4月8日俳句会例会が行われました。11名32句の中で選句を行いました。
高得点句及び作者名は以下の通りです。
選評および作句コメントは、代表世話人の小板橋泰山(俳人協会会員・
全国結社「万象」同人)が担当。
6点句 喪の家を包みてゐたる朧月 作者:小板橋泰山
(作句コメント)朧月は朧にかすんだ春の月のことで、薄絹のかかったような
柔らかさを感じさせる。近所の家に住む老人が亡くなった。入院はせずにご自宅で
長い間介護していた娘さんご夫妻に見守られての最後であったとお聞きした。
葬儀予定の数日前の晩、悲しみの喪の家を包み込むように、ほのかな明るさをもって
朧に霞んだ春の月が空に出ていた状況を表現した。
4点句 ひこばえに生き延びるみち教へられ 作者:東島正樹
(選評)ひこばえは、樹木を切っても、切り株や根元などから、続々と
萌え出てくる若芽のことである。孫(ひこ)生えから来ている。ゆるぎなき、
力強い生命力を感じさせる。意に沿わないことに出会ったのかもしれない作者も、
ひこばえの姿に励まされ、これからの道を考え直したのであろうか。それを
17音に素直に表現した。
3点句 野遊びや草摘む子らの花冠 作者 吉仲洋子
(選評)野遊びは、春に野山に出かけ、遊んだり、食事をしたりすること。
グループか、家族か、野山に出かけ、シロツメクサなど草花で花かんむりを作って
飾ってみる、楽しい情景を表現した。春を迎えた喜び、春の風景を愉しむ人々の
幸せな気分を読者に想像させる。
3点句 春風や明日くるといふふるさと便 作者 KS
(選評)暖かくなった春の季節。心地よい、爽やかな春の風が吹いている。明日は
故郷から、名産品などを入れた、ふるさと便が届くのであろうか。コロナ禍が落ち着いて
穏やかな春を迎え、楽しいこともある、喜びのあふれる情景である。
3点句 手ぶらの日座席譲られ花曇り 作者 稲垣庸子
(選評)花曇りは、桜の咲く時期は天気が変わりやすく、曇天が多いことをいう。
手ぶらで外出した作者。電車かバスか、若者に席を譲られた。両手にたくさんの荷物を
持っていたなら、ともかく。手ぶらなのに席を譲られた、少し複雑な気持ちになったので
あろうか。下五の「花曇り」、すっきりと晴れない少し心の重い感じが、作者の気持ちを
映しているようである。
2.自薦句:
・陽子さん: 散歩道見知らぬ人と花語る
・三ツ堀哲宗さん: 校門の前で一礼入学児
・立木欣吾さん: 白球を追う目の先に春の虹
立木記
以上