自給率重視を疑問視 中長期の論点提示 農政で財務省 (2012年08月23日)
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財務省は22日、農林水産関係に関する中長期の論点や課題をまとめた。食料自給率や戸別所得補償制度をはじめとする価格・所得政策、貿易自由化への対応など農政全体を検証。食料自給率については「意味そのものについても考える必要があるのではないか」と、自給率重視の農政運営に疑問を提起した。同省のまとめは結論や方向を示したものではないが、農政の根幹部分に踏み込むもので、与野党や農業者らの間で大きな波紋を広げそうだ。
中長期の論点や課題は、報道機関への説明用の資料としてまとめた。自給率に関しては「低下したことばかり注目されているが、1998年に(カロリーベースで)40%に低下した後、低位で安定して推移している」と強調。その上で、農業者の高齢化や耕地面積の減少、農業水利施設の老朽化などが進んでいることを示すデータを挙げて、自給率以外にも着目するよう提起した。
農業生産に関する課題では、戸別所得補償制度の水田活用の所得補償交付金と畑作物の所得補償交付金の水田部分の予算額約3500億円は、「転作にかかる費用」とみなせると指摘。「食料安全保障という意味では(3500億円で)備蓄を行ったとすれば(日本の小麦量で4年分に相当する)2000万トン超の備蓄さえも可能」とし、費用対効果の観点での検証を求めた。
米政策についても「食管法による国の全量管理が基本であったが、そのDNA(遺伝子)は今も残っているのではないか」とした。
貿易自由化対応については「高いレベルでの経済連携に参加した場合の農業対策のあり方については議論が必要だが、価格低下を直接的に補てんするような措置は、自由化のメリットを相殺し、他分野と比べても公平ではないのではないか。財政上も数兆円の経費を要しかねない」とした。
農村振興の課題では「地方の産業 に占める農林水産業の割合は、最大の宮崎県 でも5%程度であり、地域振興には総合的・包括的な視点が不可欠である」とし、農林水産業重視の地方振興策に疑問を投げかけている。
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財務省は22日、農林水産関係に関する中長期の論点や課題をまとめた。食料自給率や戸別所得補償制度をはじめとする価格・所得政策、貿易自由化への対応など農政全体を検証。食料自給率については「意味そのものについても考える必要があるのではないか」と、自給率重視の農政運営に疑問を提起した。同省のまとめは結論や方向を示したものではないが、農政の根幹部分に踏み込むもので、与野党や農業者らの間で大きな波紋を広げそうだ。
中長期の論点や課題は、報道機関への説明用の資料としてまとめた。自給率に関しては「低下したことばかり注目されているが、1998年に(カロリーベースで)40%に低下した後、低位で安定して推移している」と強調。その上で、農業者の高齢化や耕地面積の減少、農業水利施設の老朽化などが進んでいることを示すデータを挙げて、自給率以外にも着目するよう提起した。
農業生産に関する課題では、戸別所得補償制度の水田活用の所得補償交付金と畑作物の所得補償交付金の水田部分の予算額約3500億円は、「転作にかかる費用」とみなせると指摘。「食料安全保障という意味では(3500億円で)備蓄を行ったとすれば(日本の小麦量で4年分に相当する)2000万トン超の備蓄さえも可能」とし、費用対効果の観点での検証を求めた。
米政策についても「食管法による国の全量管理が基本であったが、そのDNA(遺伝子)は今も残っているのではないか」とした。
貿易自由化対応については「高いレベルでの経済連携に参加した場合の農業対策のあり方については議論が必要だが、価格低下を直接的に補てんするような措置は、自由化のメリットを相殺し、他分野と比べても公平ではないのではないか。財政上も数兆円の経費を要しかねない」とした。
農村振興の課題では「地方の産業 に占める農林水産業の割合は、最大の宮崎県 でも5%程度であり、地域振興には総合的・包括的な視点が不可欠である」とし、農林水産業重視の地方振興策に疑問を投げかけている。