3 月9日 俳句会3月例会を通信句会の形式で行い、9名が3句投句して合計27句。9名で選句(一人4句選)を行いました。
高得点及び作者名は以下の通りです。
選評及び作句コメントは、代表世話人の小板橋泰山(俳人協会会員・全国結社「万象」同人)が担当。
5点句
春乗せてお散歩カーの園児過ぐ 作者名:立木欣吾
(選評)
春の穏やかな朝、大型のベビーカーに乗って広い公園にでも向かう保育園児の集団と、作者はすれ違ったのだろうか。園児達のはしゃぐ声がたいそう賑やかである。
私も経験があるが、こういった光景に遭遇した方も多いだろう。
春は温暖な花の季節、一年の花とも言える明るい、喜びに満ちた季節である。作者はこの光景を上手く切り取って表現した。
4点句
病院の午後の静寂鳥曇 作者名:小板橋泰山
(作者コメント)
病院に入院した時期に作句。病院の朝は早い。早朝から昼食時間まで、検温、血圧、血糖値、採血など何しろ慌ただしい。さらにCTやMRI検査も入る。
そんな一日、昼食時間の後に静かな時間が訪れる。入院期間中の少し落ち着く時間であった。しかし、またすぐ後には血圧測定、採血などが再開されて、医師や看護師は運ばれてきた新しい患者の治療に忙殺されていくのである。
季語の鳥曇とは、鴨や鴈など渡り鳥が北に帰っていく頃の曇天の曇のことである。
3点句
水温む流路を探す被災川 作者名:吉仲洋子
(選評)
今年の1月初めに能登半島で震災があり、多くの災害をもたらした。2か月程が経過するも、復興の遅れが起きているという。その遅れが原因で、最近起きた川の氾濫がひどい状況になってしまったのだろうか。一日も早い復興を祈るばかりである。
2点句
満開の椿に小鳥絶え間なく 作者名:大隅陽子
(選評)
木へんに春。椿の季語は、もちろん春である。薬用、食用の他に鑑賞用として日本を代表する素晴らしい花である。
椿は葉も混み合い、花もびっしりつける。こんもり茂る感じで小鳥たちには安全な場所なのだろうか。たくさんの小鳥が絶え間なく訪れる。きちんと景を観察した佳句である。
2点句
少年のピンクの靴やつくしんぼ (作者名)田中とき子
(選評)
つくしんぼは、田の畔、野原や土手などに自生するトクサ科の多年草の地上茎である。
郊外に家族連れでピクニックにでも行った風景か。子供のあざやかなピンク色の靴とつくしんぼの並んだ景が大変印象的である。スナップ写真のような俳句も素晴らしい。
2点句
水温るむ日まで揺らぎの決意かな (作者名)原田由紀子
(選評)
春は万物に力のみなぎる芽吹きの季節であるが、昼は霞、夜は朧(おぼろ)、ゆったりとした駘蕩の気分も存在する。
春の温もりとともに、後半にさしかかった人生の様々なことを考える季節な
のかもしれない。難しい句であるが、二人の方がこの句に共感して選んでいる。
自薦句(得点のあった句)
水ぬるむ田んぼを後に鳥北へ 川崎辰雄
土筆の子みんな揃って雀色 KS
つくしんぼ袴取りつつ長談義 三ツ堀哲宗
4月も3月同様通信句会の形式を取ります。
兼題は、木の芽(このめ) 花(はな)の何れかです。
4月11日(木)までに3句メールにて立木まで提出願います。
新会員も随時募集中です。
記 立木