2023年4月21日(金)午後5時30分から、三金会(ミニセミナー)が進交会館にて開催された。講師は根本正一さん(1979年商学部卒)で、テーマは「ドイツ・ナチスの人間模様~人間を狂気に走らせる組織の生理学」。ズーム参加を含めて41名が聴講した。ホロコーストにみられる人間を狂気に走らせる組織の生理学を、現代社会にも当てはめながら、分かりやすく解説された。指定された椅子が全て埋まるほどの盛況な講演となった。
[根本正一プロフィール]
1979年(昭和54年)商学部卒。日本経済新聞の記者を務める傍ら、早稲田大学大学院社会科学研究科にて博士号(学術)取得。ドイツのワイマール共和国からナチス時代に至る民主主義の崩壊過程を、歴史哲学的な視点から掘り下げる。主著に『民主主義とホロコースト』。昨年、NHKBSプレミアムの「ダークサイドミステリー」にて、ヒトラー暗殺計画を紹介した番組のコメンテーターを務める。現在はアカデミックサロンを運営する(一社)社会科学総合研究機構代表理事。
[講義内容・要約]
第一次世界大戦後に当時最も進んだ民主主義国家であったドイツにおいて、暴力的なナチスがなぜ政権を握ることができたのか、またユダヤ人虐殺(ホロコースト)のような非人間的な暴虐がどうして行われたのかは、20世紀の歴史の最大の謎でもある。その解明の糸口として、巨大化した現代組織の中で、組織が個々人の思いを離れて独り歩きして悪が増幅していく組織の生理学に今回は迫る。
巨大なヒエラルキーのもとでは上層から下層まで役割に沿った人間性が育まれ、それがどのような化学反応を起こして一つの組織行為に至るか、ホロコーストはその教材として最適である。ヒトラーをはじめナチスのトップエリートたちには弱者の強者に対する鬱屈した憎悪感情(ルサンチマン)が見られ、彼らが織りなす人間模様は見もの。それは、21世紀の組織に生きる我々サラリーマン層に通じるところがある。現代日本のような民主社会でも、ナチスのような暴虐がいつでも起こり得ることを感じ取ってもらえるはずだ。
文責 雨宮敏徳
記 仁井淳二
鴻谷会長挨拶
会場参加者
初参加者 福島寛さん
講師 根本正一さん
三金会のテーマ