男女の乳繰り合いを見てるというか…。

第一幕の段階ではイゾルデって怖い女だなと思った。三島由紀夫の「黒蜥蜴」みたいだなと。黒蜥蜴が死に損なって、明智小五郎と付き合うとイゾルデみたいになるのかな、というのが私の勝手な印象。(なんだか訳がわからないかな?)最初トリスタンが船の帆の向こうにいて顔を出さないのは、帆が理性の象徴という演出かなと思った。ほれ薬を飲むくだりで初めて舞台中央に下りてきて、飲んだ途端「帆を上げるぞ」っていう船員の掛け声ですから。惚れ合った途端、時間切れというのもなんだかスリリングな構成だ。

第二幕の大きくてリアルな木のセットが綺麗だった。歌舞伎でこういうリアルな大木のセットが出てきたら面白いかななんてどうでもいいことを考えたりして…。(例えば藤娘?)今度はかがり火が理性の象徴。ここでは俄然イゾルデが可愛くなってくるが、芝居としていいなと思うのは、イゾルデの夫である国王を悪人に描いてないこと。不倫された方を悪人しちゃうと安っぽくなっちゃうしなあ…。

第三幕。ポネルの演出ではここを瀕死の状態のトリスタンの幻想にしていて、イゾルデの「愛の死」のあと舞台が暗転して、再度照明が入るとイゾルデがトリスタンの元に来たと思ったのはトリスタンの幻想でしたという落ちがつくのだが、これはどうだろう?ポネルの演出はリアル感あるといえばあるが、あの「愛の死」の7分ぐらいのメロメロの大団円を満喫したいがために、4時間近く我慢したのだから、ちょっと大袈裟に終わってくれた方が良いような気がする。歌舞伎でいうと、切られ与三郎が名台詞を言う前に、観客が「待ってました!」とか「たっぷり!」と掛け声をかける心境というか…。

で、肝心のイゾルデの「愛の死」。意外とあっさりだったな…。私が聞いた事のあるのは、フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ、クライバーの「愛の死」だったので(どれも抜粋版、管弦楽集)、強烈にメロメロのものを期待し過ぎていたのかもしれない。

一応、楽しめました。次は何を借りようかな。でも三時間ぐらいにならないもんかな…。(まあ無理なんだろうけど。)
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