3月21日 三金会開催
2025年3月21日(金)17時30分から、横浜稲門会新事務所にて会員31名の出席のもと開催された。井上滋邦副幹事長の司会で始まり、東島正樹会長より大学の近況報告の後、初参加の深堀裕賢会員より自己紹介があった。今回の講義は松本俊男会員(1978理工・1980工研卒)による「仏さまたちとの思いで帖」である。
- 個性的な仏さまたち
お寺にはたいてい仏さまがおられます。子細に見るとそれぞれ豊かな個性があり、その発見が興味深い。宇治平等院の阿弥陀如来や雲中供養菩薩、東大寺の阿弥陀如来や弥勒仏等魅力的な仏さまたちが多い。神護寺の薬師如来には、鑑真和上に同行して渡来した仏師たちの影響と思われる、肉付きの良さ・表情の険しさ・デフォルメされた姿態に尽きない魅力がある。
- 私の奈良時代
松本氏は入社後出向先の奈良で数年間過ごした。奈良愛が深い著作として、「古寺巡礼(和辻哲郎)」、「大和古寺風物詩(亀井勝一郎)」等が著名だが、早稲田人としては文学部教授だった會津八一先生の「鹿鳴集」をお勧めする。
松本氏の暮らしに最も影響があった仏さまは興福寺の無着菩薩立像である。当時の上司とそりが合わず出向中の失意の中で出会い、包容力を感じ安心して前向きに過ごせるようになった。「苦しい時は背負って運んでやるよ」との声が聞こえた気がする。
第二にインパクトを受けた仏さまは、吉野山の金峰山寺の蔵王権現立像で、気乗りのしない仕事に悩んだ時、巨大な憤怒相の仏さまに恫喝された。「嫌な仕事をすること、即お前さんが生きていることに他ならないのだ。つべこべ言わずに、生きて嫌な仕事をするがいい」と言われた。仕事に戻って、転職活動に腹を据えて取り組んだところ、希望がかなった。
- おしまいのお一人
最後に柴又駅前のフーテンの寅次郎像を取り上げる。寅さんは、旅先で悩める人に遭遇し、力づけ、助けようと奮闘努力する。必ずしも役に立つわけではないが、悩める人にとっては、観音様の化身に出会ったと思うに違いない。私たち凡人も気づかぬうちに人助けしているかも知れない。凡人が仏になる瞬間も案外近いかも知れないと思っている。
講義終了後、様々な角度からの熱心な質問が相次いで会場は大いに盛り上がった。
文責 新堀誠 写真 稲葉昌史 記 仁井淳二
講師 松本俊男氏
東島会長挨拶
新入会員 深堀裕賢さん
会場風景
懇親会1
懇親会2
懇親会3