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[米国に吹く新風 格差社会からの挑戦 5]農民による風力発電 地域振興めざし発案 (12月17日) :日本農業新聞記事です

2011-12-17 19:12:45 | 言いたいことは何だ
[米国に吹く新風 格差社会からの挑戦 5]農民による風力発電 地域振興めざし発案 (12月17日)
http://www.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2011/12/17/uid000354_20111217155212b29e359b.jpg 「全米の風力発電装置の中で、農民が所有し、生み出した電気を全て地元の協同組合を通じて消費しているのは、たぶんここだけだと思う」
 米国アイオワ州グリーンフィールドに本部を置く農民電力協同組合のクラレンス・モシャー組合長は、2基の風力発電装置の説明を誇らしげに始めた。14人の農民が投資して昨年建てた。
 原油価格の上昇を受け、全米の農村で風力発電装置が次々に設置されてはいるが、ほとんどは設置場所とは関係のない大手企業が所有し、電気は別の場所に送電される。地元は、設置した土地の賃料と固定資産税の一部を手に入れるだけで、利益の多くは都会が吸い上げる。
 グリーンフィールドの風力発電装置は、25年間で50万ドル(1ドル78円)の売電収入を出資した地元農民にもたらす一方で、農村で電気を小売りする電力協同組合にとっても割安で安定した電力供給源となる。
 「さらに、農民が借りた資金は地元の銀行からで、建設作業も地元住民優先で行った。1基当たり1万~2万ドルの維持経費も地元業者に入る。その結果、ほとんどの税金は地元の自治体に入る」とモシャー組合長。地元農民の手による地元のためのプロジェクトというのが自慢だ。

http://www.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2011/12/17/uid000354_201112171743380d80998e.jpg 「きっかけは4年前。地元の農業団体が地域振興のためのアイデアを募集した。当時、電気料金が値上がりし続け、小さな風力発電装置を電力協同組合の変電所近くに設置すれば役に立つのではないかと考え、農民グループで提案をした」。そう説明するのは、出資者の一人でグリーンフィールドの農民ランディ・カビネスさんだ。提案は採択され、2007年に5000ドルの賞金を得て、風力発電の専門コンサルタントを雇って事業の可能性を調べた。
 出た結論は「(小さな装置では)見込みなし」。しかし「発電効率の高い大型風力装置を設置するのならば有望」とあった。「コンサルタントは政府によるさまざまな助成措置があることもアドバイスしてくれた」と農民のブラッド・ネルソンさんは振り返る。対象を大型装置に切り替えながら、農民たちの夢は膨らんだ。
 米国政府による支援策を調べてみると、米国農務省の再生可能エネルギー・効率化支援事業と、アイオワ州の代替可能エネルギー事業の利用ができそうだった。ところが、補助や低利融資を受けたとしても当初の建設コストなどがかさみ、収支予測がどうしてもプラスにならない。「これは無理か」と皆が諦めかけたが、08年になって風向きが大きく変わった。

・欠かせぬ政府の支援

http://www.agrinews.co.jp/uploads/fckeditor/2011/12/17/uid000354_20111217155219e2ac446e.jpg 2008年9月。大手投資銀行のリーマン・ブラザーズが倒産。米国経済は急降下し、世界的な金融危機の引き金を引いた。株価は急落し、世界経済は100年に1度といわれる危機に直面した。
 しかし、この経済危機の中で予期しなかった二つのことが追い風となり、グリーンフィールドの取り組みを後押しした。
 一つは風力発電装置の建設コストの急落だ。経済の悪化により、各地で進行中だった風力発電装置建設計画がキャンセルされ、装置が「投げ売り状態」になったのだ。
 もう一つは、翌年早々に成立した09年米国再生・再投資法。巨額の経済刺激策が盛り込まれたが、その中に再生エネルギー装置建設に対する税金の減免措置が導入された。「1基当たり80万ドル分の税金節約が可能となった」とカビネスさんは説明する。
 急きょ計画に実現性が帯びたことから、農民14人で風力会社を設立。「10年末までに建設する」が減税の条件だったが、事前の調査が済んでいたことから締め切りに間に合い、完成した。
 今年になり、遠くから風力発電を眺めるのが農民14人の日課になった。風車が回らないと、互いに電話し合って「どうしたんだろうか」。風が強い日には「大丈夫だろうか」と、どきどきする毎日が今も続く。
 カビネスさんによると、1基当たりの建設費用は330万ドル。これから減税の80万ドル、米国農務省の補助金の50万ドルを引くと、建設費用は実質200万ドルになった。州の低利融資なども農民負担の軽減に役立った。今後15年間は収支とんとんが続き、それ以降、「利益」が期待できるというのが胸算用だ。
 一方で、電気を買い入れる農民電力協同組合にとっても、地元での風力発電は悪い話ではない。
 「過去10年間、大手の発電会社から買う電力料金は毎年約4%上昇した。再生可能エネルギーを長期にわたり使えるのは組合にも魅力的だ。電力の買い入れ価格は双方が納得できる水準で決めている。お互いに利点が大きい」とモシャー組合長は説明する。
 順調な滑り出しに自信を深め、現在もう2基の風力発電装置の建設がすぐ近くで進行中だ。14人の農民による手作りの挑戦は、少しずつ地域を変えつつある。

 (取材協力=農業ジャーナリスト・ポール・クエック)


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3 コメント

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Unknown (SUM)
2011-12-17 19:18:00
いつの記事だったか、これも日本農業新聞で論説記事だと思ったが、エネルギーの地産地消ということが書かれていた。まさにこのことを言っているのではないかと思う。
新たな雇用促進、地域おこし・振興に結びつくのではないだろうか。
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Unknown (mokeihiki)
2011-12-18 03:37:00
良い記事をありがとうございます。
転載賜ります。
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Unknown (彩也蘭(Sayaka))
2011-12-18 11:59:00
はじめまして。福島市に住んでいる彩也蘭(さやか)と申します。
まなまなさんのゲストブックからあなたのブログに辿り着きました。
ブログの内容に共感いたしました。
傑作のポチです。
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