姑息な目くらまし バカバカしい落ち目の内閣の改造情報
2017年6月21日
安倍首相(右)と菅官房長官/(C)日刊ゲンダイ
「日なたに氷」のたとえもあるが、完全にヤキが回ってきた。
森友学園問題、加計学園問題で次から次へと噴出する疑惑に防戦一方だった安倍政権は、「中間報告」という禁じ手まで使って「共謀罪」法を成
立させ、国会審議を“強制終了”。逃げ切りを図ったが、これが裏目に出た形だ。
各社の世論調査で軒並み支持率が急落。毎日新聞の調査では、支持率は10ポイント減の36%にまで落ち、不支持率と逆転した。御用新聞の読
売でさえ、一気に12ポイントも下げた。
19日の会見で、安倍首相は珍しく謝罪めいた言葉を口にした。謙虚な姿勢をアピールする狙いだろうが、謝罪も反省も口先だけなのがバレバレ
では、逆効果ではないか。ますます支持率下落に拍車を掛けることになりそうだ。
「政策とは関係ない議論ばかりに多くの審議時間が割かれ、国民のみなさまに大変申し訳なく感じております」と言いながら、「印象操作のような
議論に対して、つい強い口調で反論してしまった」と、またしても野党に責任を転嫁。自分は被害者のような口ぶりだった。
その後は「有効求人倍率はバブル時代をも上回る極めて高い水準」など、聞き飽きた“成果”を誇る自画自賛のオンパレード。首相の友人が甘い汁
を吸うためのシステムではないかと国民の疑念が向けられている国家戦略特区については「今後とも総理大臣である私が先頭に立ち、ドリルの刃と
なってあらゆる岩盤規制を打ち破っていく」と、おなじみのセリフで開き直る始末。反省ゼロなのが、よく分かる。
■野党をけなして自画自賛はいつものパターン
安倍は「何か指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしていく」とも言っていたが、だったら、森友問題や加計問題の疑惑解明のため、野
党が求めている閉会中審査に応じたらどうなのか。昭恵夫人や文科省の前川前次官の証人喚問もやればいい。応じる気などサラサラないくせに、こ
ういう二枚舌が国民を呆れされ、支持を落としていることがまだ分からないのか。
「野党をけなし、自己正当化と自画自賛を並べ立てるのは安倍首相のいつものパターンです。これまでは、それで何とかケムに巻いてきた。しかし
、国民が不信感を深めている現状では、ご都合主義にしか聞こえないし、強がりも焦りの裏返しに見えてしまう。今回の支持率急落の原因は、政策
の是非ではなく、首相の人間性そのものだからです。一度失った信頼は、そう簡単には戻らない。第2次安倍内閣は『支持率と株価だけで持ってい
る』といわれてきましたが、ここからの支持率回復は容易ではないでしょう」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
だが、安倍周辺からは「10ポイント程度ならすぐ戻る」という楽観論が聞こえてくる。時間が経てば国民は忘れる。目先を変えれば支持率はま
たハネ上がる。「安保法の時もそうだった」というのだ。
そこで浮上してきたのが夏の内閣改造である。新しい布陣でイメージを一変すれば、支持率が上がるという浅薄な思惑。そんな姑息な目くらまし
に国民はもう騙されないと思うが、他に打つ手もないのだろう。
官邸が腐りきっているから内閣改造してもムダ
安倍も会見で党役員・内閣の人事刷新に言及していたが、その前から「体制刷新 政権浮揚狙う」(17日読売)、「内閣改造8~9月に」(1
9日日経)などと大メディアが盛んに改造を煽ってきた。
「8月末の改造なら、今から騒ぎ立てる話ではない。わざわざ早めに情報を出してきたのは、森友問題や加計問題から解放され、世論の目先を変え
たいと考えているのでしょう。イメージチェンジのアピールです。党内向けの牽制という意味もある。大臣ポストというニンジンをぶら下げ、9月
まで求心力を保つ狙いです。ただし、内閣改造は諸刃の剣。安倍1強なら問題ないのですが、今は党内で“反安倍勉強会”が開かれるくらい弱体化
している。前に打って出るというより、内向きの改造になりそうです」(政治評論家・野上忠興氏)
佐藤栄作は「内閣は解散するたびに求心力を増し、改造するたびに求心力が低下する」と言っていたという。世論の逆風が吹く中での改造なら、
なおさらだ。簡単にイメージアップとはいかない。長期政権になってくると、新たに登用する人材も不足してくる。支持率低下で落ち目の中、憲法
改正を見据える現状では、各派閥に配慮する必要もある。
「派閥が推薦する人材は、大臣待機組の“在庫一掃”人事になりがちです。そういう顔ぶれが入閣して、失言や不祥事を連発してきた。金田法相の
ように、重要法案で答弁できないケースも出てくる。改造でまた新たなリスクを抱えることになります」(山田厚俊氏=前出)
■疑惑の本丸が居座る笑止千万
何より浅ましいのは、早くも「菅官房長官、麻生副総理、二階幹事長の3人は留任」が確定情報として報じられていることだ。
森友問題や加計問題で「問題ない」「あたらない」を繰り返し、高圧的な態度で、国民の疑問にまったく答えようとしなかったのが菅だ。文科省
の流出文書は「怪文書」扱い。不正を告発した前川氏の人格攻撃までして、疑惑にフタをしようとした醜悪さ。その強権的なやり方に国民が怒りと
不信を募らせた結果が、支持率暴落といえる。
さらに言えば、官邸には疑惑の中心人物がウジャウジャいる。加計学園の獣医学部新設を「官邸は絶対にやると言っている」と文科省に迫った記録
文書が新たに公表された萩生田官房副長官。前川氏の「出会い系バー」通いを本人に厳重注意していた杉田官房副長官。杉田氏の公安警察時代の部
下で、“官邸のアイヒマン”の異名を持つ北村内閣情報官。前川氏を官邸に呼び付け、「総理は自分の口から言えないから、私が代わって言う」と
、加計学園の獣医学部新設を認める規制改革を早く進めるよう迫った和泉首相補佐官……。
官邸中枢が腐っているのだから、ここを一掃しなければ、この政権の破廉恥体質は何も変わりはしないのだ。小手先の内閣改造で国民を欺こうと
は、いい度胸である。
「首相権限を悪用して、国有地をタダで払い下げたり、政商に血税を流し込んだりと、いまや官邸は悪の巣窟になっている。官邸のメンバーを一新
しなければ、ますます汚職が蔓延する社会になってしまいます。そもそも、森友も加計も安倍首相自身の事件なのです。ここは潔く国民に詫びて、
官邸を去るべきです」(政治評論家・本澤二郎氏)
疑惑の本丸・安倍が居座っているかぎり、この国の政治は正常化しない。何が内閣改造だ。安倍は「信なくば立たず」の意味を理解して使用してい
るのか? 何食わぬ顔で安倍が続投し、菅が留任なんて、有権者にケンカを売っているとしか思えないのだ。
大メディアも同罪だ。今から内閣改造を宣伝して、政権浮揚を後押ししている場合なのか。改造より退陣を迫るべきだ。
2017年6月21日
安倍首相(右)と菅官房長官/(C)日刊ゲンダイ
「日なたに氷」のたとえもあるが、完全にヤキが回ってきた。
森友学園問題、加計学園問題で次から次へと噴出する疑惑に防戦一方だった安倍政権は、「中間報告」という禁じ手まで使って「共謀罪」法を成
立させ、国会審議を“強制終了”。逃げ切りを図ったが、これが裏目に出た形だ。
各社の世論調査で軒並み支持率が急落。毎日新聞の調査では、支持率は10ポイント減の36%にまで落ち、不支持率と逆転した。御用新聞の読
売でさえ、一気に12ポイントも下げた。
19日の会見で、安倍首相は珍しく謝罪めいた言葉を口にした。謙虚な姿勢をアピールする狙いだろうが、謝罪も反省も口先だけなのがバレバレ
では、逆効果ではないか。ますます支持率下落に拍車を掛けることになりそうだ。
「政策とは関係ない議論ばかりに多くの審議時間が割かれ、国民のみなさまに大変申し訳なく感じております」と言いながら、「印象操作のような
議論に対して、つい強い口調で反論してしまった」と、またしても野党に責任を転嫁。自分は被害者のような口ぶりだった。
その後は「有効求人倍率はバブル時代をも上回る極めて高い水準」など、聞き飽きた“成果”を誇る自画自賛のオンパレード。首相の友人が甘い汁
を吸うためのシステムではないかと国民の疑念が向けられている国家戦略特区については「今後とも総理大臣である私が先頭に立ち、ドリルの刃と
なってあらゆる岩盤規制を打ち破っていく」と、おなじみのセリフで開き直る始末。反省ゼロなのが、よく分かる。
■野党をけなして自画自賛はいつものパターン
安倍は「何か指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしていく」とも言っていたが、だったら、森友問題や加計問題の疑惑解明のため、野
党が求めている閉会中審査に応じたらどうなのか。昭恵夫人や文科省の前川前次官の証人喚問もやればいい。応じる気などサラサラないくせに、こ
ういう二枚舌が国民を呆れされ、支持を落としていることがまだ分からないのか。
「野党をけなし、自己正当化と自画自賛を並べ立てるのは安倍首相のいつものパターンです。これまでは、それで何とかケムに巻いてきた。しかし
、国民が不信感を深めている現状では、ご都合主義にしか聞こえないし、強がりも焦りの裏返しに見えてしまう。今回の支持率急落の原因は、政策
の是非ではなく、首相の人間性そのものだからです。一度失った信頼は、そう簡単には戻らない。第2次安倍内閣は『支持率と株価だけで持ってい
る』といわれてきましたが、ここからの支持率回復は容易ではないでしょう」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
だが、安倍周辺からは「10ポイント程度ならすぐ戻る」という楽観論が聞こえてくる。時間が経てば国民は忘れる。目先を変えれば支持率はま
たハネ上がる。「安保法の時もそうだった」というのだ。
そこで浮上してきたのが夏の内閣改造である。新しい布陣でイメージを一変すれば、支持率が上がるという浅薄な思惑。そんな姑息な目くらまし
に国民はもう騙されないと思うが、他に打つ手もないのだろう。
官邸が腐りきっているから内閣改造してもムダ
安倍も会見で党役員・内閣の人事刷新に言及していたが、その前から「体制刷新 政権浮揚狙う」(17日読売)、「内閣改造8~9月に」(1
9日日経)などと大メディアが盛んに改造を煽ってきた。
「8月末の改造なら、今から騒ぎ立てる話ではない。わざわざ早めに情報を出してきたのは、森友問題や加計問題から解放され、世論の目先を変え
たいと考えているのでしょう。イメージチェンジのアピールです。党内向けの牽制という意味もある。大臣ポストというニンジンをぶら下げ、9月
まで求心力を保つ狙いです。ただし、内閣改造は諸刃の剣。安倍1強なら問題ないのですが、今は党内で“反安倍勉強会”が開かれるくらい弱体化
している。前に打って出るというより、内向きの改造になりそうです」(政治評論家・野上忠興氏)
佐藤栄作は「内閣は解散するたびに求心力を増し、改造するたびに求心力が低下する」と言っていたという。世論の逆風が吹く中での改造なら、
なおさらだ。簡単にイメージアップとはいかない。長期政権になってくると、新たに登用する人材も不足してくる。支持率低下で落ち目の中、憲法
改正を見据える現状では、各派閥に配慮する必要もある。
「派閥が推薦する人材は、大臣待機組の“在庫一掃”人事になりがちです。そういう顔ぶれが入閣して、失言や不祥事を連発してきた。金田法相の
ように、重要法案で答弁できないケースも出てくる。改造でまた新たなリスクを抱えることになります」(山田厚俊氏=前出)
■疑惑の本丸が居座る笑止千万
何より浅ましいのは、早くも「菅官房長官、麻生副総理、二階幹事長の3人は留任」が確定情報として報じられていることだ。
森友問題や加計問題で「問題ない」「あたらない」を繰り返し、高圧的な態度で、国民の疑問にまったく答えようとしなかったのが菅だ。文科省
の流出文書は「怪文書」扱い。不正を告発した前川氏の人格攻撃までして、疑惑にフタをしようとした醜悪さ。その強権的なやり方に国民が怒りと
不信を募らせた結果が、支持率暴落といえる。
さらに言えば、官邸には疑惑の中心人物がウジャウジャいる。加計学園の獣医学部新設を「官邸は絶対にやると言っている」と文科省に迫った記録
文書が新たに公表された萩生田官房副長官。前川氏の「出会い系バー」通いを本人に厳重注意していた杉田官房副長官。杉田氏の公安警察時代の部
下で、“官邸のアイヒマン”の異名を持つ北村内閣情報官。前川氏を官邸に呼び付け、「総理は自分の口から言えないから、私が代わって言う」と
、加計学園の獣医学部新設を認める規制改革を早く進めるよう迫った和泉首相補佐官……。
官邸中枢が腐っているのだから、ここを一掃しなければ、この政権の破廉恥体質は何も変わりはしないのだ。小手先の内閣改造で国民を欺こうと
は、いい度胸である。
「首相権限を悪用して、国有地をタダで払い下げたり、政商に血税を流し込んだりと、いまや官邸は悪の巣窟になっている。官邸のメンバーを一新
しなければ、ますます汚職が蔓延する社会になってしまいます。そもそも、森友も加計も安倍首相自身の事件なのです。ここは潔く国民に詫びて、
官邸を去るべきです」(政治評論家・本澤二郎氏)
疑惑の本丸・安倍が居座っているかぎり、この国の政治は正常化しない。何が内閣改造だ。安倍は「信なくば立たず」の意味を理解して使用してい
るのか? 何食わぬ顔で安倍が続投し、菅が留任なんて、有権者にケンカを売っているとしか思えないのだ。
大メディアも同罪だ。今から内閣改造を宣伝して、政権浮揚を後押ししている場合なのか。改造より退陣を迫るべきだ。
よく広域組織暴力団の山口組の抗争を報じますが、何のことはない、その上にいるのが安倍政権ですね。