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太陽光とタダの電気温水器をセットで提供、米電力が販促策(引用)

2015-10-10 05:34:02 | 言いたいことは何だ
【ミネソタ州の農村部にある電力会社、Steele-Waseca Cooperative Electric(SWCE)社は、こんなユニークなプログラムを展開している。同社は、小さな協同組合のメンバーが経営する地域主体の電力会社だ。「このコミュニティーソーラーを始めた理由は、メンバーが長年、低価格で再生可能エネルギーに投資できるオプションを求めていたからです」と、SWCE社で分散型システムエンジニアを務めるKristi Robison氏は語った。】

転載
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太陽光とタダの電気温水器をセットで提供、米電力が販促策




Junko Movellan=ジャーナリスト
2015/10/07 00:00
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/100100003/?rt=nocnt




 もし、電力会社がタダで新品の電気温水器と太陽光発電システムを0.41米ドル/W(約50円/W)で提供しますよ、とプロモーションをかけてきたら乗らない手はないだろう。

 ミネソタ州の農村部にある電力会社、Steele-Waseca Cooperative Electric(SWCE)社は、こんなユニークなプログラムを展開している。同社は、小さな協同組合のメンバーが経営する地域主体の電力会社だ。「このコミュニティーソーラーを始めた理由は、メンバーが長年、低価格で再生可能エネルギーに投資できるオプションを求めていたからです」と、SWCE社で分散型システムエンジニアを務めるKristi Robison氏は語った。

 「コミュニティーソーラー」は、太陽光発電システムを設置できない電力消費者でも、太陽光発電事業の恩恵が受けられるシステムである。例えば、アパート住まいの人や、持ち家があっても日照条件が良くなかったり、太陽光発電システムを設置する十分な資金がなかったりする場合である。

 「コミュニティーソーラー」では、自宅の屋根や敷地内ではなく、地域(コミュニティー)内に太陽光発電システムを設置し、そこで発電した電力の一部を長期契約で購入する。発電量は、毎月の電力消費量から差し引かれ、電力消費者は差額を支払うだけでよい。太陽光発電システムを自分の家に設置せずに、さらにシステムの修理やメインテナンスに煩わされずに、「自産自消」をバーチャルに実現できる。

 この仕組みの利点は、コミュニティー内の広く、比較的安く、日照条件のより良い土地を利用できることである。さらにシステムサイズが大きいので、規模の経済性効果が高く、住宅用の屋根置きと比べると、コストも一段と低い。

 もう1つ重要な利点は、設置ロケーションが選択できるため、太陽光発電の発電量と供給量のバランシングが容易なことだ。SWCE社が電力を供給する地域の電力ピーク需要は夕方の5時~7時に発生する。一方、太陽光発電システムの発電量は、正午~午後2時にかけてピークを迎える(図1)。分散型太陽光発電システムを一般家庭の多い配電網に接続すると、太陽光発電の供給量が需要を超え、バックフィード(逆流)の可能性を高め、電力の安定供給を妨げかねない。

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図1●太陽光発電(青線)を電力需要(赤線)比較:上:住宅付近の変電所(住宅用の需要と太陽光発電のミスマッチ)、下:工場付近の変電所(工場と太陽光発電のマッチ)(出所:Steele-Waseca Cooperative Electric)

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電気温水器でピーク需要抑制とオフピークの需要拡大



 配電網の強化という手もあるが、「都会では約1マイルの電線に30軒以上の住宅がつながっているのに対して、私たちの町では同じ長さの電線に4軒ぐらいしかつながっていません。そういう状態で配電網を強化するのは(コスト的に)最適の解決策ではありません」と、Robison氏は語った。

 それを解決するために、SWCE社は102.5kWのコミュニティーソーラーを工場付近の配電変電所に系統連系することで、バックフィード問題を解決した。太陽光の発電量がピークの時にも工場の電力需要で十分に消費できる(図2)。

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図2●工場地域に設置することで供給と需要がマッチ(出所:Steele-Waseca Cooperative Electric)
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 さて、一般的に太陽光発電システムの設置コストは3.5~5.00米ドル/Wだが、そうすると、コミュニティーソーラーへのパネル1枚当たりの参加費が1400~2000米ドルとなり、SWECメンバーにとって、とても高い投資となってしまう。「数多くのメンバーにこのプログラムに参加してもらうためには、初期投資を200米ドル以下に抑える必要がありました。そこで、今まで提供していた温水器プログラムをセットにすることで、パネル1枚のコストを170米ドルまで下げることができました」

 メンバーが「16時間温水器抑制プログラム」に参加すると、電力会社はタンク容量105ガロン(約397リットル)の電気温水器を無料で提供する。ちなみに、この電気温水器の小売価格は1200米ドル(約14万5千円)。

 温水器はグリッドインタラクティブ、つまり電力会社と系統を通して双方向で通信できるようになっている。電力会社が午前7時~夜11時までの16時間、温水器をコントロールできるようになっている。温水器を動かす時間を昼間のピーク時から、オフピークの夜11時~翌朝7時までの8時間内にシフトし、日中の電力量を抑制し、コストの低い夜間電力を使用するものだ。

パネル1枚170米ドルの「コミュニティーソーラー」



 メンバーが「16時間温水器抑制プログラム」に参加する場合、コミュニティーソーラーへの参加がパネル1枚分(410W)170米ドルという、「セット価格」になっている。この値段をW当たりにすると何と41.5セント。さらに、この価格にはパワーコンディショナー(PCS)など他の部材が全て含まれているだけではなく、設置コスト、今後20年間の修理、メインテナンスのコストが全て含まれている。

 メンバーは個人の電力消費量を超えない分のパネル枚数、または最大20枚契約できる。ちなみに、この地域では410Wのパネル1枚当たり年間510kWh発電する。温水器のプログラムとコミュニティーソーラーの両方に参加した場合、1枚目のパネルは170米ドルで、2枚目からは1225米ドルとなっている。コミュニティーソーラーだけに参加したいというメンバーのパネル価格は1枚1225米ドルとなっている。

 このコミュニティーソーラーは410Wの太陽電池パネル250枚を設置している。ちなみパネルはミネソタ州を拠点に置くtenKSolar社製である。システムは今年4月から発電を開始した(図3)。

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図3●稼働した出力102.5KWのコミュニティーソーラー(出所:Steele-Waseca Cooperative Electric)
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 今のところほとんどの参加者は「パネル1枚」という契約だそうだ。「1枚170米ドル」だけの契約が多いと元が取れないように思うが、「1人の人が何十枚もパネルを買い上げるより、1枚の契約でもいいから多くの人に参加してもらいたい。当初予定していたよりも少し長くなりますが、4年半以内で投資回収できます」と、Robinson氏は答えた。

 そのからくりはセットの電気温水器。電力会社はオフピーク時に電力使用をシフトすることで、ピーク時の高い電力を卸市場で購入する量を減らし、同時にコストの低いオフピーク電力の販売を増やすことができる。さらに、「無料で電気温水器と格安のコミュニティーソーラー」というユニークなプロモーションで、今までプロパンガスの温水器を使用していたメンバーを電気温水器への「乗り換え」を促し、電力の販売量を拡大できるからなのだ。

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